(ショートショート)まよわない人
「もう、まよわないぞ」
わたしはひとりごちた。
「そう、わたしはもうまよわない!」
片手に空のボトルを持ったまま、今度は高らかに宣言した。
「マヨをかけようかかけまいか、もう迷わない。なぜならもう、マヨはないから」
ないものは、かけようがない。当たり前の道理だ。
「そう、マヨはない…今はない」
目の前の料理を見下ろす。
茹で卵、たこ焼き、焼きそば、ブロッコリー…
マヨいはないはずだったが、わたしの中で新たなマヨいが生まれつつあった。
今度はマヨネーズを買いに行くかどうかを