トランスのために費やした35年間

先週内摘(SRS)が終わり、後は書類が揃えば年内か年始には本来あるべき戸籍に変わる見通しが立ってきました。
長かった。
「トランスのために費やした35年間だったな」
というのが個人的な心情です。

得体の知れない不快感、羞恥心、自分が何者か分からない感覚、
将来を思い描けない、人にすんなり受け入れてもらえない感覚。
それらは身体的にトランスすることによって大幅に改善された。
(まぁ人生の問題は性別違和以外にも色々あるにはあるんだけど)

皆思うことだと思いますが、普通のジェンダーで生まれてたらこんなに大幅な人生の浪費(心情面、キャリア面、金銭面)はせずに済んだよなと。

とはいえ、純男(あるいは純女)に生まれていたら、ジェンダーとは別の段階で人生のあれこれに直面します。
「俺は五体満足なのにこんな事もうまくできないなんて…」
「私は女だけどセクハラされたり子供産めと言われたりして辛い…」
そういう気持ちは、トランスだと持たずに済んでいるかもしれません。

そう思うと、トランスだから人生損だとか、LGBTは特別に辛いから社会が物凄く気を使っていかないといけない、という考えに偏らずにいられるような気もする。

自分の場合、実際に性別上の問題が大きな障壁となって15年分ぐらいタイムロスした形になりますし、保険のきかないカウンセリング・ホルモン・手術等にかけた数百万の出費があるのは事実。
でもまぁ必要な事だったな、人生の貴重な体験だったな、と思うことにします。

私は現時点では他のFTM活動家さんやYouTuberさんのように顔出しで情報発信したり、トランス経験をビジネス化しようという気持ちはあまり無いですが、こうしてnoteでささやかに書いていることが他の当事者さん達の参考になり、ちょっと心温まる何かが生まれれば報われるかな、という感じでいます。

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