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empublicメールマガジン「根津の街から」(2021年8月17日発行)ー広石コラム


「変化と不安定さを生きる知恵~ Social & Emotional Intelligence」

新型コロナウイルス感染症はまだ収束が見通せない状況です。
感染者数などの数値がかつてなく高まっているにも関わらず、緊急事態宣言の効果が以前のように出ていない状況が起きています。
この期間内でのオリンピックの開催が影響を与えたのかどうかも議論になっています。
相矛盾する要素の中、状況が変化しながらコロナ禍が長期化していることに、多くがストレスを抱えています。

このようなストレスや矛盾に向き合い、他者と考え方の違いを受け入れながら物事を進めるには
「社会・情動知性(Social & Emotional Intelligence)」が大切だと考えられています。「情動知性(emotional intelligence)」「EQ(情動知能指数)」として、近年、ビジネスでも論理思考だけでなく情報知性も大切という文脈で知られるようになっています。
多様な価値観の人が共に働く状況では、リーダーには自分が理屈で良いと思うことだけでなく、相手はどう感じているか理解したり、不安やストレスをうまく扱ったりすることが求められているのです。
特に、自分にとって都合の悪い情報を無視、過小評価する「正当性バイアス」など、情報や状況を自分のフィルターで見る「認知バイアス」は、価値観が多様化する中、重要性が高まっています。
それに加えて、会話を通して関係づくりや組織やネットワークの状況を理解して働きかけ、異文化コミュニケーションなどを扱う力が「社会的知性(social intelligence)」です。
相談せずに決定事項を一方的に伝えるよりも、決定前に状況を共有し手相談する方が、メンバーの協力を得やすいなど、人と人の関わり方の知恵が重視されているのです。

これらが注目されるのは、社会心理学や行動経済学、脳科学などの進展も影響しています。
それは、論理的・合理的な思考の限界を自覚し、感情や関係性という非合理的とされてきた領域にまで視野に入れることが大切だと改めて理解されるようになったからです。
それは、不合理さを扱うこと以上に、人間を包括的に理解することによって、人間の持つ総合力を発揮できるような知性のあり方が求められるようになったと言えるでしょう。

今は、誰もが安心して豊かに暮らせる社会を望んでいるのに、不確かで正解がない問いを扱うがゆえに分断を引き起こしがちになっている状況があります。
ある人にとっての正しさが、ある人にとっては正しくなく、時には不愉快ですらあること。
また、正しさの衝突の中で、何が正しいのか判断しきれずにいる人が多数いる。
そのことを深く受け容れ、「正しさ」という論理だけに頼るのではなく、感情や関係性、解釈についての理解を深め、自分のあり方を整えていくことが求められているのです。

変化が激しく不安定な社会において分断や対立を広げず、より良い変化を生み出すには、「社会・情動知性」の理解が不可欠だと言えるでしょう。

*このような社会・情動知性は、人と人を結びつける「コーディネーター」の業務には不可欠な知恵です。また、「コーディネーター」を考えることで、社会・情報知性への理解も深まっていくと考えています。
今週から始まる「コーディネーター・ゼミ」でも、このテーマを考えていきたいと思っています。
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