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どこからが曲? 〜ベネズエラ音楽を聴いて考えたこと〜

「じゃああの曲やろうよ!」とか「この曲いいよね!」とかみんなが気軽に使っている「曲」という言葉について、最近改めて考えています。

「曲」とは

鳥の声が音楽に聴こえたとしても人が手を加えて組み立てるまでは曲にはならないし(もちろんある人にとって「音楽」かもしれない。鳥にとっては会話でも。)、現代音楽がただのノイズに聴こえたとしても、それは作曲者が「曲だ」と主張する限りきっと「曲」です。

ここまで極端な例ではなく、時代を経て受け継がれてきた民族音楽(民俗音楽)、ここではその中でも更にダンス音楽に限定しても、何をもって「曲」というかは地域によってかなり異なります。

ノルウェーの場合

ノルウェーの音楽の場合、数小節のフレーズが、大体こういう順番で出てくるとこの曲だということがわかります。各フレーズに色々なアレンジをしていいし、各フレーズを何度繰り返すかは自由です。

アイルランドの場合

アイルランドの音楽の場合は、ノルウェーと比べてフレーズの扱いが限定的です。例えばAメロは16小節、Bメロは16小節で繰り返すところを「今回のAメロは途中の2小節を3回繰り返すから、2周目のAメロは20小節ね!」というのは、通常はやりません。
 ※現代的なアレンジとしてはやることもある。

ノルウェーと同じで、フレーズの歌いまわしが奏者やエリアによって大幅に異なることは多々あるので、一瞬違う曲かと勘違いすることはあります。

ところで、ノルウェーやアイルランドの音楽はもともと無伴奏で伝承されてきたので、決まったコードはありません。

しかし、逆に「コードだけが曲」というのが存在する地域もあります。

ベネズエラの場合

ベネズエラ音楽には、"Zumba que Zumba"など、コードが重要で決まったコードの上でメロディーをアドリブしていくという曲が存在します。(個人的には、別にありふれたコードだと思うのだが・・)

下の2つのYoutubeは、ベネズエラ的には同じ曲らしい。

尚、"Zumba que Zumba" には歌バージョンもあって、歌詞が付けばメロディーはある程度固定化されるので、いまでは基本的なメロディも数パターンあるようです。

※ベネズエラ音楽はまだ詳しくないので間違っていたら教えてください。

【5/31 14:30追記】スンバ・ケ・スンバは「曲」というよりは「型」と言う方がより近い。コードだけではなく、リズム形式やなんとなくの雰囲気といったものも規定されているという指摘をいただきました。
たしかにリズムのことがすっかり抜け落ちていました!ちなみに、わたしがスンバ・ケ・スンバを曲だと思ったのは、CDや楽譜集には曲名として収められているからで、名称としては曲に近いであっている気もします。

まとめ

何を持ってその曲を「曲」と認めるかの基軸は、文化圏に寄って結構違います。

音楽民族学の面白さは、世界中の人たちが築き上げてきた様々な文化や思想の片隅に触れられるところにあると私は思っています。多様性を知れば知るほど人類というものが面白く愛おしく感じられるようになるので、音楽を通して世界を見つめることは世界平和にもうっすらと繋がります。

自分の好きな地域の音楽を少し遠くから捉え直すの、おすすめです。その音楽やその地の人々のことが一層好きになるし、そうやってお互いに価値を認めあって生まれる友情は音楽が与えてくれた大切な副産物で、生きる幸せに繋がります。


最近の私のベネズエラ音楽活動(余談)

なんで初めてnoteでベネズエラ音楽の話をしたのかというと・・・

少し前に、参加しているベネズエラ音楽ユニット「5años(シンコアーニョス)」の1st EPが配信限定でリリースされました!

各配信ストアはこちら
Apple Music
Spotify
Amazon Music
Youtube Music

5años 1st EP "5años"
01 Admiración / 02 Seremos felices

5años https://www.facebook.com/5anyos

Cuatro venezolano: Ken Toyoda
Vocal: Toshihide Koya
Violín: Emy Sakai
Bajo: Tomohito Kan
Maracas: Sho Makino

Diseño gráfico: Eko Hayashi
Fotografía: Jun Ishibashi
Grabación: Studio Happines, Japón
Ingeniero (grabación): Ryota Murahama
Ingeniero (equalizacion) : Eiji Hirano 

実は、去年マイアミでベネズエラヴァイオリンを Daniela Padrón という素敵なヴァイオリニストに習ってくるなど、準備を重ねてきていました。

ここ最近は、毎朝Instagram経由で5años聴いたよ!というDMがベネズエラのすごいミュージシャンたちからきていて、目覚めが最高の気分です。こういう出会いは音楽や私の周りの人たちが与えてくれたもので、もはや私にとっては副産物ではなく一番大切なことになっています。いつか彼らの音楽もこのnoteで紹介したいな!

世界に平和な日々が戻って、また世界各地で演奏を続けていけたらいいなと願っています。

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ヴァイオリン、ハーディングフェーレ、ヴィオラ奏者/音楽民族学者。東京藝術大学大学院修了。専門は世界の民族音楽としてのヴァイオリン奏法🎻 音に至るまでの日々のインスピレーションや音楽にまつわる発見・情報を、毎週日曜日に更新中✎ https://www.emysakai.com/
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