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探索型デザインリサーチで大切にする「ワクワク」とは

新規事業を0から1で生み出すために、新しい機会を探る手法の1つとして探索型のデザインリサーチを行うことが多いと思います。

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(google design sprint)

上図のようなデザインプロセスを考えてみると、最初の段階で機会を探り、取り組むべきチャレンジを定義するステージにおいて大切な手法です。

探索型のデザインリサーチは、いわゆるマーケティングリサーチと異なり、ロジカルな分析ではなく、主観としてどう感じるかを大切にするという特徴があります。

最近、デザインリサーチを経験したことがない人とプロジェクトを進めていた時にロジカルではないやり方に戸惑いを感じると言っていました。理由と聞くと何が正解なのか分からない、どんな指標でいい洞察(インサイト)なのかが分からないからとのことでした。

探索型リサーチの場合は、答えのない機会を探索する活動であるため、正解も良い・悪いの指標もありません

しかし、優秀なデザインリサーチャーと一緒に活動していると、彼ら・彼女ら自身に、何らかの指標があることに気がつきます。

それが「ワクワクする」、「面白い」など、心が動いたという感覚です。

この「ワクワクする」という感覚と言われても何のことか分かりにくいのでなぜ、このワクワクするという感覚が重要なのか、また、ワクワクの正体は何なのか、私の主観をまとめます。

「ワクワク」が大切な理由ーWHY

大きく分けて3つ理由があると考えています。

1.マネできない

2.MECEにできない

3.ドライバーとなる

1.まず、探索型のデザインリサーチが注目されている理由は、イノベーションのタネとなる課題をロジカルに分析すると、どの事業も同じような機会定義となり最終的なプロダクトやサービスも似通ってきてしまうということが挙げられます。改善を得意としてきた日本では、ロジカルに課題を捉えて解決策を提案することを強みとしてきています。0から1で機会を発見していくためには、他の人が見つけていない課題や機会を定義する必要があり、そのために、主観の指標としてワクワクする感じを大切にします。これは誰一人として同じにはなりません。

2.MECEとはモレなくダブりなく整理ができている状態のことです。コンサルがよく使うフレームワークですが、新規事業で捉える課題を1つずつ、分析したとして、課題が多過ぎたり、課題と課題が複雑に絡み合っていたり、MECEの状態にできたとしても、それがイノベーションの機会には繋がるとは限りません。加えて、新規事業の場合、リサーチにかけられる時間が限られています。最初に目的意識をはっきりさせた上で、多くの一次情報に身を置き、自分のなかに大量に溜まった情報のなかから、無意識にふるいにかけられた「インスピレーション」を大切にすることで、短時間で、比較的最もらしい解を導き出す可能性が高まります。

3.ワクワクすることを大切にする3つ目の理由として、その後のプロジェクトを推進するドライバーとなることが挙げられます。0から1を生み出す事業開発は非常にタフです。辛い時、自分あるいは自分たちでワクワクするという主観から得られたインスピレーションを大切にしていることが強い原動力となります

「ワクワク」とは何かーWHAT

私の同僚のように主観の指標が「ワクワク」「面白い」と言っても、何それと感じる人も多いと思います。

「ワクワクする」ということは、つまり「心が動く」ということです。どんな時に心が動くのでしょうか。人それぞれですが、少なくとも、仕事ではなく、生活の中で、自分が興味が惹かれること、何となく楽しそうだと感じることはあると思います。ワクワク自体を明確に定義する必要はなく、美術館など自分の好きな場所に行った時の感覚を味わうように、オープンな気持ちでいることが大切です。

ただ、自分の中でこのワクワクするというアンテナが上手く働かなくなっている時もあると思います。そういう時は、探索型リサーチに限らず、生活のなかで少しでもいいなと思ったモノやコトに対して、どうして心が動いたのだろうか、どうして面白いと感じたのだろうか、とメモをつけていくことで徐々に「ワクワクする」という感覚が育ってくるのではないでしょうか。

以上、簡単ではありましたが、探索型デザインリサーチで最も大切にすべき観点である「ワクワク」について書いてみました。参考になれば幸いです。

Photo at Santa Claus Village, Rovaniemi, Finland

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