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婚活戦記②

薄暗い雑居ビル。

『いらっしゃいませー何名様ですかー!』

「あ、いやパーティーのやつで…」

『はーい、こちらどうぞー!!』

事務的に通されたのは奥の座敷席。
なんだか胸が高鳴る
ワクワクしている…

どんな男の人がいるんだろう
ここでの出会いが運命になるかも知れない
ポジティブなワクワクである。

「こんばんは…」

奥の座席の引き戸を開けると既にそこには
ほぼ全員が着席している状態だった。

『おぉーこんばんはー』

誰が言ってくれたのは分からないが
男性側のどこからか声がする。

窓側に男性がずらり
入り口側に女性が並んでいる席順

女性は街ですれ違うような
何気なく行き交うような
本当に普通の人達である。

そして男性陣はというと


手前から…

なぜか既に3人組になっている、小柄メンズ達。

真ん中に高身長・舞台役者風メンズ。

キョロキョロしながらさっき挨拶してくれたメンズ。
という感じある
(あとは忘れた)

この男性陣、とにかくなんか濃いのである。

キャラ立ちしているというか
【婚活】という目線で見るからなのか?

いやそんなのを抜きにしても
なんかとにかく全員。
全員の印象が、濃い人なのである。

高校の時の同級生で
勉強がお世辞にも出来る方ではなかった私とは
お互いに話すことなく
学生生活を終えた
偏差値が8は違う男子達の様な。

友達同士で共通のニッチな話題で盛り上がっていた
独特の世界観の男子達の様な。

あぁこれは…きっと相容れない。
きっと私は嫌いな部類の女だろう。
と肌感で分かった。

そんな雰囲気を感じながら空いた席に着くと

隣には本当にめちゃくちゃ可愛い
ピュア系女子が座っているではないか…

『初めまして!お願いします^ ^!』
と、キラキラの挨拶。

あぁ。
横、眩し過ぎる、見れない。


そして前が濃すぎる、見れない。

まずい、これは、、、
気が遠くなりそうである。

始まる前のポジティブワクワクの自分が
遠い昔に感じた。

絶対に気に入ってもらえなさそうなメンバー。
隣の席の20代。

開始3分で帰りたい気持ちになった。

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