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433.イニシエーション ~屋久杉玉を磨いています~(前編)

屋久杉玉を、磨く。
磨く前にはわからなかったものが現れる。


 耐水性のやすりを使って、水の中で鏡を磨くのと、乾いた木を紙やすりで磨くのは、違うと思いながら磨いていたのだけど、1次元のやすりを使い始めると、糸のような年輪が、くっきりと浮き出てきて、立体的に見え始め、
 
(波だ!)
(流れだ!)
 
と思った瞬間から、年輪が水のように流れはじめ、木にふれているのに、流れの中に手をさしいれているかのように、「水」を感じている。
 
(本文より)
 
********

 
一年間、ふれられずにいた屋久杉玉を、ついに磨くと決める。
すると「水」が近づいてきた。
その流れに飛び込むと、そこに屋久杉がある。
 
7月30日の「水鏡」のワークショップでは、石谷傳さんが磨いた「天」と名付けられた鏡の額縁の素材が「屋久杉」。


8月1日の「マザーオーシャン」の上映会では、退治とともに、フリーダイビングで、クジラやイルカと交歓し、出産をしたレイナさんが、zoomによるオンライントークをしてくださったのが、2年前からお住まいになっている「屋久島」。

(水)
(屋久杉)
(屋久島)
 
手元にある、小さな屋久杉のかけらは、同期している。
 
(何を伝えるために?)
 
「マザーオーシャン」の映画の余韻が、ずっとあるので、クジラとイルカの声を聴きながら、磨こうと決める。
2014年にワークショップに参加したときの、記憶を頼りに。


佐藤なーやさん屋久杉玉磨きは、0次元~6次元までの紙やすりを使って、磨いていく
0次元のやすりは粗く、大きく削ることができるので、このときに形を決める。
 
(角を落としたくなる)
 
できることなら、「しずく」のかたちにしたいくらい。
そうか、しずくなんだ、とわかった。
 
(しずくの旅)
 
とがっている角を、しずくのかたちにするのは、けっこう大変だ。でも、
 
(角はいらない)
(海の中には、とがったものなど、なにもない)

 
懸命に磨いているせいか、てのひらに握りこむと、じんわりとあたたかい。
その熱が、すごくいい。
 
思えば、屋久杉玉を磨くのは、自分の魂を磨くことだとわかっているから、1年間、ふれられずにいたのに、まさかその前に、〈水で鏡を磨く〉という、さらにダイレクトなワークの洗礼を受けることになるとは。
 
だけど、そのおかげで、屋久杉玉磨きは、ちっとも怖くなくなった。
0次元は、まだ、魂にふれる層ではないことも、わかる。


屋久杉玉を、磨く。
磨く前にはわからなかったものが現れる。
 
耐水性のやすりを使って、水の中で鏡を磨くのと、乾いた木を紙やすりで磨くのは、違うと思いながら磨いていたのだけど、1次元のやすりを使い始めると、糸のような年輪が、くっきりと浮き出てきて、立体的に見え始め、
 
(波だ!)
(流れだ!)

 
と思った瞬間から、年輪が「水」のように流れはじめ、木にふれているのに、流れの中に手をさしいれているかのように、水を感じている。
 
(水で磨く)
 
2次元。
表面に傷が残るくらいの粗さのやすり。磨いた粉の量が減ってくる。


思いついて、「グラン・ブルー」の主題歌を聴く。
どうして、5回も映画館に通うほど好きだったのか。
久々に聴いたけど、胸が高鳴る。映画のシーンが蘇る。
 
『グラン・ブルー 制作日誌』という、懐かしいメイキングフィルムを見つけ、全編観れる幸せにひたりながら、磨く。
リュック・ベッソン監督の言葉が、深いレイヤーに届く。
 
3次元のやすりを使うようになると、屋久杉玉が輝きはじめたような気がする。
木目に、さらに躍動感のある動きがみられる。

手のひらに包むと、すべすべで、安心感に包まれる。
それに、とてもいい香り。
 
一晩で仕上げるつもりだったけど、大切に磨きたいので、日を改めることに。
 
いまさらながら、気づいたのだけど、
 
(やすりの次元は、空間を表しているのだろうか?)
 
だとすれば、3次元のステージは、今いる世界。いまの私。


4次元からは、未知の領域。
 
浜田えみな
 
屋久杉玉磨き、続きます。

佐藤なーやさんHP アートフル舎

本文中のワークショップの詳細は、こちらから。

水鏡のワークショップ

マザーオーシャン 上映会

屋久杉玉を磨くと決めた日

佐藤なーやさん アートフル舎
 
https://artfulsha.shopselect.net/

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