Amazon Prime Video で往年のモノクロ映画を観よう(後編)

「前編」からの続き。


上海特急

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1932年、1時間21分。

内戦(国共内戦)に揺れる20世紀初頭の中国、北京から上海への特急列車に乗り合わせた元恋人ふたりと癖の強い乗客たちを巻き込んだできごとを描く。「大人のすれ違い」を思わせぶりに演じるマレーネ・ディートリヒの官能的な映像美こそがこの映画の美的目的といっても過言ではない。愛と信頼について興味深い見解を提示してみせるロマンスでもある。

植民地主義的なオリエンタリズムの表出であるとはわかっていてもなお惹かれることを否定できないこのどこか退廃的な美しさよ。

街角 桃色の店

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1940年、1時間38分。

ブダペストの街角にある雑貨店を舞台にしたラブコメ。トム・ハンクスとメグ・ライアンによる『ユー・ガット・メール』(1998)は本作のリメイク。どうということのないラブ・コメディだけれど視聴者を刺激漬けにする映画に疲れた現代人にはこういうのが白湯のように安心するみたいなとこがある。クリスマス映画でもあります。

我が道を往く

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1944年、2時間6分。

ニューヨーク下町の教会に新しく赴任した若神父はくたびれた教会に生気を蘇らせる。ビング・クロスビーの愉快な歌声が魅力。昔の映画は歌とセットで作られており、いい映画にはいい歌がある。クロスビーは続編の『聖メリーの鐘』(1945)で同じ神父の役を演じる(この2作は制作順の関係上『我が道を往く』のほうが続編とされることもある)。気に入ったら『聖メリー〜』のほうもどうぞ。

そして誰もいなくなった

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1945年、1時間37分。

アガサ・クリスティの同名ミステリの映画化。あまりにも有名なのでご覧になったり小説のほうを読まれたことのある方もいるかもしれない。観たことがないという方はいまからまっさらで楽しめて幸運である。

マルタの鷹

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1941年、1時間40分。

ハードボイルド探偵といえばフィリップ・マーロウかこのサム・スペードである。ハンフリー・ボガードのスペード像は映像におけるハードボイルドのテンプレート的アイコンとなってゆく。フィリップ・マーロウのほうは『三つ数えろ』(1946)で会うことができるが、マーロウ役はこれまたハンフリー・ボガードである。もう観客も同じ存在として認識してたのではなかろうか。

ホームズなどのいわゆる「名探偵」が事件に対して完全に外部の存在として関わるのに対し、事件を追い事件に巻き込まれながら結末へとなだれこんでいくのがハードボイルドものの特徴である。現在のアクション映画の原点といえるのかもしれない。


以上で10作品を紹介しおえた。みなさんが古いモノクロ映画を観ることを楽しんでくだされば幸いです。

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