今年見た映画(2020年下半期)

今年は本当に時間が早い…。おそらくこれから年末まで息つく暇はないだろうということで、2020年上半期に引き続き、下半期に見た映画をまとめました。

スウィング・キッズ(原題:스윙키즈)
EXOのD.O.が出ているというだけで観た映画(笑)。朝鮮戦争時代、米軍が巨済島に作った捕虜収容所がモデルになっています。時代考証がどのくらいきちんとしているかは謎ですが、ディオのタップダンスが上手でした。

タクシー運転手 約束は海を越えて(原題:택시운전사)
きちんとした歴史映画が見たくなったので、軍事政権時代の韓国を舞台にした映画も。まず1本目は映画「パラサイト」にも出演の、ちょっとダメな親父役が似合うソン・ガンホ主演の本作品。1980年、封鎖された光州で韓国軍が民衆に銃を向けた衝撃的事件をもとにしており、韓国映画ならではのドラマティックさとスピード感が良かったです。

1987、ある闘いの真実(原題:1987)
次に見る映画に迷った時、YouTubeですでに見た映画の予告編に関連して出てくる映像を漁るのですが、「タクシー運転手」の関連で出てきたのがこちら。今度はやっぱりおとぼけキャラの似合う、ユ・ヘジンが暗躍。

光州事件から7年、軍事政権下ソウルでの民主化前夜を描いた作品。「タクシー運転手」よりも多様な視点から構成されており、国家暴力の行使をめぐる公安警察と検察官の攻防、水面下での民衆の活動や学生運動などが緻密に展開します。韓国民主化から30年のメモリアルイヤーに公開された本作品。民主主義への切望と尊さを感じさせます。

黒い司法 0%からの奇跡(原題:Just Mercy)
弁護士ブライアン・スティーブンソンが1980年代から取り組んできた活動をもとにした作品。黒人が経済格差や社会的差別を背景に不当に逮捕・拘束され、極刑や死刑を言い渡される確率は、現在でも5人に1人と言われる中、 #BlackLivesMatter 運動とも深い関連のあるテーマです。

アナと雪の女王2(原題:Frozen2)
3才児におススメされてやっと見ました。これで話題についていける…。近作品の音楽はけっこう手が込んでいますね。相変わらずオラフが可愛い。

ブルーム・オブ・イエスタデイ(原題:Die Blumen von Gestern)
4分間のピアニスト」など、ドイツの暗い過去に、エロティシズム、現代風のブラックジョークを絶妙に混ぜ込むクリス・クラウス監督の作品。ナチス収容所跡のアーカイブで働くドイツ人学者と、フランスからインターンでやって来るチャラいユダヤ系フランス人学生の間で問われる、ドイツの暗い過去へのとらわれと和解のポリティクス。

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(原題:Little Women)
言わずと知れた小説『若草物語』を、監督グレタ・ガーウィグが再解釈したさわやかな作品。女性は金持ちと結婚して幸せになるもの、という時代なのに、自由恋愛を貫いてみたメグも、夢に生きるジョーも、やさしいベスも、才能あふれるエイミーも、賢いママも、大好きだ~。ついでにマーチ伯母さん役のメリル・ストリープも大好きだ~。

アメリカン・スナイパー(原題:American Sniper)
イラク戦争でアルカイダ殲滅作戦の前線を担った「伝説の狙撃手」クリス・カイルの半生をもとに、名匠クリント・イーストウッドが映像化。高く評価された戦闘シーンの斬新な撮影技術はもちろん物凄いですが、硫黄島二部作と同様、簡単に戦争賛美に落とし込まないプロットの作り込みが物凄い。

華氏119(原題:Fahrenheit 11/9)
2016年、マイケル・ムーア監督がトランプ政権に向けて発射した痛烈痛快なドキュメンタリー作品。奇しくもブッシュ政権批判を込めた「華氏9/11」を彷彿とさせるタイトル。バイデン政権になってどうなるかな、米国。

スキャンダル(原題:Bombshell)
#MeToo 運動の先駆けとなった、FOXでのセクハラ訴訟をもとに構成した作品。女性同士で競争させられる世界で、それぞれの苦しさをバネにしながら協力していく3人3様の女性たちがかっこいい。ちなみに原題は「ビッグニュース」という意味と「(性的に)魅力的」という二重の意味があって、タイトル選びにもセンスを感じる。

グローリー-明日への行進-(原題:Selma)
1960年代の米国で、キング牧師に導かれ市民権を求める黒人たちが展開した非暴力運動を描く。奴隷制の遺制を経験した高齢世代も、キング牧師に共感し行動する若い世代も、市民権を得る夢のために全員で行進に加わるエネルギーが胸に迫る。#BlackLivesMatter 運動を念頭に見られたい作品。

金子文子と朴烈(原題:박열)
大正時代、在日朝鮮人に対して向けられた蔑称を逆手にとり「不逞社」を結成、無政府運動を先導していた英雄・朴烈(パク・ヨル)と、その同志で恋人だった女性アナキスト・金子文子を取り上げた作品。

日本による朝鮮半島占領や関東大震災での朝鮮人虐殺、戦前戦中の社会主義者弾圧と国家暴力の行使など、日本社会の公式見解ではまだまだタブーになっているテーマが絡んでくる分、日本からの制作陣やキャストの参加が少なく、全体としてリアリティに欠けるのが残念。ナチス映画の多国合作と同じように、こういうテーマが日韓合作でできる文化状況が早く来ないかな。

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