もうすぐで界隈をひとつ去る者の、戯言

私は、1つの界隈に長く居座ることが多い。以前申し上げた通りドロドロしながらも、結果的には長続きしてしまう。しかし今回は、早々に界隈を去ることになったので、その件についていくつかお話をする。


私が去る界隈というのは、少し特殊な形態を取る、とあるアイドルグループの界隈である。仮に "Aグループ" と呼ぼう。どのアイドルか申し上げることが出来ないため、非常に抽象的な話になってしまうこと、そして多分にフェイクを交えてのお話になってしまうことを御容赦願いたい。

今回私が去る、"Aグループ"


私は、Aグループという、アイドルグループを追い掛けていた。それも、その子たちが活動を始めた初期からである。古参、を名乗ることがアドバンテージになるほど長くはないグループだが、今年に入って急激に注目されるようになってきたので、一応古参の部類に入るのかもしれない。


それこそ、短い期間ではあるが、ファン界隈については、ある程度の酸いも甘いも見てきた。厄介ファンがいれば情報はすぐに私にも回ってきて、中心となっている幾人かのファンと相談して、どうするかを決める。この場合の決め事とは、誰がどのように相手へ注意喚起をするのか、そして推しに危害が及びそうならスパブロ(Twitterアカウントをスパムであると通報した上で、ブロックすること)をするかどうかという話だ。


もちろん、私の一存で何かが決まることはなく、近い立場の人たちと話し合って合意を得た上で、行動に移す。おかげで、他の同様な形態を取るアイドルグループよりも、いくらか治安は良いように思う。そのため、他のアイドルグループで疲れきった人たちが、こちらに流れ者としてやってきては、「みんな良い人たちだね」と言ってくれるようになった。


でも私たちは、少なくとも私は、そうではないことを知っている。波風が立ったときもあったことを、よく覚えている。良い人ばっかり、と言ってもらえるたびに、数名の、「良い人にはなり切れなかったファン」を思い出しては、胸がヒリヒリと痛む。


例えば、デビュー時から推してた古参ファンが、他の人がしたことの責任を取って、「俺も悪かったしこいつも反省してるから」と、2人でファンを辞めたり。何も悪くないのに、「荒れないように」という理由で、ファンでいることすら辞めてしまった無念は如何ばかりか。


例えば、ファンのオフ会に自分だけ呼ばれなかったからと、無差別に人を傷付けるような言葉を吐いて回る人がいたり。無視したのではなく、たまたま繋がりがなかったのだが、向こうからしたらそうではない。


傷付いた人たちに、大丈夫かと声掛けしながら、義憤に駆られて怒るファンを、私たちは宥めて回った。まだ、界隈を守るための連絡網が確立していなかった頃だ。それでも必死に、延焼して推しにまで届かないように、「傷付けるようなことを言う人には反応しないで」と言って回っていた。傷付いた人たちのことを思えば残酷だが、推しの話が、厄介ファンのことで埋まるのは、推しにとっても嫌だろうから。


潔癖だと思うだろうか。推しが嫌な思いをしないように、ファンの間にこれ以上嫌なムードが広まらないようにと動くことは、みんなの自由を奪うようで暑苦しいことなんだろうか。何の権限があってそんなことをするのか、古参ファンの権限が拡大するだけではないのか、威張り散らかしやがって……。もっともである。


私の界隈ではしていなかったが、恐らく、規約やなんかを作ったり、誰を首長とするかを決めたりなどしていたら、権力勾配などを気にしなければならなかっただろう。

幸いにも、ファンの中の連絡網などは、自然発生的に生じており、「何となくこの人に相談しよう」という信頼のみで成り立っているもので、誰がどのようにということも「友達同士の相談事」レベルの内容でしかなかった。

また、推している年数ではなく、「もっともなことを言っている」と判断した人に個人が独自に連絡を取っていたため、連絡網と呼ぶにも大袈裟なものだった。最低限知らせなきゃならない人というのも、決まり事はだいたいこの人とこの人と……に連絡するよね、という空気感が出来ていた。

そして他の人が蚊帳の外にならないよう、思っていることの多くは表でやり取りすることや、自治の権限はあくまで「推しのことで傷付いている人はいないか」を各自見て回って、「どのように声掛けしていくか」を決定するのみに留まることなども、ぼんやりと気を付けていた。


一斉スパブロを検討したことは、一度だけあった。しかし、その辺りは個人の判断に任せようということになった。


結局、連絡網といっても、多くは意見交換くらいなもので、判断は個人に任されていた。そういう意味では居心地もよく、"Aグループは" あまり大きな問題もなく楽しむことが出来ていた。

問題が起きたのは "Bグループ"


今回私が去るのは、今まで話題に上げてきた "Aグループ" であるが、問題が起きたのは別の "Bグループ" である。結論だけ言えば、「別の界隈での問題を持ち込みたくない」という理由で去るのである。


ゆるい連帯の中でお互いの良識を高めあっていたAグループは、「みんなそれぞれの考え方があるよな」という思想でお互いの考え方を尊重していたのに対し、今回問題が起きたBグループでは、「常識で考えればこうだよな」という思想で表面上は連帯しているように見える状況だった。


何も起きなければ、そのままビジネスライクな関係を続けていただろう。でもそうはいかなかった。Bグループには、初期から活動している子たちと、後から入ってきた子たちがいるのだが、初期から活動している方の子たちが、ある日突然、活動を縮小してしまったのである。


もう、荒れに荒れた。理由は充分に説明されなかった。それに、ファンに相談もなしに、気が付いたら活動が縮小しているという状況だったため、何か裏があるのではないかと勘ぐる人もいた。デマも広まってしまったし、数年経っても未だに新しいデマが出ている。


実際には、縮小については活動当初から軽く示唆されており、唐突なことではなかった。ファンの反応としては、「こういう形だとは思わなかった」「実際に起きたらショック」といったところだろうか。


「縮小しないメンバーの出番が増える」とあっては、安易に喜んでいる人もいたし、縮小する子たちを含めて新しいチャレンジを応援するという声もあった。そしてもちろん、運営に抗議したり、推すのをやめたり、中にはファンに対して傷付くような暴言をタグつきで吐き散らかしたりする人たちも見られた。前者は縮小しない子たち推しに多く、後者は縮小する子たち推しに多いが、例外もたくさんおり、2つに分けることは難しい。


私も、運営には納得がいっていなかったし、活動を縮小する子たちの中にイチ推しがいたので、大変腹が立っていたところもあった。イチ推しは、個人アカウントで、「本当は、グループの中でやりたいことがあった」ことを匂わせる投稿をしていたことから、実際には本人の意向というより、運営の方針である可能性が高い。そういう意味で私はどちらかというと、後者の人たちに近い感情を持っている。


それでも、「私の推しはチャレンジをするんだ、そして、帰ってくる場所が必要なんだ」と思い、現Bグループを推している。縮小する子たちはさぞ悔しく、辛いのだろうと思いつつ、それでも弱音は決して吐かずに挑戦する姿に憧れた……というのも否めない。なので、ムーヴとしては前者に近い形で推し事をしている。


しかし、それを快く思わない人もいる。最近私のnoteによく出てくる「嫌がらせ」をしているのもその人たちだ。


現Bグループで活動縮小をしなかった子たちは、後から入ってきた子たちなので、私のイチ推したちを推していた人は「推しの居場所が奪われた」ように感じている人も多い。なので、いわゆる後期組を良く思わない人や、後期組はグループメンバーではないと思っている人もいる。


もっと多様な考え方があって、どの考え方にも、一理あると私は思っている。しかし、こと行動に移すとなると、現Bグループを応援するほかに選択肢がなく、そうしているのである。それを汲み取ってくれる人は、どんな過激な考え方の人でも汲み取ってくれているし、汲み取らずにいる人は、執拗に嫌がらせを繰り返してくる。その中に、私と同じように、AグループとBグループを掛け持ちしているファンの人がいた。


その人は、Bグループでの問題を、私を経由して、Aグループにまで持ち込もうとしていた。私に嫌な思いをさせるためにそうしているのだ。私と話をしているときに、わざわざ無関係なAグループのことを絡ませながら、Bグループの話題を吹っかけてくる。耳が早いAグループのファンはそれだけで何だか不穏な雰囲気だし、SNSを介しているので、下手をするとAグループの推しに見つかるかもしれない状況である。


こんな状況では、Bグループを推すことをやめる方が、賢いと思うだろう。Bグループの推し方に関する仲違いで、こうなったのだから。しかし私は、Aグループの推しより、Bグループの推しを取った。Aグループのそこそこ中心で、穏やかではない局面に出会ってきた以上、私絡みで、無関係なAグループに迷惑をかけるようなことはしたくなかった。そして、アイドル推しとして、Bグループに骨を埋めることを決意した。


決意表明

これは嫌がらせをした側もされた側も全く匿名の、私からの告発であると同時に、私の決意表明である。私はこれで、同情を買おうなどとは微塵も思わない。これは、「私は推しのことをこんなに好きだったぞ」という、ひとつの失恋話のようなものであり、「こんなに好きなんだぞ」という、愛の叫びでもある。これからはAグループと道を違えていくんだ、これからもBグループを推していくんだという、決意の表れなのだ。

ありがとう。私の血肉であり、恋をしていた、推したちよ。たくさんのことを教えてくれた。本当はもっと、あなたたちから、たくさんのことを教わりたかった。私は今日で、あなたたちを卒業する。

これからもよろしく、私の推し。あなたが、あなたたちが、どんな状況にあるのかを思うと、いつも胸が痛む。迷惑をかけないように、今直接は伝えないでおくけれど、世界で一番愛してるぞ。


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