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「他者との対話が作る自分」-広石コラムVol.33

小学校の授業でも対話の大切さが重要視されているようです。日々のニュースを見ていても、色んな立場や違いから生まれてしまう問題点が多すぎて、大人こそもっと対話の時間を大切にするべき!と思ってしまいます。自分と相手の気持ちや考え方の違いを知って、認め合うことが本当に大切な世の中になっているなと感じます。対話について書かれていたコラムをご紹介します。(事務局 新村)
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「西郷どん」もですが、幕末の物語で志士たちは「日本国を守る、強くする」と熱く語ります。「日本」を語ることが、当時、“開明的”で、自分も周りも熱くするものだったのでしょう。それまで、「お国」とは「藩」を指していました。それが、「日本国」を語り始めたのは、「他にある関係ないもの」と意識外に置かれていた「外国」が、黒船到来によって、攻めてくる=自分に直接影響を与えうる存在となり、「他にある」とできなくなりました。幕末に「日本」を語るのは、藩という旧制度を超える視座から海外への危機意識を共有することを意味し、その過程で「〇〇藩の人間」から「日本国の人間」へと、「自分」がシフトしていったのでしょう。

最近、「2001年宇宙の旅」の50周年記念リバイバルが上映されていましたが、原作者のA.C.クラークは、SFの役割を「種としての人類を描くこと」と述べていました。宇宙に出たり、宇宙人に出会うことを描くことで、人類という「種」を考える視点が手に入るのです。私たちはみな人類の一員であっても、「自分が人類という種の一員として」の人のあり方や責任を考える機会は、なかなかありません。

学生たちは就活で「自己分析が大切」と言われます。ただ、「自分」を自分一人だけで考えても、なかなかわからないものです。友人や家族などと話をしたり、アルバイトやインターンの中で多様な人や機会に出会う中で、「あ、自分はこういうところがあるのだな」「自分にとってはここが重要なんだな」など気づきます。

他者との出会いの中から「自分」を発見していく過程が、新しい「自分」を見つけ、アイデンティティの変容も促すことができる。それが「対話」の大切な意義です。

対話が、ただ他の人の話を聞く場であったり、合意形成のためだけでは、つまらないものです。他者がいることで「自分」の特徴を自覚でき、一人では見えていなかった良さや課題が見え、そこから、「自分の新しい可能性」が見えてくる。そうやって、今までの「自分」がゆらぎ、新しい「自分」へと再構築されていくことが、対話の最もダイナミックな面白さです。

そして、今、ビジネスにおいても、自らをゆらし、再構築する「対話」が求められています。
「ダイバーシティ」では、子育てや外国人など従来の会社のメインではない働き方を受け容れることで、仕事の進め方をどのように再構築し、「自社での働き方とは何か」を再構築していけます。
そして、「SDGs」により、「ビジネスは利益優先。社会や環境は外 or CSR」と割り切れていたのを、社会や環境がビジネスに影響あることを視野に入れなければ生きていけない時代がきました。

「ビジネスの外」としていた様々な他者が、黒船のようにビジネス世界に押し寄せています。
会社が続くとは? 良い会社員とは? 利益とは? 価値観をゆらし、「ビジネス」と「会社」を再構築するための「対話」が求められています。
                           代表 広石拓司
                        (2018年11月06日記)
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私はこのコラムを読んだ時に、初めて「他者がいることで自分を知る」という言葉に、なるほどーと自分自身の色んな出来事を回想して、すごく納得!と感じたのを思い出します。この事実に気付くと気付かないでは自分の人生が変わるなと思いました。これからも色んな人との関係の中で自分を知っていく作業は続きそうです。。(新村)

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