DX時代に必要な人材とは? その1
「企業の全ビジネスフローを最適化する」DC専門コンサルタントの前田です。
DXと叫ばれていますが、社内においてどのような人材がDX時代に必要となるのか、お教えします。
DXでの最も重要なポイントは「データが接続される」と言って良いと思います。つまり、「データに詳しい人=データマネージャ」が必要となるのです。
と言うと、
「な~んだ。簡単なことじゃないか?そんなのデータベース見えればわかるじゃない。」
と、思ったあなた!既に失敗の第一歩を間違いなく踏み出しています。
BIツールもRPAもそうですが、この基本中の基本がわかっていないから失敗するわけです。
データとは何か?
データには次の定義があります。
・データの出所(ソース)
・データ内容
・データ作成者
・データ取得日(反映日)
・データ更新タイミング(更新日)
・データ利用目的
大抵システム上でのデータ定義書に書かれているのは、データ内容程度でしょうね。
実際のデータの特性
私は金融情報を取り扱っていたので、金融系のデータについて説明しましょう。
例えば、アナリストの発表する「業績予想データ」と言うのがあります。皆さん、それを使ってPERとか計算するわけです。
この業績予想データですが、5月の段階で3月決算と9月決算の会社の場合、何を指しているか明確に説明できますか?
「3月決算なら決算出ているので、5月だともう来期予想じゃないの?」
「9月決算の場合、今度の9月の決算予想だろうなぁ。」
結構いい加減ですね。これを元に分析していてもいいでしょうか?
1)3月決算の会社の場合、6月ごろに株主総会が行われるので、おおよそその後にアナリストの予想が出ます。
⇒つまり、少なくとも5月の段階では、来期予想は出ていないはずです。
2)5月に分析しようとしたとき、どのデータを使えば良いのか?
⇒つまり、3月決算の会社と9月決算の会社のデータを同列に扱って良いのか?これだけ頻繁にビジネス環境が変わる中で、これらのデータを使って良いのか?
という問題が生じます。
これ、考えたことありますか?
今までいい加減な分析していたことに気が付くと思います。
もう少し日常に近いものについてみてみましょう。
(今は変わったかもしれませんが)セブンイレブンのレジには赤いボタン列と青いボタン列があります。
それぞれのボタンには数字が書いてあります。
レジの人は、レジ打ちの後、必ずそのボタンのうちどれかを押します。
実はこれ、「赤=女性、青=男性、数字=年齢)」を示しているのですね。つまり、「何時何分に、どの性別、どの年代の人が何を買ったのか?」という購買情報になっているわけです。
すごいデータのように見えますが、実際のレジを見ていると、適当にボタンを押しているケースが多くみられます。
ボタンを押さないとレジが開かない(お金が出し入れできない)からです。
ですが、データ分析する人はそんなこと知る由もないこともあるわけです。
ただ、この実際のデータ収集状況を把握しており、精度はこんなものだ・・・とわかっていれば十分使えます。
つまり、データには「データソースの特性」「利用目的」があるわけです。
それを知らずに、「あ、ここにこんな便利なデータがある!」と飛びついて分析すると、どういうことになるのか?
想像つくと思います。
似たようなのが「データウェアハウス」というものですね。
これ、下手すれば(上記の理由から)「データのゴミ箱」となるケースも多いのです。
もう一つ別の例を挙げましょう。
データベースに「月末の売上」という項目があります。
今、11月2日として、10月末のデータを見ると、数字が入っています。
「使っても良いのでしょうか?」
答えは何とも言えません。
普通、売り上げが確定するのは数営業日以降です。
もしかしたら、誰かが暫定的な数値を入れたかもしれません。
複数店舗があるとしたら、十分にあり得ます。
数字を入れる方は「何のために入れているのか」理解していないケースもあるのです。
「入れないと、上から怒られるから。」
という理由だってあるわけです。(先のセブンイレブンの例がそれに近いかもしれません。)
目的外のデータ活用するとつまり、データ入力側とデータ利用側に考えの違いがある場合、そのデータの取り扱いは要注意と言うことになります。
これだけ、データの取り扱いはセンシティブなわけです。
DXを考えた時、このデータ接続が非常に重要となります。
その場合、本当にこのデータを接続してよいのか?この目的のそのデータは合致しているのか?
これに対して明確に答えられる人物、人材が必要なわけです。
データマネージャがいないとどういう問題が起きるのか?
これは、BIツールやRPAをやるときのあるある的問題です。
・BIツールから出てきたレポートと経理が持ってきたレポートが違う。
⇒どっちが正しいの?
実は人材は社内にいる!
実は、この人材、社内に今でもいらっしゃいます。でも、そろそろ時間的に危ないかな???
どなたと思いますか?
定年間近の方々、特に生きた情報を手で扱っていた方々です。
つまり、過去には、そのデータはその方々が集め、集計していたわけです。便利なシステムとか無かった時代。だから、データがどう作られ、集計されているか肌でわかっているわけです。
今でもいらっしゃいませんか?数字を見た瞬間に「この数字あり得ない!」と一目で見抜く方々が。
データに対する見方がおのずと身についているのです。
それに対して、最近の方々。ボタン一つ押せばデータ確認は容易。データベースに格納されていますからね。
しかも100%正しいと信じていることも多々あります。
そんなデータから出てくる分析結果はどうなのでしょう?
良く私が、「多くの自称データアナリスト、サイエンティストはツール使いだ。」と言う理由がこれです。
ある意味、今後はこの人がCDO(Cheif Data Officer)となるのかもしれません。というか、本当はCIO、CDO(Cheif Digital Officer)にその素養があることが本来の姿ではあります。
人材は育てることができます。
もし、社内にその人がいなければ、適任者を探し出すことも可能です。また、教育を施すことで、データマネージャとして、会社の情報統制全体を任せることも可能となります。