「スーパーで肝臓を含んだフグの切り身が売っていた」事件で思うこと

始めこのニュースの見出しだけを見た理解は、
「なんていい加減な!」
でした。

ですが、中身を知ると、また別の感想が出てきます。

毎度毎度ニュースを見ていて、その報道が詳しくなるにつれ、
「自分が浅はかであった」ということに思い至ります。

教えておくれ 新聞にでてた あの ちょっとしたNEWSの 意味が知りたい
教えておくれ 新聞にでてた あの ちょっとしたNEWSの 本当の訳を

(NEWSを知りたい 忌野清志郎)

なんですよね。

今回は、「あの ちょっとしたNEWSの 意味」を教えてくれた新聞に感謝した、そんな話です。
そしてエニアグラムをからめた感想を書きます。

肝臓含むフグ「以前から販売」 スーパー側、認識乏しく(2018/1/16 朝日新聞)

愛知県蒲郡市のスーパーで肝臓を含んだフグの切り身5パックが販売された問題で、スーパーの担当者が県の調査に「以前から販売していた」と話していることが、県への取材でわかった。
15日に肝臓を含んだヨリトフグの切り身を7パック準備し、5パックが売れた。
県は食品衛生法に基づきスーパーに回収命令を出した。
これまで健康被害は確認されていないという。
県は「絶対食べないで」と注意を呼びかけている。

これだけ読むと、
「なんていい加減な!」だとか「なんて非常識な!」
という感想が出てきます。

ですが、この話には先があります。

鳥羽水族館(三重県鳥羽市)によると、ヨリトフグは国内では北海道から九州南部まで生息。成魚で約25センチ、大きいものは40センチを超える。愛知県蒲郡市の海産物販売所によると、地元では「チョウチンフグ」と呼ばれ、かつては肝臓もみそ汁やなべに入れて食べていたという。
厚生労働省によると、フグの種類にかかわらずフグの肝臓の販売は禁止されている。


『愛知のスーパー フグ肝の2購入者「食べた」健康被害なし(毎日新聞)』では、

2パックは、購入者2人から「食べた」との連絡が店にあった。健康被害はないという。
過去の販売期間や量は分からない。

と報道されています。

ここまで読むと話が違ってきます。

伝統的な食習慣を、一律に禁止して問題視しているという話です。

私は、ここまで調べてくれた記者のかたがたに感謝します。


日本社会は、エニアグラムのタイプ6社会だと言われています。

タイプ6は、思考センターの否定点でもあり、つまり「思考停止」な性格タイプです。

判断や決断というものを避ける傾向があり、「たったひとつの正解」を求める傾向があります。

また、安心・安全・安定が大好きな性格で、でも自ら安心・安全・安定の外と関わることになる判断や決断が嫌いなので、思考を停止させ、周りに合わせて、前例主義や権威に頼る傾向があります。

今回の話をタイプ6的な解釈で見てみると、
地元としては、前例主義で今までこれを売ってきたのでしょう。
「肝を売ってもいいのか?」という疑問を持つこともなかったと思います。

一方で、お役所は、食品衛生法という権威に頼って、それを「たったひとつの正解」とするわけです。
思考停止で考えたくは無いので、一律に法律で処理をしたい訳です。

どちらもタイプ6的と言えます。

ここで、「科学的に検証して、その根拠をもとに対応しましょう」という提言は両者から出てきません。

なぜって「思考停止」なタイプ6日本社会だから。

このフグは、過去に沖縄での調査において、6匹中、1匹の肝臓で、毒性が確認されたのだそうです。
それなら、なおさら、安心・安全・安定のために、お役所としては、これを許すわけにはいかないのでしょう。

ちなみに、沖縄での調査では、採取された6匹全部で検査を行なって毒性が確認できたのは肝臓のみなわけですが、他の部位は6匹全部では確認をしていません。その上で他の部位の毒性は問題無しとなっています。
全部で確認すれば肝臓以外でも毒性が確認された可能性は残ります。
だとすれば、肝臓を取り除けば問題は解決したことにもなりません。

個人的には、この地域で定期的に検査をして、科学的な根拠をもとに、安全であれば販売を許しても良いと思っています。

ですが、両者とも、そのような行動は起こさないでしょう。

そして、たぶん、現地では不満はあっても唯々諾々(いいだくだく)と従っていくのでしょう。
問題が起きたスーパーの社長は、「今後、フグ類は一切売りません」と語っているようです。
確かに食品を扱うスーパーにとっては、安心・安全は特に大切になります。
タイプ6日本人も、それを求めます。

こうして日本の古き食文化の伝統は消えていくのです。

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