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86 脱ランチ3ヶ月待ちの女 人間宣言

私はほとんど遊んだことがない。友達がいないわけではないが、音楽と仕事でいつもスケジュールがいっぱいで釣れない人の代表になってしまっている。ある日、同僚に休みの日に何してるのと聞かれた。うーん基本休みとか、休みじゃないとかよくわからなくて常に何かしてる。じゃあ遊ぶときは何して遊ぶの。うーん、あんまり遊びにいったことないから、わからないと答えるしかない。いつも、練習があるから、土日は本番だし、準備があって、と約束に答えられない。挙げ句の果てに、「ランチ三ヶ月待ちの女」とあだ名を付けられた。私は、非常につまらない人間だと思う。

人と会うことや、遊びにいくことはいつも後回しになってしまう。スケジュールだって、全く空いてないわけではないが、遊ぶために一日空けるのがすごく難しい。遊ぶことが罪悪感で、練習の呪縛に囚われている。遊びに行くのが怖いのだ。

スケジュールが埋まらないことはフリーランスとして怖い。でも先すぎるスケジュールが埋まってしまうことも未来が限定されそうで怖い。かといって、週五で安定して働くことは、私にとっては思考停止のようにも感じる。できれば、いつまでも色々な可能性の中で、バラバラと生きていたい。どこを向いてもわがままだ。どうしようもない。

最近になって、ようやく音楽家としてステージに立つことよりも、暮らしを優先することに目が向くようになり、練習しなければならない音楽家の呪縛の根源を知ることもできた。実践はこれからだ。これまで、会えなかった人たちにも会いに行きたいし、知らない場所や人にも会っていろんな話をしたい。もう、自分の気持ちを置いてきぼりにせずに、いつも暮らしが最優先でありたい。宇多田ヒカルのように、人間宣言をする。

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