「適職を求めること」について

性格タイプで適職は探せないと書いている本があるそうで、
ちょうど、そのようなことを、いろいろ思っていたので雑感を書きます。

例えばエニアグラム・タイプ5の科学者タイプに生まれたからといって、全員科学者になれるわけでは当然無いわけです。
科学者になるのであれば、相応の能力も必要ですから。
ならば能力があれば科学者になれるのかといえば、これも難しかったりするわけです。
仕事の椅子が無かったりしますから。
また椅子があったとしても満足な環境ではないかも知れません。
今でも日本の科学者は海外に流出しています。
別に科学者に限りませんけど。

性格タイプの欲する職業に就けない。
これは、どの性格タイプにおいても起こり得る話です。


適職において、「勉強すれば(頑張れば・努力すれば)良い仕事に就けるか?」というと、
「無理して大学進学しても報われない」という意見が出ています。

においては、
大学や大学院に行く人を増やしても日本にはそれに見合う雇用が無いよね。という話が書かれています(外国には学歴に見合う雇用があるそうです)。

今や日本においては「なんで最近は、大学を卒業しても正社員になれないんだろう?」という状況なわけです。


日本は、変化を嫌うタイプ6の国なので、あたらしい雇用の受け皿作りにも、たぶんあまり積極的ではないのだろうと想像しています。

つまり海外より状況は厳しいわけです。もちろん原因は変化を嫌う日本の国民性にあるので、まあなんというか自滅・・・とまでいかなくとも、衰退への道を日本は自ら歩んでいるわけです。

昨年に読んだ新聞のコラムにはこのようなことが書かれていました。

日経『大機小機』(魔笛)より

 新型コロナ感染症の急拡大に、世の中は「経済か健康か」で右往左往している。しかし、両立は可能だ。
(略)
 政府は調整に四苦八苦し、一方で自粛を呼びかけながら、他方でGoToキャンべーン維持を表明している。これではアクセルとブレーキを同時に踏むのと同じで、国民は混乱するばかりだ。この政策対応には、購買意欲の抑制か刺激かという1次元の発想しかない。これでは視野が狭すぎる。
(略)
 コロナ禍が経済に及ぼしている影響とは需要全体への抑圧ではなく、需要構造の急激な変化だ。マスクやアルコール消毒液など、感染対策関連商品は大きく売れている。医療も人手が足りないほど逼迫している。自宅勤務が増え、オンライン会議が広がって通信関係は活況であり、宅配需要も旺盛だ。外食や旅行業でも感染症対策に対応した新たな需要があるはずだ。
 ところが今は需要構造が変化しているのに、もとの産業構造を何とか保持しようとしている。感染症対策は業者任せで、お金は広く消費者にぱらまくだけだ。これでは感染は広がり、経済回復は遠のき、財政破綻が迫る。
 需要変革期には、業態の変容や資本・人材の産業間移動を促し、新需要への対処に政策資金を集中すべきだ。それにより経済も拡大し、経済と健康が両立する。


お金をGOTOにかけるのは、現状維持なわけです。現状の経済を維持しようとしているだけで、今に合った経済を加速させるのにお金は使っていないわけです。
日本は変化嫌いですが、こういった提言を受け入れないと、先に紹介した「大学へ行く人を増やしたって受け皿は無いよね」という問題は解決しないわけです。



また、別の角度から適職に対して悲報を知らせるなら、
昨年話題になった『ブルシット・ジョブ』という本関連の話があります。

から引用します。

教育とか看護のような仕事は、「やりがいがある」というのがすでに報酬であり、「そんな恵まれた仕事に就いているのに、お金まで求めるのは傲慢だ」とみなされているのではないか


日本にはすでに「やりがい搾取(さくしゅ)」という言葉があります。
「憧(あこが)れ産業」という言葉もあります。
薄給のアニメーターが有名ですね。

これをエニアグラムに当てはめて言えば、
「性格タイプが欲する欲求を満たす職業は、欲求を満たした時点で、それがすでに報酬であり、その分、現実の賃金は低くなる」
ということになりそうです。

タイプ6日本で言えば、
「タイプ6日本人が求めている安心・安全・安定な職業であれば、それだけで報酬だよね」
ということで、給料が少なくなる可能性があります。


「適職を求めること」について、まとめると以下のようになります。
・性格が向いていても能力があるとは限らない。
・性格と能力が向いていても仕事の椅子の数が限られている。
・当人の欲求を満たす仕事ならば、それ自体が報酬としてあつかわれ、現実の報酬(つまり賃金)が少なくなる可能性がある。
・受け皿ができていない(質の高い労働者がいても、それを受け入れる産業が作られていない。GOTOなど既存産業の維持のほうにお金が使われている)(大学の進学率など、産業界への人員の供給面は意識されているが、人員を受容する産業の育成には無頓着である)。

これらの理由から、適職を探すのは困難になっているようです。


2021/01/30追記
新型コロナで生活や価値観が変わり出しています。
この変化にタイプ6日本はついて行けていません。
まだ、既存業界を守ろうと資金をつぎ込んでGOTOなんてしています。変化に抵抗しています(新規産業から献金がないかぎり、新規産業の育成には乗り気でないのかも・・)。

現状を見ると、
数年後、新型コロナが終息しても、(今、できつつある)新しい価値観がそのまま定着する可能性すらあります。
「会議はリモートでいいよね」「見本市もウェブ開催でいいよね(移動は、お金もかかるし、炭素もかかるし)」となるかも知れません(これはあくまでも一例で、他にもあると思います)。

大きな変化が確定して、それが標準になって、その関連の業種やルールやツールも整った後に、
それを正解として、タイプ6日本がついていく可能性が大きくあります。
「日本も乗り遅れるな!」と。
いや、そのころには、もう乗り遅れているのだけども。

何かで成功するには、「ナンバーワン」か「オンリーワン」か「ファーストワン」でなくてはならない、という話がありますが、
正解をコピーしてまい進する日本には、「ナンバーワン」の道しかありません。
「オンリーワン」か「ファーストワン」を選ぶと、それが本当の正解か分からないので、ある程度の試行錯誤は必要で、未知や混沌を嫌うタイプ6日本には、この分野での成功は難しいものがあります(福島原発問題や高齢化社会問題では、日本は、ほぼ「ファーストワン」の立ち位置ですが、それを活かせていないようです。世界の先導として走ることができていません)。

安心・安全・安定が大切なタイプ6日本は、安心・安全・安定が確定するまで動けません。
つくづく変化の時代に弱い国だな、と思います。

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