シェア
栃尾江美(とっちー)
2020年2月15日 18:10
「君って、蓮の花みたいだよね」彼が突然言った。蓮の花の見ごろの朝早くに、上野公園を二人で歩いていたときだ。私の左手を握っていた彼は、私の手を持ち上げ、顔の近くに持っていき私の手の甲に唇を付けた。私の手の甲には、タバコを押し付けた火傷の痕がある。彼はその傷から唇を離すと、優しく右手の親指でさする。初めて彼と食事をしたとき、私はその傷の話をした。「父に、タバコを押し付けられたの」父