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なぜ人は自己批判をするのかを考える。

前回はセルフ・コンパッション、『感情調整の3つのサークルモデル』についてお伝えしました。
今回のテーマは『自己批判』です。これについて一緒に考えていきたいと思います。


いつものように、記事と同様の内容をstand.fmを使った音声でも、お届けしています。音声の方が良い方はこちらでどうぞ。


さて、早速ですが、みなさん。
何か失敗した時、上手く行かなかった時、または自分自身の成果に満足できなかった時、自己批判をしていますか?

もし答えが「YES」なら、それはどうしてですか?

自分をけなした方が、物事うまくいくから
誰かに責められる前に自分を責めた方が気が楽だから
自己批判は成長のために必要だと思うから
良い人間でいるためには、自分に厳しくしなければならないから

上記は、一例です。ご自身でなぜ自己批判をするのか、少し考えてみてください。

いくつか思いつく理由が見つかったでしょうか。


では、自己批判をしなかったら、どうなってしまうのでしょうか。

怠けてしまう。
いつか罰が当たる。
これ以上人として成長できない。
人に嫌われる。

これについても、少しご自身の中で考えてみてください。

どんなことが思いついたでしょう。


自己批判は、「恐れ」の感情から生まれることが多いとされています。
ひとつ例をあげてみます。

Aさんは、プレゼンで大失敗してしまいました。
するとレッドシステムが作動して、「恥」の感情や、仕事を失うのではないかという「恐れ」を感じ、自己批判することで、それを努力の糧とし、次の失敗を避けようとしました。


確かに自己批判は、Aさんのように、失敗から守ろうとする側面があります。
しかし、一方で自己批判は、攻撃する側と攻撃される側の両方を同時に行っている状態であり、この時心と体には強いストレスがかかっています。
また短期的に自己批判で頑張れたとしても、長期的には自信を失ったり、ますます失敗を恐れて行動できなくなってしまうこともあります。

そのことについて考えていただくために、ここでまたひとつ質問をします。



自己批判はどんな言葉をあなたに投げかけますか?

「なんでまた同じ失敗をしてしまったんだろう。自分はバカだ」
「ビビッて言いたい事も言えず、負け犬かよ」
「こんなんじゃダメだ。全然ダメだ。私はダメ人間だー!」

どんな言葉がイメージされたか、それを記憶しておいてください。
そして、その言葉を目の前にいる人に言われたとしたら、自分自身がどんな気持ちになるか想像してみてください。

自己批判の言葉を第三者から受け取って、物事はうまく行きそうな気がしたでしょうか。
自分の成長を後押ししてくれるモチベーションになったでしょうか。

少し時間を取って、このことについて考えてみてください。


失敗をした時に、沸き起こる負の感情は、多かれ少なかれ誰でも感じるものですが、その対処の仕方は人によって異なります。
セルフ・コンパッションの高い人は、厳し過ぎる自己批判はせず、コンパッションに満ちた言葉で、自分自身に語りかけます。
そう、私たちが落ち込んだ親友を元気づけたり、慰めたりするのと同じように自分自身に語りかけるのです。

ところが、自己批判の強い人は、自己批判をする自分さえも批判してしまうことがあります。
ですが、先に書いたように、自己批判は自分自身を守ろうとしてくれているものでもあるので、自己批判に対しても、温かい言葉をかけてあげることで、セルフ・コンパッションを高めやすくなります。

自己批判の声が聞こえたら、「自己批判さん、私を守ろうとしてくれたんだね、ありがとう」と言って、それから自分自身に対してコンパッションに満ちた言葉をかけてあげてください。

「辛かったね、たいへんだったね」
「よくがんばったよ、えらいよ」
「きっと明日はうまくいくよ」
「上司がよくできてるって言った言葉はそのまま受け取ろう」
「いつもそばにいるよ」
「なんでも話してね」


そうはいっても、なかなか自分に優しい言葉をかけられないという方もいらっしゃると思います。
実は私もそうでした。
養育者が厳しく、褒められた記憶がほとんどない私は、自分を慰める言葉を持っていませんでした。

そんな時の、とっておきの方法を伝授します!

それは、コンパッションに満ちた第三者を自分の中につくることです。
実際に知っている誰かでもいいですし、架空の人物でも構いません。
その人は、あなたを心から愛して、あなたの幸せを心から願っている人です。あなたの苦しみに気づいてくれて、なんとかしてそれを取り除こうとしてくれる人です。
そんな、あなたを無条件に受け止める誰かを心の中につくって、その人に温かい言葉をかけてもらうのです。
自己批判の声が聞こえたら、「私を守ろうとしてくれたんだね、ありがとう」と言って、コンパッションに満ちた第三者に心の中で温かく包んでもらってください。

十分に癒されたら、あなたはきっと困難に立ち向かう力を手に入れていることでしょう。
恐れていたような、成長できなかったり、怠けてしまうようなことがないことに気付くはずです。

次回はコンパッションを高める工夫についてお伝えしたいと思います。

今日は私のnoteに来ていただきありがとうございました。

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