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新規事業の軸をつくるビジョンデザイン

新しい製品やサービス、ビジネスを創造するための軸となる、自分の想いやビジョンをデザインするというテーマで書きます。

ビジネスに限らず、新しい何かを創造する大きな流れとしては
① 創造したいものを描き(VISION)
② そこに至るプロセスを考え(PROCESS)、
③ 行動と軌道修正を繰り返しながら(ACTION&PIVOT)、
と、徐々に描いていたものに近づいていくと思います。

偉大な起業家達は最初のビジョン(想いや願望)の大切さを伝えています。
例えば、経営の神様と呼ばれる松下幸之助さんの講演で、ダム式経営=余裕のある経営の大切さを語った時のことです。

中小企業の経営者から不満の声:
「何をいっているのか。その余裕がないからこそ、みんな毎日汗水たらして悪戦苦闘しているのではないか。われわれが聞きたいのは、どうしたらそのダムがつくれるかということであって、ダムの大切さはもう知っている。」

松下幸之助さんはポツリと:
そんな方法は私も知りませんのや。知りませんけども、ダムをつくろうと思わんとあきまへんなあ」とつぶやかれたのです。

つまり、何か創造したり達成するためには、ゴールに至るプロセスは分からないけれど、何よりもまず強く、しっかりと描くことが重要だと伝えていたそうです。

しかし、新規事業のような先行きを見通しにくい活動を続けていると

・初めは、ビジョンが明確で走り出したはずなのに、周囲の意見を聞くうちに、気づけば、本当にやりたいことからズレていて、違和感が生まれてる

・新規ビジネスを考えているけど、どこに向かって進むのか、初めの一歩をどの方向に踏み出すのかに行き詰まってしまった

など、ビジョンに対するブレがあったり、確信がもてないでいることに起因する悩みを抱えるケースがたくさんあります。

このようにビジョンの重要性については至る所で語られていますが、「どうすれば、自分の内なる思いに気づき、確信が持てるまで育てていくか」については、あまり情報がなく、結果としてビジョンを見失うなど様々な問題が起こっているではないかと感じています。

そこで、新規事業など、何かを創造するための軸となる想いやビジョンをどのようにして気づいたり、表出していくのか1つの例を、デザインスクールでの経験をもとにご紹介したいと思います。

1. 好きや込めたい想いを「イメージ」で考えよう

自分が好きなことや大切にしている想いは、自分では、なかなか気付きにくいものだと思います。言葉で考えていてもうまく言い表せないことも多いのではないでしょうか。

そこで、最近では感性思考やアート思考と呼ばれているようなイメージから自分の好きを探るのも1つの手です。

気に入っている写真や、趣味、大切にしているものや思い出、今楽しみにしている予定などの写真を集めることで、好きの輪郭を浮かび上がらせることができると思います。

2. 好きや込めたい想いを「言葉」にしてみよう

こうして出てきたお気に入りのイメージから、次はその写真を選んだ理由を考えていきます。

自分が直感で選んだ写真を、客観的に眺めてみることで、その写真の好きな要素、つまり、自分の好きに関する気づきを集めることができます。

集めたイメージと、言語化された好きな要素や理由をもとに、自分が好きに関する共通のテーマのようなものが見えてくると思います。

私の場合は、自然との繋がりや、自分らしいライフスタイルといったキーワードが浮かび上がってきました。また、このワークを実践していただいた方は、多様性のあるコミュニティ、モチベートしあう関係性、個性の強い人の仕事を手伝うなど、それぞれの好きや想いが浮かび上がってきています。

自分ではなかなか共通するテーマあるいはキーワードまでたどり着かない人は、気の合う友人や家族などに話をしてみると、簡単に見つけられることもあります。

3. 気になる社会の動きから「ワクワクする未来」を描こう

今はまだないイノベーティブな発想をするためには、自分の好きだけではなく、社会の未来に想いをめぐらせる必要があります。特に、新規事業の場合ビジョンには、未来向きで社会から共感を得られることが求められます。

ビジョンに求められる自分・未来・社会の視点

自分の好きと社会の潮流とのバランスをとるために、今気になっている社会のトレンドを挙げてみることをおすすめしています。

新聞などを新たに読むのではなく、今思いつく気になる社会の新しい動きをあげていきます。例えば、在宅勤務の普及、youtuberの台頭などです。

その社会の大きな流れのなかに、新しい「人々の動き」が隠されていると、思います。例えば、在宅勤務の普及⇨働く場所に制約がなくなった人が地方に移住する、youtuberの台頭⇨好きや得意を発信して年齢に捉われずに稼ぐ人がたくさんいる、などです。

この社会の動きを書き出したうえで、次のステップで、「もしその社会変化の兆しが極端に進むとすれば、どんなワクワクする未来になるだろうか?」という問いを考えてみます。

このワークでは、今すでに起こり始めている社会変化の兆しが加速していき新しい社会の「当たり前」になるとして、どんな未来を見てみたいのかを、想像を膨らませることが大切です。

4. 「どんな世界をみたいのか」ビジョンをまとめよう

ここまでに考えた自分の好きや想いと、ワクワクする未来像をもとに、ビジョンをまとめていきます。

ポイントは、あなたがどんな世界をみてみたいのか?という問いに対して、独りよがりではない、社会(他者)視点を含めてビジョンとすることです。

例えば、
・より自分らしいライフスタイル(仕事だけではなく人生をもとに意思決定をする)を送る人が増えてほしい。
・住まうこと、働くこと、自然とつながることが一体となった暮らし方をする人を増やしたい。
・多様性のあるコミュニティで、人から元気をもらい、自分の個性に自信をもちイキイキと生きられる社会をみてみたい。

などそれぞれのビジョンが出来上がってくると思います。

そのビジョンをもう1度想像してみた時に、自分自身がワクワクするのか、そのためなら、時間をかけて取り組みたいと思えるのか、ということを自問自答しながらより確かなものに仕上げていきます。

ビジョンを描き・深め・育て続けるために

ここまで自分自身では気づきにくい自分なりのビジョンを構築するための、簡単なワークをご紹介しました。

ただ、一人でワークをこなしてすぐにビジョンが仕上がるというよりは、気の合う友人や信頼できるコーチなどと一緒に対話をしながら進めることで、より確信のもてるビジョンを描きやすいと思います。

また、冒頭でご紹介した松下幸之助さんや、稲盛和夫さんなど、日本を代表する起業家・経営者の方が言うように、ビジョンは、一度策定して終わりではなく最も大切なのは、ビジョンを毎日描き直し続けて、より鮮明にしていくことで、自分のものにしていくことだと思います。

ワークブックを使用してもらい進めるなかで、自分一人で進めるより、何人かで集まってやりたいという意見がありましたので、ビジョンを作ってみる90分ほどのワークショップを考えています。もし興味がある人はご気軽に、ご連絡ください。knerpd@gmail.com

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

Photo:Helsinki, Finland


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