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その人に寄り添うことから、社会起業は始まり、発展していくー広石コラムVol.2

私の住まいの近所は公園等散歩コースがたくさんありますが、今年の夏の暑さと、コロナで、集って散歩をしているご高齢の方達をあまり見かけなくなりました。この暑さの中、買い物はどうしているのだろうか?一層高齢の方の孤立が増えてしまうのではないか、と気になっていたところに、こういう場所があってほしいなと考えさせられるコラムを見つけました!
                        (事務局 新村)


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その人に寄り添うことから、社会起業は始まり、発展していく

「このiPhoneには、音楽、ニュース、計算機といった多様な機能が入っている。それをみんなが使っている時代なのに、未だに政府は縦割りの発想から抜け出せない」

イギリスの代表的な社会的企業ブロムリ・バイ・ボウ・センターに2015年3月下旬、訪問しました。社会起業プランニングの講座などでも、社会起業の事例としてもお伝えしてきています。

今回は2日間にわたり、創業者のアンドリュー・モーソンさんだけでなく、現在の経営陣、立ち上げ当初からのメンバー、現場スタッフなど、多数の方に2日間、お話を伺えました。

冒頭の言葉は、モーソンさんが「なぜセンターを社会起業でつくらないか?」と説明してくださっている時の言葉です。

「住む場所を探している人がセンターの住宅相談窓口に来る。すると横に診療所がある。健康的な食事ができるカフェがあり、その横の相談所で生活相談にものってくれることがわかる。ある人はアートに興味があってきて、そこで起業家について知る。施策ごと、分野ごとに分けて施設をつくることに、いったい何の意味があるのだろう?」

「医療や福祉を語る時、公平や平等を論じたがる。しかし、それは住民それぞれの多様性を無視してしまう危険性がある。ここにいる全ての人たちは、誰も“同じ”ではない。それぞれが人生経験を積み、違う人生を生き、違うニーズがあるからこそ素晴らしい。多様性を受け容れ、一人ひとりを見る。

そして、その人に必要なことを、政府から民間まであらゆる制度やサービスを調べ、その人が使えるように有機的に結び付けて提供する。それがこのセンターだ」

モーソンさんも、現在の経営者であるロブさんも、相談窓口のスタッフも、会った人全員が「地域やコミュニティではなく、一人ひとりを見る」ことを強調していました。疎外された中で死んだジーンさんに必要なのは、友達として寄り添うことだった。それは、センターの立ち上げ時も、450万ポンド(約8億)の事業となった現在もまったく変わらない運営の軸になっています。それが、このセンターのある意味だと。

一人ひとりを見て、その人のコンテクストを理解し、その人のなるべき姿を共に考え、実現のために必要な社会資源をコーディネートすること。それは、最初から、いまも、これからも、社会起業の本質なのだと改めて深く考えました。                エンパブリック代表 広石
                     (2015年4月17日記)
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「医療や福祉を語る時、公平や平等を論じたがる」という言葉にはっとさせられました。つい、皆に公平・平等に行き届くことが大切と考えがちですが、それでは本当に必要なことは届けられないのだなとつくづく考えさせれられました。エンパブリックからこちらの内容に関連した書籍が発刊されております。下記からご購入いただけます。       (事務局新村)


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