人生にオチなんてつかない 5月10日(金)朝日記

サカナクション、山口一郎さんの"うつ"についての番組を見た。

コロナをきっかけに、かなり重度のうつ病にかかり、音楽どころではなくなってしまった山口さんが、再び舞台に立てるようになるまで、どのような日々を過ごしていたか、掘り下げる番組だった。

病状を見るに、ただのうつ病というよりは"躁うつ病"なのだと思われる。

何か思い立ったら全力で動かずにはいられなくなる"躁状態"があり、その揺り戻しで落ち込みの"うつ状態"が来る。

この躁状態のことを、山口さんは「アクセルベタ踏み」と表現していた。

この表現はとても的を射ている。
というのも、私も躁うつ持ちで、発症した頃、"うつ状態"でお医者さんに行ったら、「今あなたはガソリンが枯渇している状態です。」と説明された。

つまり、"躁状態"の時に自分の中にあるエネルギーを使い切ってしまって、ガス欠を起こすと"うつ状態"になる。
というメカニズムらしい。

山口さんのケースを見ていて怖いなと思ったのは、アーティストはアクセルベタ踏みの姿しか表に出さないので、その"躁状態"が、その人の普通だと思われてしまうところだ。

全力でパフォーマンスしている時、体調が悪くても無理してスイッチをONにしている状態の時が、デフォルトとして期待されてしまう。

「みんなが期待している俺」でいる、ということ自体が仕事になってしまっていることの恐ろしさよ。

そんな中、山口さんは今後「うつの俺」も表に出していくという決意を表明した。

番組では、朝起きてベッドで動けなくなっている自撮りも公開していた。
インスタでも、ライブ終わりの翌日に揺り戻しが来る怖さを、素直に言葉にしていた。

番組の最後には「サカナクション復活!」という名目のライブが成功する。

でもそのあとの山口さんの「うつ病と肩組んでいかないと」みたいなコメントにもある通り、"うつ病"からの完全復活は難しい。
もしかしたら一生無理かもしれない、という肌感覚が自分の症状を見ているとある。

今も症状は、一進一退を繰り返している。しかし、この春サカナクションを率い、2年ぶりの全国ツアーに挑んだ。
「うつ病を抱えている自分だからこそ、新しい音楽世界を作れるはず」という決意である。

番組HPより

そんなにさらけ出してしんどくない?という心配半分。
とはいえ誰かにしんどさを話すだけでも楽になるというのも分かるから、それを音楽という形でできたら山口さん的には最高ですよね、という応援半分。
という気持ちになった。

ただ、さらけ出し度をグラデにした方がもっと楽だよな、という個人的な意見も浮かんだ。

①ファン
②仕事仲間(バンドメンバーなど)

の二者に話せることって、どこまで素直になれるんだろう。
ファンより仕事仲間の方が素直さは上がりそうだけど、とはいえ気をつかいませんか。

もう少し手前で、利害関係のない人かつ、気軽に話せる人がいるといいよなと思った。

山口さんには、故郷で一緒にバンドを組んでた元メンバーの親友がいるそうで、うつで一番しんどかった時に寄り添ってくれていたらしいから、ぜひこれからも仲良くしてほしい。

テレビ番組という特性上、「ライブ成功!復活!」というオチをつけないといけないんだけど、実は人生にオチなんてそうそうつかない。

過去を振り返って初めて、「ああ、そういえばあれが一旦のオチだったのか」と気づくのであって、生きてる最中はそれどころじゃないのがリアルだ。

これからもこの人の生活は続いていくし、自分だってそうなんだということを、視聴者として忘れないのが大事だなと思いました。

今日のおすすめ🌿
「シャンディガフ」は1日の終わりに聞きたくなるサカナクションの曲。
カラオケにないのがかなしい。

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