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子連れ北欧留学に決めた5つの理由

2017年~2019年の約2年間、フィンランドのアアルト大学に留学のため、妻と娘(当時1~2歳)の3人で生活をしていました。

北欧といえば、社会福祉国家、世界的に幸福度が高い、先進的な教育、4時に仕事を終わって豊かなライフスタイルを送るなど、家族生活で重視したいポイントが充実しているイメージがあるのではないでしょうか。

フィンランドへの留学相談を受ける機会がたまにあり、アメリカやイギリスではなく、フィンランドやデンマークといった北欧諸国を留学先に選ぶ人は、家族がいらっしゃる人たちが多いと感じています。

1年や2年という貴重な人生の時間を使って、子供と家族がいながら、留学をする選択を検討している人にとって、現地での学びだけでなく、様々な点を検討材料にしているのではないでしょうか。

私もその一人で、アメリカやイギリスの有名な大学から、国内での学び直しを含めて、様々な選択肢で迷いながら、検討をしていました。

この記事では、私が家族と一緒に北欧留学をすることに決めた理由について【暮らしと働き方】【教育】【子育て】【デザイン】【お金】の5つの観点から、書きたいと思います。

留学先として人気の高いアメリカやイギリスだけではなく、フィンランドといった北欧の国々を検討している方にとって、参考になればと思います。

暮らしと働き方

フィンランドを始め北欧の国々は、幸福度が高いことで有名です。

私がフィンランド留学をしようと決めた時は、オーストラリアの第5番目の都市ダーウィンにて、海外駐在中でした。当時、私はエネルギー資源を精製する工場を建設するプロジェクトに携わっており、朝は4時半に起きて、6時から仕事をして、土曜日を含めて、仕事漬けの生活を送っていました。

昼食もとる時間があまりなく、オフィスの冷蔵庫にパンやハム・チーズなどを入れておいて、挟んで食べるだけという無味乾燥な生活に感じました。

家族とも別々(当時は子供はいませんでしたが)で暮らしていたこともあり、もっと豊かなライフスタイルを心から欲している状態でした。

私が留学を希望していたビジネスデザインやデザイン経営といった領域で、教育レベルが高いと言われるアメリカやイギリスなども検討しましたが、実際に留学した人に話を聞いてみると、留学期間が1年と短いこともあり、朝から晩まで詰め込んで勉強するという話を聞いていました。

育児をしながら留学をするとなると、朝から晩まで勉強だけしていて、なれない土地で、妻に育児を任せっきりにするというスタイルでは立ちいかないと感じましたし、効率よく勉強を進めながら、生活そのものを楽しみたいという気持ちが強くありました。

実際に行ってから分かったことですが、北欧での留学スタイルは、基本的に自由度高く、勉強する時間帯やどの程度忙しく生活をするのかのバランスを自分で決めることができます。

それは、学生生活をしながら起業準備を進める人がいたり、家族との生活を最大限に楽しむために、午前中に勉強を進め、夕方以降はもうやらないといったスタイルを自由に決めることができます。

実際に留学した後になって気づいたことですが、私が前職で朝から晩までプロジェクトの成功やキャリアのことを考えて生活をしていた時は、仕事のなかに生活があり、生活は「仕事でない部分」のことを指していました。私が求めていたものは、「生活のなかに仕事がある」という状態でした。

とても当たり前のように聞こえますが、「忙しいから会社の近くに住まなきゃとか、キャリアが見えてないからまだ結婚できないとか、子どもはまだもてない」といった「仕事のなかに生活がある」考え方は多く、本来の「人生の中に仕事がある」という自然な状態を探していました。

教育スタイル

北欧の教育は世界的にレベルが高いことで有名です。

この本にもありましたが、フィンランドの教育方針は、学力でナンバーワンになることを目指しているわけではなく、一人一人の自主性を重視しており、本来持っている才能や能力を引き出してくる「自由教育」という思想を持っているそうです。

私が留学先に選んだアアルト大学IDBMでも、カリキュラムを確認していくと決められた授業は全体の3分の1程度。残りは、自分が取りたい授業を選択して自由にプログラムを設計する制度でした。

私が受けていたイノベーション教育では、専門の幅が広く、デザインやビジネス、テクノロジーの垣根を超えて学ぶこと、そして、私自身、興味の範囲が広かったため、自由度の高い授業選択は魅力的でした。

加えて、フィンランドの教育の特徴として、知識よりも、実践や体験を重視していくことが挙げられます。決して、知識のインプットを軽視しているというわけではなく、Learning-by-Doing(やりながら学ぶ)という思想を持っています。

“Tell me and I forget. Teach me and I remember. Involve me and I learn”- Benjamin Franklin - 和訳:「言われたことは忘れる。教わったことは一応覚えている。体験からは自ら学べる。」- ベンジャミン・フランクリン

ベンジャミン・フランクリンの名言にもあるように、単なる知識のインプットではなく、体験を通じた学びが本当の糧になるという発想を持っていたため、体験を重視している教育スタイルに惹かれました。

知識のインプットであれば、デジタル時代の今、本を読んだり、ポッドキャストを聞いたり、時間とお金をかけて現地に行って学ぶメリットは薄くても体験から得られる自分なりの学びであれば、その価値がある、そんな風に考えていました。

子育て

子育てをしている家庭にやさしい国として知られる北欧。

世界一男女平等の国としてもフィンランドは選ばれ、女性のほとんどがフルタイムで働き、社会全体が子供の誕生を歓迎し、子育て支援が充実していることから、世界的に注目を集めています。

日本でも有名なFinnish Baby Boxというフィンランド政府からの出産祝いとして、全赤ちゃんに衣類やオムツが届きます。

私が留学先を選ぶときに、子供と一緒に生活をしやすい国かどうかも重視していました。ベビーカーを押しながら歩いている時に、道幅が狭く、危険を感じる大都会よりも、自然があって、公園などで遊びやすい牧歌的な雰囲気のあるところに惹かれていました。

フィンランドは550万人程度の小国で、都市のヘルシンキでも自然が多く、森や公園での遊びを大切にしていることを調べていました。

家からふらっと歩けば、子供が遊ぶのに十分な自然があり、人の多さから、子連れに対して冷ややかな目線を感じるのではなく、余裕があり暖かな目線で見守ってくれる雰囲気を期待して、魅力を感じていました。

デザイン

北欧の国々はおしゃれなイメージがあります。

フィンランドはマリメッコやイッタラといったブランドが日本で有名です。私が留学での学びの目的がビジネスデザイン、サービスデザインでしたのでフィンランドのデザインに魅力を感じていた私にとって、1つの決め手となりました。

もともと、土木や建築のエンジニアとして働いていましたので、ファッションや小物のデザインだけでなく、フィンランドの都市や公共空間のデザインに憧れがありました。留学したアアルト大学は、建築家アルヴァ・アアルトの名前から来ています。

アアルト大学の図書館で撮影

お金

北欧は物価が高いイメージがあると思います。

私は、前職を退職して、私費で子連れ留学にチャレンジしたこともあり、どれぐらいの費用がかかるかはとても重要なポイントでした。

例えば、アメリカのデザインスクールに1年プログラムの修士課程に入学し卒業するまでに1,000万円程度、イギリスの2年プログラムであれば、それ以上に費用がかかると聞いていました。

一方、北欧の大学のなかには、学費が無料で行くことができるところもあることを調べていました。

残念ながら、私が留学を検討していた当時、フィンランドの大学は、EU国外の学生に対して、年間約200万円(2年で400万円程度)の学費が必要であることが決定されたばかりでした。理由としては、国内の税金が海外の学生に対して使われることに異議を唱える人たちが増えたためだと聞いています。

ただ、奨学金の形で実質、授業料免除になる学生もいるという情報を調べていました。その可能性を考えると、授業料なしで現地での生活費や旅費のみで留学できることは、とても魅力的に感じました。

生活費については、留学を検討している段階では、具体的な費用はわかりませんでしが、VISAを申請するのに必要な貯金額が定められています。また、自分たちでエクセルシートで、項目ごとに見積もりをして、どれぐらいの費用がかかりそうか事前に検討をしていました。

調べていくと、外食などの物価はとても高くても、生活費はさほど高くはないということがわかり、費用の面からも魅力的な選択肢だと考えました。

まとめと質問

この5つのテーマについて、とても魅力的な選択肢だと考えたことが子連れフィンランド留学を決めた理由でした。

実際に渡航してみて、留学検討時に期待していた5つのことは、概ね満たされていたように感じています。具体的な体験については、それぞれのテーマについてまたまとめようと思っています。

最後になりますが、この記事を読んで、もっと知りたいことや、質問が思いついた方は、コメント欄で教えてもらえると、とても嬉しいです。

私としては、5つめの【お金】のテーマが、子連れの家族で留学する際に、とても知りたかったことでしたので、実際、毎月何にどれぐらいの費用がかかっていたのか、どれぐらい旅行や遊びにかけていたのかといった情報を、詳細にまとめようと考えています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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