日本人は、個人主義者による集団主義 なのかも

『 日本人は「みんなと一緒が好き」という大誤解 』

日本文化論的にも「日本の社会は欧米に比べて集団主義的な傾向が強い」というのは、海外でも知られています。が、はたしてそれは本当でしょうか?

質問①「日本人は集団主義だと思いますか?個人主義だと思いますか?」
質問②「あなた自身は集団主義ですか?個人主義ですか?」
(2020年荒川和久調査。一都三県20-50代未既婚男女n629)

質問①に対しては、男女未既婚年齢関係なく、ほぼ9割が「日本人は集団主義だ」と回答します。しかし、質問②では、5割が「自分は個人主義だ」と回答したのです。

不思議ですよね。各個人は、日本人の9割は集団主義だと言ったのに、自分自身はどうかというと5割が個人主義だというわけです。つまり、「自分以外の日本人は集団主義だけれど。自分だけは違う」と5割の日本人が思っているという事です。矛盾するようですが「日本人は、個人主義者による集団主義」となります。

これは言い得て妙だと思いました。
「個々人は勝手にしたいけども、周りを見る」ということです。
就活のときの姿が似通うのも「個々人は勝手にしたいけども、周りを見る」から。
冠婚葬祭で出費するお金の額も「個々人は勝手にしたいけども、周りを見る」から相場ができる。

私の説明するタイプ6な日本人は、「知をもって関係性に生きる人」なので当然周りの思惑(知)は気にします。

それは以下の記述にも当てはまります。

これは、拙著『結婚滅亡』でもご紹介した事例ですが、お昼ご飯に、全員に無償でお弁当が支給されたとしましょう。弁当は全部で10個あります。それを10人で分け合います。

しかし、10個のうち1個だけ、特上のウナギ弁当(値段にしたら5000円相当・別にウナギ弁当でなくてもいいのですが、ここでは誰もが食べたいと思うものという意味で使っています)があって、残り9個は普通のノリ弁当(500円相当)でした。

さあ、あなたならどっちを選びますか?

これは前提条件の違いで結果が大きく変わります。あなたに最初の選択権が与えられ、しかも、あなたが何を選んだか、他の人にはわからない条件下だと、50%がうなぎ弁当を選びました。しかし、ほかの全員が見ている前で選択しないといけない状況だとします。そうすると結果は、ほぼ100%がノリ弁当を選びます。

4カ国比較調査でも「友達が私をどう思っているか気になる」という質問がありました。4カ国中男女計だとアメリカが最も低く、逆に日本人が最も高くなりました。

要するに、日本人は、みんなと一緒かどうかが重要なのではなく、自分の行動が他人の目にどううつるかを気にするわけです。他人の目とは評価であり、自分の損得に直結します。

エニアグラム的に言えば、日本人はタイプ6であり、
タイプ6は、安心・安全・安定が重要なので、
自分が安心・安全・安定であることを気にしているのです。

・・・と思いながら読み進めていたら書いてました。

集団行動・同調行動の正体とは、「みんなと一緒に行動したい」というより「自分ひとりだけ異質な存在とみなされると、自分にとって得にならない」という考えに基づくものなのです。

「日本人は半分が自分自身は個人主義だと思っているのに、日本人全体は集団主義だと思っている」というカラクリはここにあります。結果として集団行動・同調行動をしていることと、本人が個人行動が好きであるというこことは別なのです。

100%集団主義者も、100%個人主義者も実は存在しません。同じ人間でも、時と場所と相対する人間によって、その行動を無意識に使い分けているはずです。

この「無意識に使い分け」の中身が、タイプ6日本人だと、安心・安全・安定への欲求から来るものになります。


蛇足です。
アメリカ人の話です。

日本・アメリカ・中国・韓国4カ国の高校生を対象とした、国立青少年教育振興機構が実施した「2018年高校生の心と体の健康に関する意識調査」の中に、「友達と合わせていないと心配になるかどうか」を聞く項目があります。

(略)

男女ともアメリカの高校生が群を抜いて高いことがわかります。日本同様、中国も韓国も低い。むしろ、空気を読み、友達との同調を最も気にするのはアメリカの高校生のほうでした。これは、意外な結果ではないでしょうか。

アメリカは、エニアグラムのタイプ3の国、私から言わせると「情をもって関係性に生きる人」の国ですから、あまり驚きません。

ここで説明を入れますがエニアグラムにおいての知情意の情は「感情」の他に「イメージ」を含みます。

この記事の始めのほうでは「沈没船ジョーク」を紹介していて、

世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて、脱出ボートの数は足りません。したがって、その船の船長は、乗客を海に飛び込ませようとしますが……。さて、船長が各国の人を飛び込ませるために放った言葉とは何でしょう?

アメリカ人に対して・・・「飛び込めばヒーローですよ」
ロシア人に対して・・・「海にウォッカのビンが流れていますよ」
イタリア人に対して・・・「海で美女が泳いでいますよ」
フランス人に対して・・・「決して海には飛び込まないでください」
イギリス人に対して・・・「紳士なら海に飛び込めますね」
ドイツ人に対して・・・「規則ですので海に飛び込んでください」
日本人に対して・・・「みなさんはもう飛び込みましたよ」

このアメリカ人の「飛び込めばヒーローですよ」も、
タイプ3なアメリカが「イメージや他人からの感情を通した関係性に生きている」と見れば、
アメリカ人が他人からどう見られているのかを気にしていることが分かります。

それにしてもアメリカは調査結果を説明するのが難しいですね。
「友達が私をどう思っているか気にならない」けども、
「友達と合わせていないと心配になる」。
どっちやねん。

ひとつ思ったことは、タイプ3は「皆に見せたい自己イメージ」というものが存在します。アメリカならば、さしずめヒーロー、ヒロイン、ナンバーワンなどで、周りからの称賛を求めるのがタイプ3です。
そのイメージの中において、「友達が私をどう思っているか気になる」ような人物のイメージが悪いのであれば、アメリカ人はそういう自己像に反発して回答するでしょうし、
「友達と合わせていないと心配になる」という発言がイメージダウンにつながらないのであれば、そういった回答を正直にすることもできるのだろう、と思いました。

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