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短編小説集(創作)

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2016年7月の記事一覧

月を待ちながら

「お待ちどぉさま」

「ああ、やっと来たか」

彼は視線を小説の文字に落としたまま、私を見もしないで面倒くさそうに言った。なぜその本が小説だとわかるかというと、彼はいつも小説を読んでいるから。私は彼の様子を無視するように、向かいの席に座って自分のコーヒーを置いた。

そのカフェはセルフサービス形式の店で、レジで先に注文をしてから、自分でコーヒーを持って席に座る。ちなみに店に流れているBGMは、私が

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