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地方公務員の新しいキャリアデザイン(小紫雅史 著、実務教育出版、2021年)

生駒市の取り組みは、何度か話題になっていたので、本書を読むことがそれらの具体性、背景理解につながった。
公務員やそれ以外の職種においても、求められているマインドセットが述べられているが、このマインドを意識だけで身につけるのは難しく、本書にもあるとおり、元々このようなマインドを持ち合わせた人材を採用する必要性がある。
マインド変容のためには、本書に記載がある、自治体が職員の副業・ボランティアを推進する体制を構築し、職員一人一人が地域の課題に直に触れることが1つの有効打なのだと思う。
個人的には、内向的な性質を持ち合わせていることもあり、そういった人にとってはハードルが高いと感じる記載も多かった。

次に読む本
・サービスデザイン関係
・「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか」(山口周)

読書メモ

新型コロナウィルス感染症がもたらした社会変化と地域への影響

コロナ後に街を”超回復”させる3つのポイント
第1に、現役世代が地元で過ごす時間が増えたこと等によるコミュニティの進化や地産地消を通じた地域経済の活性化を活かすこと
第2に、コロナ禍に対応するために揺らぎ、変化を余儀なくされた各種の常識や規制緩和をコロナ後にも活かすこと
第3にデジタル・トランスフォーメーション(DX)。
(25-26)

求む!ミライを創る公務員

地方創生を具体化するためには、まちの課題を見つけ、市民や事業者とともに解決策を考え、具体化しながらまちづくりを楽しむことのできる人材を採用することが不可欠(29)
プロフェッショナル人材を採用するためには、働きやすく、力を発揮できる環境を整備する必要(34)
第1に、「やりがい、キャリア・成長」実現できる職場の整備(34)
第2に、力を発揮できる「人間関係における環境の整備」(35)
第3の条件が「働きやすい『労働』環境の整備」(36)
一方、今後の課題としては、より効果的・効率的な採用プロセスの整備(38)
また、プロフェッショナル人材と、プロパー職員との円滑な関係性を構築すること(39)

自治体職員にテレワークや副業を勧める4つの理由
第1の理由は、〜職員満足度を上げ、仕事のパフォーマンスを向上させるから。(42-43)
第2の理由は、〜市民に対する説得力が増すこと。(43)
第3の理由は、職員の成長と本業への還元(44)
第4の理由は、自治体職員自身の豊かな生活につながること(45)

生駒市の副業運用
(1)対象となる活動
・公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であって、報酬を伴うもの。
・市内外の地域の発展、活性化に寄与するかつどうであること。(48)
(2)対象職員
・一般職の職員(パートタイム会計年度任用職員は除く)であること。
・活動開始予定日において在職1年以上であること又は本市以外で1年以上の職務経験(正規職員相当に限る。)を有すること。
・活動開始予定日の直前の人事評価について、目標達成度評価および職務行動評価の前1回の評価が、ともにB以上である者。(49)
(3)審査基準
・勤務時間外、週休日及び休日の活動であり、職務の遂行に支障を来たすおそれがないこと。
・地方公務員法第33条に規定する信用失墜行為の発生のおそれがないこと。
・活動先の団体等と生駒市の間に特別な利害関係が生じる恐れがなく、かつ特定の利益に偏することなく、職務の公正の確保を損なうおそれがないこと。
・報酬は、地域貢献活動として許容できる範囲であること。
・市内外の地域の発展、活性化に寄与する活動であること。
・営利を主目的とした活動、宗教的活動、政治的活動、法令に反する活動でないこと。(50)
今後の課題としては、副業に対する職員、特に管理職のイメージを変えていく必要性が挙げられます。(51)

生駒市のあるべき状態(ビジョン)は、「自分らしく輝けるステージ・生駒」
生駒市役所の使命(ミッション)は、「このまちで暮らす価値を、ともにつくる」
生駒市役所とその職員が大事にする価値観・行動基準(バリュー)は、「生駒愛・人間力・変革精神」の3つです・(56-57)

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