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ショートショート

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思いついた時に書く、短編を集めました。言葉をこねくり回して遊んでいます、
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記事一覧

たぬきマイクロノベル①

1 あー人間に擬態して生きんのしんどいわ。けど、うまい飯が買えて暖かい家知っちゃったらさ。…

ラーメンロンダリング

ラーメンを前に後悔している。 「食べたい味コレじゃなかった…」 迷った挙句にいつも“コレじ…

燃えさし

「今年の依頼はどんな状況だ。報告を」 小柄で目つきの鋭い人物は、傍らの部下を促した。同じ…

SHI・RO・KU・MA

① 玄関を開けると、白い枕のようなものが転がっていた。いや、寝そべっていた。それはもぞも…

ひがんわたり

ふと あの世にいこう と思い立った。 命を絶つわけではない。 いわゆる死後の世界ではなく、…

みどりの海(原作:娘)前編

わたしは海のほとりにひとり立っていた。 海の色は反射するエメラルドグリーン。反射する光が…

馬場さんの件について

--------------------------------------------------------------------------------------  それが姿をあらわした時、1ーAの教室には様々な驚愕・恐怖・当惑の声が溢れかえった。 だが、その喧騒を破ったのも、それー馬場さんの発した声だった。 「おっはよ~☆トースト咥えたまま走ってたら~曲がり角で牛とぶつかっちゃって~でも遅れそうだったからケンタウルスのまま来ちゃった☆彡」 その人面牛身のも

深く潜る

わたしたちの仕事は、深く潜り、見つけて持ち帰ること。 それはさながら、海女のしぐさに似て…

ショートショート「片手落ち」

道の真ん中にさあ、よく軍手が落ちてるでしょ。 あれでね、生き物をおびき寄せるんだ。タコつ…

(ショートショート)夜の嵐は過ぎて

寝つけずに寝転んでいる。 大量の水が落ちてきた音がした。 強い光も点滅する。 夜中の嵐だろ…

(ショートショート)擬態

なるほど、そういうことだったのか。 今までの人生での違和感がようやくわたしの腑に落ちた。…

(超ショートショート)ほこりを持つ者(修正版)

為政者のもとに、ひとりの子どもが歩みよって言った。 「あなた、ずいぶんほこりがあるようで…

(ショートショート)ドーナツの穴

ドーナツの穴をなくすにはどうすればいいのか。という問いがあった。 ある者は穴に指を通して…

(ショートショート)まよわない人

「もう、まよわないぞ」 わたしはひとりごちた。 「そう、わたしはもうまよわない!」 片手に空のボトルを持ったまま、今度は高らかに宣言した。 「マヨをかけようかかけまいか、もう迷わない。なぜならもう、マヨはないから」 ないものは、かけようがない。当たり前の道理だ。 「そう、マヨはない…今はない」 目の前の料理を見下ろす。 茹で卵、たこ焼き、焼きそば、ブロッコリー… マヨいはないはずだったが、わたしの中で新たなマヨいが生まれつつあった。 今度はマヨネーズを買いに行くかどうかを