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【cinema】キャロルオブザベル

キャロルオブザベル

1939-1945の時代を描かれた作品に弱い。WW IIというのはどうにも不可解で、ついつい惹かれてしまうテーマ。どうにも不可解なゾーンは今日だってごまんとあるし、そして自分の住んでいる国の同時代ももっとわからないことだらけ。でも、今回もシネスイッチ銀座に行く。

この時代(WW II下)のウクライナを舞台とした話は初めてだった。未だ、今日のロシアとウクライナの争いはどうして始まって終われないのかわからないが、当時のウクライナというのも、民族と国家が複雑に混じり合い、変遷に翻弄されていた。

当時はポーランド、現在はウクライナのとある地のアパートメント!?に、ユダヤ人ファミリー、ポーランド人ファミリー、ウクライナ人ファミリーが住む。〇〇人であることの違いの意識は、大陸に住まない私にはきっと理解が足りないのだと思う。仲良くしようにもさまざまなしがらみがついてまわる。
希望は音楽「carol of the bells」(“シェドリック”)。ウクライナの民謡が元になったクリスマスに歌う歌で願い事が叶うと伝えられているその歌を、ただただ素朴な祈りを込めて歌い続けるウクライナ人の娘ヤロスラワの歌声。ほんの少し、緩んでいく大人の拘りの輪郭。
不幸にもこのjewishに関わる争いの炎が大きくなっている中、またこの作品の感想を振り返るのに喉が詰まる思いがする。
ウクライナも全く終わっていないし、この1940年代を含めてこの国は実に翻弄されっぱなしなのだ。ソ連が、ナチスが、なぜこんな乱暴なことができるのか、私が能天気ならそれで一向に構わない。揺さぶられ、親子が引き離され、順次ホロコーストが押し寄せてくる。
「carol of the bells」(“シェドリック”)の願いは、全部ではないかもしれないが、1980年代になって当時子供だった彼らが再会できるところになってやっと通じることになる。それだけかもしれないけど、音楽の力というのはあると信じて、これからも私は音楽を続けていきたい。
9月にこの作品を見て、12月のライヴに、ジョージ・ウィンストン版による「carol of the bells」をピアノで演奏した。来年もクリスマスにライヴがあればやってみようかな。

https://carolofthebells.ayapro.ne.jp

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