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統合失調症の労務管理に関する裁判例

統合失調症と解雇①国・気象衛星センター事件(大阪地判H21.5.25) ・それまで通常の職務をこなしていたにもかかわらず、突然に無断欠勤したこと,同僚らに対して何度も宗教勧誘を繰り返したこと等を踏まえると、既に統合失調症を発症していたと推認される。 ・上司は,46日連続の無断欠勤が自由意思に基づくものであることについて疑いを抱くことは十分可能であったから、懲戒免職処分は裁量権を逸脱濫用したとして取り消されなければならない。 ②日本HP・諭旨退職処分事件(最判H24.4.2

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    • 無期転換ルールの見直し(多様化する労働契約のルールに関する検討会)

      第1回(2021年3月24日)議事録 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18503.html 資料6(現状)https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000756488.pdf 資料10(論点)https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000756600.pdf ・検討会の議題 ①無期転換ルールの見直し ②無期転換社員の受け皿となり得る限定正社員の検討 ・雇用情

      • 転勤と私生活上の不利益に関する裁判例

        本人病気・会社が把握していない病気は考慮されない(④D)。但し病歴はできる限り伏せたいものであるから、転勤の面談や内示の時点で公表されたら考慮すべきという考え方はあり得る。 ・一般的な病気であれば、転勤先で病院を探せばよいと評価される(③、④D、⑤)。 ・メンタル不調の場合は、現在の病院に通うことが望ましいという評価があり得る。 ・通勤距離が長いことを問題視している判例があるが(②、④F)、転居すればよいから、転居できない事情が必要と考えられる。 ・休職等からの復職時の転

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        • 賞与の待遇差は、正社員人材確保目的に加えて、人件費削減機能と労働意欲向上目的が重要(同一労働同一賃金)

          大阪医科薬科大学事件最高裁判決は、賞与について正社員人材確保論を採用した 大阪医科薬科大学事件最高裁判決(最判令和2年10月13日)は、非正規に対して賞与を支給しないことは不合理ではないと判断した。同判決では、賞与の性質について、労務対価の後払い、一律の功労報償、将来の労働意欲向上を持つと認定した上で、賞与の目的について、正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的と認定している。いわゆる正社員人材確保論を採用したものである。  なお、正社員人材確保論

        統合失調症の労務管理に関する裁判例

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        マガジン

        • 労働判例
          1本
        • 人事労務の勘所
          2本

        記事

          有為人材確保論ではなく、正社員人材確保論(同一労働同一賃金)

             2020年10月13日、同一労働同一賃金問題について、最高裁が5つの判決を下した。このうち、大阪医科薬科大学事件(賞与)とメトロコマース事件(退職金)は、「有為な人材の確保及び定着を図るなどの目的」という有為人材確保論を採用したものだという見解が見られる。しかし、最高裁判決の理解として正確ではない上に、特に説明義務を履行する際にマイナスの作用も生じ得る。本稿で訂正しておきたい。 最高裁は「有為人材」という表現を用いていない 賞与の支給目的について、大阪医科薬科大学事件

          有為人材確保論ではなく、正社員人材確保論(同一労働同一賃金)