日本発のイノベーションが起きる条件

ママチャリというのが日本独自だという話があるそうです。

そうなんですか? 本当に? 知りませんでした。
これも立派なイノベーションだと思います。


VTuber(バーチャルYouTuber)も日本発なんだそうです。

そうなんですか? 本当に? 知りませんでした。
これも立派なイノベーションだと思います。


今回は、これらで思ったことを書いていきます。


その1
私は日本がイノベーションが苦手な国だと言ってきました。
安心・安全・安定が好きで未知や混沌が苦手な日本人は、イノベーションが苦手だというのが私の見解です。
ですが、そのような日本においても新しいものが出てきています。
日本においてもイノベーションは起こせるようです。

いったいどうすれば、日本においてイノベーションを起こせるのでしょうか?


そういう分野を見てみると「周りを気にしなくてよい(かつ、分野外の人が無関心)」という環境にあるようです。

例えばイグノーベル賞では日本人が毎年のように受賞しています。

たとえそれが理解不能で変わったことでも、学者の研究であれば日本人は放っておくことができます。

つまり、ゾーニング(区分け)や、すみ分けができていることが条件になるようです。
そのゾーニングの中で、周りを気にせず自由に振る舞えるとき、また、周りが気にせず、その行動を不問とするとき日本人の創造性は花開くようです。

それは顔文字文化だとか、絵文字文化もそうです。漫画文化もそうです。ウォークマンもそうです。「周りを気にしなくてよい(かつ、周りも気に掛けない)」ときに日本人の創造性は花開くのです。

これは日本発のイノベーションのヒントになると考えています。

私は日本は関係性に生きる国民性だと理解しています。
日本人は周りを気にします。
そのような日本人が周りを気にしてなくてよい環境に出会ったときに、本来内に持っていた自由に広がる創造性が顔を出すのだと見ています。

こう言い換えることもできます。

「その人やその集団において創造性が出たときに、周りが気に留めていなければ、その創造性が阻害されず発展する」

混沌をもたらすものとして、阻害されたり撃ち落とされないことも日本においては重要となります。
また、繰り返すようですが、当人が創造性そのものを意識しなくてよい状態が必要です。


その2
さて、イノベーションが日本で起こせたとして、次の問題があります。
このイノベーションを世界標準にする力が日本は(日本人は)弱いと感じています。
これができないと、たとえ創造性を発揮できても、そのイノベーションはガラパゴスで終わってしまいます。

そして、世界に出て行くとなると、世界からの意見が気になり始めます。
文句を言われず、するりと入り込めた場合は、世界に出ていけるようです。
ですが、その過程が厳しいと、妥協が始まることもあるようです。特に政治的な問題(貿易摩擦、世界標準覇権)にまでなると妥協が起きるように思っています。これは政治の問題です。同時にこれは、こういうことに無関心な一般人の問題でもあります。
「仲良くなれても喧嘩ができない」。そんな傾向が日本人にはあります。
このため、摩擦が起きたときにそれを乗り越えることが日本人には難しいものがあります。


その3
日本発のイノベーションが世界に出て行けたとしても問題はあります。
それを換金する(お金に変える)ことが日本人は下手な印象があります。

総じてビジネスの力が弱いのだと思っています。

安心・安全・安定が大切なので、それが世界に広まって、価値観が共有されると、自分達が認めれた安心感からか、それ以上の成功を求めないようです。

これに関連して、海外でパクられたときの寛容さも、「仲良くなれても喧嘩ができない」日本人が出ていて、その人の良さがビジネスにおいてマイナスに作用しているように思っています(そういう人の良さは、個人的に好きではあるのですが)。

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私は始めのほうで、「周りを気にしなくてよい」ことが日本のイノベーションの条件だと書きました。

日本は安心・安全・安定がとても大切な国です。

そして、何か事件が起きたり、苦情が来ると、日本人は安心・安全・安定のために、規制やルールを作りたがります。
事件が一つでも起きると、それに属する人への風当たりが強くなる傾向があります。
また、言われた側は、自身の安心・安全・安定のために、その創造性を引っ込めます。

こういうことが起きると「周りを気にしなくてよい」という条件が崩れ、日本においてイノベーションが起こらなくなります。
ほんの微かにでも周りを気にする状況になると日本の創造性は息をひそめるようです。


最近
『ドローン きょうから所有者情報の登録義務化 違反で罰則も | NHK』
というニュースがありました。

以下、はてな のコメントからいくつか紹介します。

いつもの日本の成長力殺す過剰規制。初期は趣味でドローン自作とかもあったが、ドローン飛ばすだけで通報されかねないんで、消えた。(略)

こういう規制が入ると、日本からイノベーションの可能性がひとつ消えるわけです。


手間は増えないほうが良いけど、所有者情報登録させるだけで吹き飛ぶようなイノベーションてどんなもんやねん。

という意見もありますが、ここまで読んできたら分かる通り、この程度でも十分に日本のイノベーションは吹き飛ぶのです。
これは日本のイノベーションが分かっていない人の意見だと言えます。


また、こういう規制は、「レジ袋有料化効果」とでもいうべきものを生みます。
小さくとも、手間やお金がかかるようにすると物事の進捗を阻害することもあるということです。
この場合、小さな不便をちょい足しするだけで十分な阻害効果を生みます。
レジ袋有料化といっても、レジ袋を使うことが禁止されたわけではありませんし、その金額はたった数円です。貧困に陥って、毎日たった数円から数十円でもお金を浮かす必用がある、よほどの生活困窮者でもないかぎり、本来なら気にすることもない話です。
ですが、現実にはそれで、レジ袋を使う人が減りました。

こういうふうにちょっとした手間を入れることで、物事の進捗を阻害し、その分野の裾野を削ることが可能です。
CIAの組織崩壊マニュアルにある「何をする場合でも、定められた手順を守り、簡素化した進め方を許してはならない」に似た話でもあります。

こうなると、その分野の活況は暗く沈んでいき、日本のイノベーションの芽がひとつ摘まれることになります。
それが重なると「日本の成長力殺す」ことになります。

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