磯野恵美 Emi Isono

たくさん考えて、たくさん書こう。

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あいさつ

こんにちは、磯野恵美です。 音楽したり、文章書いたり、編み物したり、よくわからない絵を書いたり、まったりしています。時々道化になります。 これまでのお仕事はこちら 長々としたプロフィールが少し苦手なのですが、 一応書くとこうなります。🙇‍♀️ 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 終了 東京音楽大学 器楽科フルート課程終了  音楽系3大学連携プロジェクトミュージック・コミュニケーション講座にて、ワークショップ、アウトリーチコンサートの企画実践を学ぶ。 2013年度

    • 《音楽家》から〈音楽家〉へ、音楽を行為としてとらえたい、わたしのふるまいの方針

       音楽を行為としてとらえたい私のふるまいの方針を紹介します。 ここまでどうやってたどりついたか、プロジェクトのプロセスは⇩から。  縦軸には、伝統と自由、(建前と本音と読み替えてもよいかもしれません)横軸には、境界線の強弱がうかびあがり、伝統に決別するのではなく、伝統とその外側を柔軟に行き来し、人々との関係の中で音楽をしようとするふるまいが現れています。 それでは!象限ごとに解説していきます。 第一象限 伝統×境界線強い王道にいながら、王道じゃないふるまいをして、ズレた

      • 音楽家のオートエスノグラフィー私の100の物語から日常のふるまいをとらえなおす

        オートエスノグラフィー「私の100 個の物語」の執筆をきっかけに、再帰的に自己をふりかえり、音楽家としての日常のふるまいをとらえなおす、二年間の再帰的自己プロジェクトの実践の記録です。 オートエスノグラフィーとは 《音楽家》から〈音楽家〉へ わたしは、華やかな舞台に憧れて音楽家になった。 表舞台のわたしは、社会に求められる様々な役割を日々滑らかに演じていた。しかし、社会から求められることは嬉しいと思う反面、期待に応えようと思えば思うほど、まるでわたしはあやつり人形のよう

        • 【17】まとめない

          小学生と音楽創作。大雨だったのに、よくみんな集まってくれた。私が担当したグループは、自分たちで創ることを望んでいた。なので介入しすぎず、見守る姿勢で取り組んだ。限られた時間の中での創作は、話し合いもそこそこに、意見をまとめないと作品は仕上がらない。でも、そもそも完成させることが難しいのだから、できたところまでを聞いてもらうのがよいと思う。大人無理にまとめようとせずとも、時間が経てば、音は重なって、勝手に曲になる。じっと、こどもたちの音に耳を傾ける。大人はまとめることを急ぎすぎ

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          【16】待つ一体感

          【16】待つ一体感 舞台の上では、親も夢の世界を創り上げるグル。親のふるまいは、その場の空気をつくる大事な要素だ。「さあ、いっかい楽器をナイナイして、おとうさん、おかあさんのところに戻ろう」「おかあさん、おとうさんはどこかな?」こどもたちは、キョロキョロとあたりを見渡して、親を見つけて、勢いよく抱きつく。タッタッタと、足音がかわいい。なぜかある子は、「トト、トト」とホールの入り口に向かって走っていってしまった。この場にいないおとうさんを探しにいこうとしていた。その子のおかあさ

          【15】ドラえもん

          【15】ドラえもんの歌 緞帳が開くと、子どもたちがこちらを不思議そうに見ている。体育館に響く「こんにちは」の挨拶に嬉しくなった。表情がよく見える。コロナ禍生まれの子どもたち、以前はものすごく距離を感じていたが、ようやく普通におしゃべりできるようになったと思うと、ちょっとホッとした。 コンサートの最後、幼稚園からリクエストで、夢を叶えてドラえもんを一緒に歌った。曲のBメロ的な部分で、「おとなになったら、わすれちゃうのかな」とある。意味よりも前に、音のほうがさきにきているんだろう

          【15】ドラえもん

          日々の即興 https://on.soundcloud.com/nPtyiZBTNAiMgTNy5

          日々の即興 https://on.soundcloud.com/nPtyiZBTNAiMgTNy5

          【14】遠くにも

          【14】遠くにも 年に一度コンサートに行っている場所がある。ちいさな円形劇場で、演劇などがメインのホールだから音響はとてもデットで、演奏するのは結構大変だ。これまでは、コロナの制限できなかったことが多かったけど、今年は自由にプログラムを組めた。コンサートひとつを行うのに長い時間をかけてなんどもやりとりをする。メールのやりとりをするのはひとりでも、その後ろに、たくさんの人が関わっている。わたしはわたしだけの身体ではなく、たくさんの人の交渉の末、舞台が成り立っていることを忘れては

          【13】優しい嘘

          【13】優しい嘘 会場に馴染めない子はいる。そんな子たちを輪に無理やり入れようとしてよいのだろうかと、考えが頭をよぎる。その場を和ませようと道化のわたしは、子どもにいろんなアプローチする。それがなんとかしてその場を収めようとしている演者のエゴになってしまわないだろうかと考える。その子と、その親とそして、現場をとりまく人たち。誰に対しての顔を優先すべきか、演じることと、場をとりもつことの間でいつも葛藤している。誰の気持ちも犠牲にしたくないけれど、全部を選べない。それも一瞬の判断

          【12】 ハレの日、ケの日

          【12】 ハレの日、ケの日 小学校の登校時間にあわせて学校に向かう。朝の電車の空気は重い。学校に着くと先生は私たちを期待の表情で迎えてくれた。学校公演は、 子どもたちとの距離が近い。私たちは、音楽家として迎え入れられるわけだが、その前提をちょっとだけズラしたくなる。「 ハレの日」のコンサートの儀礼を体験してもらうことは大切だ。でも音楽することは決して特別なことではないことも知ってほしい。それは音楽=クラシック音楽ではなくて、もっと広く。 誰かのハレの日とケの日が交差する。互い

          【12】 ハレの日、ケの日

          【11】あのときの銀のヒール

          久しぶりに訪れたホール。コロナがはじまった頃、動画作品を撮ったときぶりにお世話になる。あのときから、ずいぶんと時間が流れたなぁとしみじみ。不思議なもので、ホールの香りは、いつ行っても、その場所特有の香りがする。肺いっぱいに空気を吸い込んで、あのときぶりの空気を感じる。ただいま。やっぱりこの数年間はふつうじゃなかった。いろいろなことが制限されて大変だった。次の出番待ち、舞台袖で人の演奏に合わせてサンバを踊る。どうやら、舞台さんには、わたしたちがダンサーのようなふるまいにみえたよ

          【11】あのときの銀のヒール

          【10】懐かしのホール

          【10】懐かしのホール 地元で本番。かつて高校生だったとき、何度か訪れたホール。場所と名前が一致していなくて、まさか思い出の場所だと思っていなかった。神奈川から来てくれた、本番の相方と一緒に、千葉駅からバスに乗り、県庁、千葉城、千葉寺を通過、千葉のお弁当は、千より大きく万葉軒、高校生のときに見つけた、文字の大きさに、メニューの自信度が現れている、素直すぎる看板の解説をしていたら最寄についた。バスを降りてようやく、場所と名前が一致した。ホールは大きな公園の中にある。空き時間、公

          【10】懐かしのホール

          【09】あるもの探し

          【09】日帰りで地方の小学校の先生60人と音楽づくりをしてきた。いわゆる教育研究会というやつに呼ばれた。音楽づくりをするとき、ちょっとした枠組みを提示するが基本的には参加者にお任せする。様子を見ていると地域性や、その人たちの関係性がだんだん見えてくる。村のノリ的なものがだんだん出てきて、東京からきた私にはわからない共通の掛け声であったり、リズムが出てくる。そしてだんだ言葉の訛りも強くなる。ますます介入できなくなって面白い。ちょっとした構成の手助けはするけれどもほとんど何も手を

          【09】あるもの探し

          【08】予定調和

          【08】オープニングの音をきっかけに、照明があがる。舞台が明るくなると、ステージから客席の様子はほとんど見えなくなって、演者が取り残された一つの世界が出来上がる。視線を独り占め。一挙一動、細かな動きを監視されている状態だ。私の身体は自分のものだけれど、どこか自分のものではない。舞台にいる私の動きを、もう一人の私が、後ろから見ている。次はこのセリフだよとか、相手の反応をみて次のセリフをどう出すか、逐一、私と協力プレイが行われている。離見の見というやつだ。私と演者の関係。演者と聴

          【07】幼稚園

          【07】某、幼稚園にワークショップに行った。考えすぎかもしれない、私の想像💭明らかに子どもの様子がおかしかった。9月だから集団生活にも慣れているだろう想定だったが、なに一つ、協働作業が出来なかった。全く他者の存在が感じられていなかったし、親も自分の子しか見えてないから、ずっと一方通行で、会話が成り立たなかった。リアルに居る意味がない。その光景を目の当たりにして、彼らが持って いるであろう背景を勝手に想像してしまう。きっと、多様性大事だからと、自由に育てられているんだろうなとか

          【06】札幌キタラホール

          【06】札幌キタラホール、大好きなホールの一つ。360度客席に囲まれていて、音がどこまでも伸びていく。1分でも多く演奏したいと思えるホールだ。クローズのコンサート3回。ながらく、会場で大きな声で叫んだり、客席を練り歩いたりすることができなかったので、なんの制限もなくコンサートができることが、本当に嬉しい。この日、この場所で、集うリアルな体験は何にも変え難い。楽屋がひとりひとつの小部屋だった。本番までの待ち時間に、音を届けることの責任について考えていた。ことばで伝えなくても聴け

          【06】札幌キタラホール