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ノルウェー民俗音楽入門② 〜音楽にも方言がある?〜

前々回の note(ノルウェー民俗音楽入門①)で、地域によって同じジャンルでも全然ビート感が違う と予告した、今日はその話です。
ノルウェー民俗音楽入門①を読んでいない方は、そちらから読むことをおすすめします!

ノルウェーの国土 / 人口 / 自然 / 文化

ノルウェーは日本と同じように南北に細長い国で、外務省のホームーページによると面積も日本とほぼ同じ38.6万平方キロメートル。
ノルウェーの人口は532万8212人(2019年1月:ノルウェー中央統計局)。ということは、日本は今年の3月時点で1億2595万人なので、人口密度が桁違いに違う(!)ことになります。

冗談で、よくお家に泊めてもらっているノルウェーの友人と「コロナで外出禁止になっても、そもそも普通に生活してて人とすれ違うことないよね。羊や山羊や馬とはすれ違うけど」と笑ってしまったほど、特に地方は広々しています。前にも書いたかもしれないけれど、隣町から誰かが引っ越してくるとそのことが地方新聞の一面に載ったりします。
※オスロはそんなことないです。

ディズニーの『アナと雪の女王』はノルウェーから着想を得たそうで、アナ雪みたいなフィヨルドが特に南西部には多くあります。全体的に山がち水がちで、暗く長く寒い冬(極夜)があるため、街から街への移動が難しく、それゆえに方言はてんこもり(日本の方言と比べても圧倒的な差があり、テレビにも字幕がつくほど)。もちろん音楽も民族衣装も食文化も、地方色が豊かです。

地方色どころか「この道で伝わってきた曲」とかがあったりします(そういうのが個人的に好き♡)

音楽に関しては、昔から結婚式の演奏などで出稼ぎが行われていたので、地域が異なってもレパートリーは共通することもあったりするのですが、その地方ごとに独自の発展を遂げて、同じ曲であってもそう聴こえないこともあります。


Springar 色々

それでは、地域ごとに同じジャンルでもどういう違いがあるのか、実際にYoutubeの映像で見てみましょう。
今回は、スプリンガル (springar) を例に取り上げます。

☆注目ポイントは、奏者や踊り手の足元です。


例1: Ulvikaspringar

前々回載せたのと同じ映像です。Ulvikはハルダンゲル地方の一部。バルダンゲル (Hardanger) のスプリンガルはすべてのビートが均等なのが特徴です。
Hardanger 地域概要 wiki

例2: Valdresspringar

ヴァルドレス (Valdres) のスプリンガルは、3拍子の真ん中の拍に当たる部分が長いのが特徴です*
Valdres 地域概要 wiki

例3: Numedalsspringar

ヌーメダル (Numedal) のスプリンガルは、3拍子の1、2拍めが長いのが特徴です*
Numedal 地域概要 wiki

*そもそも3拍子の概念が西洋のものとは違うので、Numedalのスプリンガルは4拍子ではないか!というツッコミは通用しません。3拍子というよりは、3ステップといういい方のほうが私にはしっくりくるのですが一般的な言葉でないので・・

今回は特に違いがわかりやすいなと思ったこの3地域を取り上げましたが、もちろん他にも、telespringar, hallingspringar などなどたくさんのスプリンガルがあります。ご興味を持った方は、どんどん検索してみてくださいね。(検索方法は前々回のnote参照)


王道のノルウェー音楽はどの地方の?外国人として演奏する(踊る)のに適切な地域は?

ノルウェー人は自分の出身地の音楽を主に演奏しますが、さて、わたしたち外国人は、どこの地域の音楽をやったらいいのでしょう?

残念ながら、というか幸いにも、王道はありません。当たり前ですが、秋田民謡には秋田民謡の、沖縄民謡には沖縄民謡の魅力があるように、ノルウェーにもそれぞれの地域の味わいがあります。

ちなみにわたしは、ご縁が一番深いハルダンゲルの音楽をメインで演奏していますが、最近は Valdres の音楽にも勝手に挑戦していますし、Telemark の曲をやったこともあるし(全然弾けなかった)、そもそも一番最初は Vågå という山のエリアのスペルマンスラグ(音楽とダンスのチームみたいなもの)に入れてもらいました。地域を途中で変えることは失礼なのではないかと思い、あらゆる人に大丈夫かヒヤリングしましたが、「結婚や転勤などで移住をすることはノルウェー人でも普通で、違うスペルマンスラグに移ることもあるから、気にしなくて大丈夫だよ」とのことでした。

とはいえ、通いはじめると色々密な人間関係ができてくるのは確かなので、まず日本にいるうちに、自分がどこの地域のものが好きか見極めておくと、後々楽かもしれません。器用な方はたくさんの地域をつまみ食いするというのもありかもしれませんが、最初はどこかの地域に絞って聴きまくって練習しまくったほうが上達が早いと思います。どういうふうに曲を覚えたらいいかという話はまた次回に!


本日のまとめ

☑ ノルウェーにも、地方ごとに色々な文化があることがわかった
☑ 地方ごとのスプリンガルのビート感の違いがわかった
☑ 次のステップとしては、色々な映像を観て、自分にしっくりくる地域のものを探してみよう!


次回予告&インスタライブのお知らせ?

次回の note では、次の日曜日(4月5日)に、ずばり「ノルウェー音楽を覚えるコツ」を伝授します。主に演奏者向けの内容となります。

で、いま具体的な内容を考えているのですが、実際に実演したほうがわかりやすそうな部分も多く、動画でライブ配信するのはどうかなぁ、と思っています。インスタライブが手軽そうでいいな、と思ったのですが、Youtubeのライブ機能のほうがみられる人が多いのかなぁ。配信は、1週間後か2週間後の日曜日(4月5日か4月12日)の20:00あたりにできたらいいな、と考えています。

【4月4日追記:なかなかの機械音痴でオーディオインターフェースの設定に苦戦しています。設定がうまくいったら、インスタライブは4月12日の19:30から30分程度行います!】

もしこういうことをやってほしい、とか、こういうやり方がおすすめ、とか、答えてほしい質問などがあれば、お寄せいただけたらできるだけ全部お答えしたいと思っています!ぜひご協力、よろしくお願いします♪

ご意見送り先は twitterInstagram のDM、リプライなどで。あとは、下に書いてあるメールアドレスでもOKです◯

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