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ビジネスxデザインの海外ニュースと雑感(2020.06.30)

今週も最近読んだ海外記事の中で、社会変化を予感させる「ビジネスxデザイン」に関する情報を、一言添えてご紹介します。

時代が変わっても本質的に変化がないものを抑えつつ、急速に社会変化が進むなかで、グローバルの動向をウォッチしていこうと思っています。現代人が1日に受け取る情報量は江戸時代の1年分だったとも言われ、ますます、最新の情報を高速にキャッチしていくことが重要です(元記事)。

接触ゼロなら旅行する?

新型コロナの影響により、大きな打撃を受けた観光業界。旅行客を取り戻すために、コンタクトレス(接触しない)テクノロジーの導入により清潔に保つ施策が検討されている。例えば、チェックインからドアの施錠、エアコンの調整もスマホで行うことができると、ドアや鍵、エアコンのリモコン、部屋の電話、カーテンなど、あらゆるものとの接触を避けることができる。しかしながら、研究ではコロナの感染は物を介する接触ではなく、他の人々の密な関わり合いによって拡がると言われている。つまり、感染リスクの面では物との接触を無くすことによる感染リスクの大きな違いはないかもしれない。先日、星野リゾートの星野社長とホリエモンの対談では、顧客が人と接触しないための施策として、ビュッフェスタイルをやめて、食べ物が置いてある会場から自分の部屋に持ち帰って食事をとるスタイルであったり、お風呂に入っている人数をカウントして混み具合が表示されるなどいかに、人との接触を避けるのかについての議論がされていた。アフターコロナでテクノロジーへの投資が無駄にならないためにも、いかに、オペレーションとして、感染リスクである人との接触を減らしながら、顧客の体験価値をリッチにするかに、焦点をあてた新しい旅行体験が生まれるのではないだろうか。

思いやりの資本主義ーフェイスブックへのボイコット

創業以来、先進的な環境問題への取り組みで知られるファッションブランドのパタゴニア。旧CEOのRose Marcario氏がFacebookをヘイトスピーチ(人種や民族、性的指向など)の広告について適切な規制をしていないとして、批判している。記事のなかで、多くのフェイスニュース(事実ではないニュース)や広告をFacebookは制限せず広告宣伝しており、大きな収益源となっていることを指摘し、収益を上げさえすれば、ステークホルダーのことを気にしない現状の資本主義に異議を唱えている。Marcaris氏は、現在の資本主義の代替として、compassion capitalism(思いやりの資本主義)というアイデアを主張している。思いやり資本主義では、環境問題、サプライチェーンで関わる人々、コミュニティ全て配慮したビジネスを行う。コロナ感染によりアメリカでは多くの雇用が失われ、その雇用に紐づいていた健康保険が失われるという事例が発生している。パタゴニアが成功事例として知られるように、アフターコロナで生じた社会の歪みを糧に思いやり資本主義が台頭するべきなのかもしれない。

人種のバイアスを超えるファッションAI

https://www.voguebusiness.com/technology/as-fashion-resets-its-algorithms-should-too

ファッション業界におけるAIの活用が進むにつれて、人種の微妙な違いを理解して、よりよい表現をするAIとそのアルゴリズムが必要とされている。事の発端は、AR(拡張現実)を利用したコスメブランドでの試着に関する技術が、白人系・アジア系の人たちには精度よく機能したが、黒人系の人たちにはそれほど精度が出なかったことだった。その後、AIに様々な肌色を理解するようトレーニングし、微妙な肌色の違いを組んだ技術を開発することができた。この事例は、人間がそうであるように、AIもバイアス(偏見)を持ちうる事を示しており、"限られたデータ"を用いる危険性を示している。下の図に示すように、皮膚色のトーンなどのマトリックスを考えると、網羅的に学習データが揃っていないケースがある。このようなバイアスを未然に防ぐためには、まず、チームメンバーを国籍、人種など、多様化を進めることそして、多様なユーザーからの声を反映してアップデートしていくことが、重要でだろう。

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危機状況下でのイノベーション

Stanford eCornerというスタンフォード大学の研究から、起業家が着想を得るために作られたメディアから。COVID-19は事業環境を一変させており、どのように不景気、不確実性に対応するのかについて示唆をまとめている。Crisis Innovationはいくつもの記事の連載になっており、コロナによる市場環境を機会として捉えるこちらの記事を私は読んだ。主旨としては、コロナ状況下での機会というと、実際には、私たちの生活の急激な変化に伴うニーズに着目することが重要だと述べている。そして、起業家がすべき事は、「真実を捉えること」、「選択をすること」、「行動をすること」だとまとめている。過去・現在で成功している起業家は、なかでも、真実を捉えることに長けていたという。大量の情報が手に入る時代だからこそ、自分の頭で情報を解釈して、真実を見抜くことが、最初の一歩であり、最も重要だと述べている。最後に「後から振り返って、この混乱期のなかで、あなたは何を成し遂げることができましたか?」と自分に問う日が来ることをいつも考えて、この時期を過ごそうと締めくくっている。

あなたの価値観の序例に従って生きよう

毎週、Derek Siver氏(ブログ著者のデレック・シバースは、元ミュージシャンで、オンラインCDストアのCD Babyの起業家)のブログから抜粋しています。あなたは旅行をしているとき、家族との時間を大切にしますか?それとも、急な仕事の対応を優先しますか?それとも、SNSをしますか?このように様々な"価値観"があり、ある価値観が別のものより重要である場合は、「あなたはあなた自身の価値観に従って生きていますか?」と問うことが大切だろう。究極的には、学ぶことが大事なの?それとも創造することが大事なの?あるいは、お金が大事なの?それとも時間が大事なの?というように価値の序例を定めることができれば、日々の生活の時間を優先順位が高いもので埋めていくという最適化ができる。その最適化の先には、価値の序例が低いものに関しては捨てる"断捨離"をしてみよう。そして、その生活のアイデアが気に入らなければ、価値の序列を見直そう。忙しく大量の情報に溢れる社会の中で、価値観のプライオリティを決めることはますます困難になっていると感じており、価値の序列を明確にして、断捨離をすることで、自分の時間、人生の豊かさを取り戻すことができるのではないでしょうか。

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コロナの状況によって我々のライフスタイルや経済環境、グローバルな移動が変わるなか、ますますマクロ環境の変化をウォッチする重要性が上がっているような気がします。毎日SNSをなんとなく見る時間を、能動的なインプットの時間に変えていきたいと思っています。

Photo by Florian Wehde on Unsplash

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