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31 文化を演じる制服

ブラック校則というのがたまに話題にあがるが、私の通っていた高校も、独特の文化があった。それぞれの部活に伝統があり、同じ制服を着ているはずなのに、見た目で何部に所属しているかわかるくらい、服装が異なっていた。吹奏楽部にも独特な部則があった。代表的な部則はスカートの丈膝下、十二センチだ。スカートを短くしてはいけないという校則はよく耳にするが、膝下指定はなかなかないのではないか。見た目としては、とても清楚な見た目になるが、地元を自転車で駆け抜ければ、ただのスケバンだ。このスカートの丈は、創部以来、変わっていない。

私は、結構この部則を気に入っていた。高校生の私にとっては、その制服を着ることがアイデンティティになったし、誇りだった。高校生はスカートを短くしたがって校則からズレようとするが、むしろその逆を行って、ズレないことをかっこよいと思っていた。制服を着こなすことが私の生存戦略であり、自分を表現するアイテムになっていた。部則を順守する私は、規律係に任命されていた。いつもポッケには、定規が入っていて、みんなのスカート丈をチェックしていた。真面目すぎる。

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