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「EmotionってTechできるの?」 人間のココロを捉える2つのアプローチ

Emotion Tech Advent Calendar 2021 - Day5

Emotion Tech データアナリストのイケガメです。

 最近、後輩の新人アナリストがこんなこと言うんです。
「うちの会社って『Emotion Tech」なのに、EmotionをTechしてなくないですか?」

 生意気なこと言いやがって、めっちゃしてるわ!と喉まで出かかったんですが、客観的に見たらそう見えてしまうというのは受け容れるべき事実。そもそも、EmotionをTechするって、なんて説明したらいいんだろう…なんて逡巡し、その場は「あーそう…かもねぇ…」なんてお茶を濁してしまいました。

 社名の由来はもちろん知ってますよ。「感情を把握する技術を使って、顧客の体験価値を向上させる」みたいなやつです(確か)。うちの強みである、独自のロイヤルティ分析手法を前面に押し出した、良い社名だと思っています(ですよね社長)。

 ただ一方で、Emotion Techが誇る感情の把握手法は、「顧客や従業員へのアンケート」が中心になっている。世の中のニーズが多いこともあって、今はほぼアンケート一辺倒です。推測ですが、新人アナリスト君は、もしかしたらそんなところが気になったのかもしれないなと思っています。
 そこで、じゃあどんなやり方なら「めっちゃEmotion Techしてますね!」と彼が言ってくれるのか、考えてみました。

感情を把握する2つのアプローチ

 言わずもがな、「人の感情」ほど科学しにくいものはありません。心理学者が100年以上研究したって、上司や奥さんの今日の機嫌を毎朝教えてくれるAIは、その片鱗すら見えていません。
 まして、自分自身の感情だって、正しく理解しているかどうか。皆さんも、奥さんや付き合っている彼女に「え、なんで怒ってんの」って言われて「いや怒ってねーし!」って答えたこと、あるでしょう。そのときあなたは、十中八九、怒っています。

 とはいえ、そこで諦めたら試合終了です。人の(そして自分の)感情を把握するために、先人たちは血の滲む努力を続けました。巨人の肩に乗り、これまでの研究を私なりにざーーーーっくりと整理した結果、ざーーーーっくりと2つのアプローチに分けることができると思っています。

1. 聞いて把握する
 感情を把握するための、一つ目のアプローチは、その人に「聞くこと」です。「尋ねること」と言ってもいいかもしれません。アンケートやインタビューを含む、一般的な社会調査手法はここに含まれるでしょう。(Emotion Techの得意分野でもあります。)

 実はアンケート一つ取っても、心理統計学や社会心理学などをベースに、感情を正しく把握するための様々な工夫が凝らされています。誰に・いつ・どのように聞くべきか、など、大変奥深い分野ですが、話すと長くなるので、他の記事に譲ります(Emotion Techの誰かが書いてくれるはず…!)。

 また、心理テストや、内省、日記なども、自分の感情を知る手段として、ここに含むことができるかなと。
 こうして挙げてみると、簡便でシンプルながら、知りたい答えに近づきやすいアプローチと言えますね。これだけでも十分EmotionをTechしていると思うのですが、大きな欠点は、「回答者の主観の影響が大きい」「全員に聞くことはできない」ということでしょうか。こればかりは調査の限界説あるよね…

2. 見て把握する
 さて、もう一つのアプローチは、その人を「見ること」です。「観察する」「計測する」と言うこともできます。認知心理学、生理学、脳科学などをバックグラウンドとして、社会的行動や生体反応(神経活動など)から「この人は今こんな感情だろう」と推測して把握します。「脳波」や「視線の動き」から感情を読み解くってすごいことですよね。

 もう少し身近な例を挙げると、ECサイト上の行動データから「このお客さんは在庫切れの商品を何度も見ているから、在庫に不満を抱えているはず」なんていう推測ができたりします。
 また、以前私がユニクロに行ってしばらくうろうろしていたときに、「何かお探しですか?」と声かけてくれたあの店員さんも、私を観察したことで、私の感情を理解してくれていたはずです(ちょっと違うか)。

 ただ、この「見て把握する」というアプローチは、「聞く」アプローチの弱点である「回答者の主観性」はゼロにできている一方、若干回りくどいと言いますか、「本当のところどう思ってるの」が明確にならないところが、もどかしいですよね。

 もちろん、「脳波的には『悲しい』という感情に違いない!」「視線の動き的にはこう思っているはずだ!」という予測自体は正しいと思いますし、精度が上がれば非常に有用ではあるのですが、本人の感情を、本人の意思も踏まえて把握するためには、やはり片手落ちというか…あと、ユニクロで脳波測定装置を付けて歩きたくないですしね。(見た目Tech感はあるけど。)

合わせたら最強じゃね

 以上、ざーーーーっくりとした2つの感情把握アプローチを紹介しましたが、やはり相手は人間のココロ、どちらも一筋縄ではいきません。
 しかし、「じゃあEmotion Techはどうするの?ずっとアンケートで飯を食っていくの?」という質問に対しては、きっぱりとNOと言いたいです。なぜなら我々は今、2つのアプローチ手法をともに手に入れたからです。
Emotion Tech、プレイドグループへ参画し、 CX領域での提供価値向上へ
 2021年10月、Emotion Techは、WEB上の行動データ分析サービスなどを提供するプレイド社のグループの一員となったことで、「Emotion Techのアンケートデータ」「プレイドの行動データ」の相互利用が活発にできるようになりました。アンケートで主観的な感情を把握し、WEB上で客観的な感情を把握する。いわば「聞く」と「見る」が一体となったアプローチが実現したということです。

 もちろん全ての感情を把握できるわけではありません。しかし、これによって、EmotionをTechするための土壌が一気に広がったと思っています。両方の強みを持った企業グループは、世界を探してもそう多くないはずです。

 そしてまさに今、いろんなアイディアをもとに、EmotionをTechするための仕込みをしているところ。長くなったので、その辺の具体的な話はまたどこか紹介できればと思っていますが、新人アナリスト君も驚くような世界を実現できる日は近いと確信しています。(一緒にEmotionをTechするメンバーも募集中です!)

 それではまた!

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