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【展覧会 予習と復習!】#1 東京都美術館「ボストン美術館展 芸術×力」

R4.09.10 公開
R4.09.28 追記

【予習】 ボストン珠玉の名品が里帰り! 行く価値はある?

 ボストン美術館は、世界中から多くの優れた美術作品を収集しています。そこには、質も量も素晴らしい日本美術のコレクションも含まれています。普段はボストンへ赴かないと見られない日本美術の名品たちに加え、海外の作品もやってくる。滅多にないチャンスですが、果たして一見の価値はあるのでしょうか?

💻 展覧会情報

会場 東京都美術館・企画展示室
会期 2022年7月23日(土)~10月2日(日)
時間 9:30~17:30、金曜日は9:30~20:00
入館料 一般 2,000円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 65歳以上 1,400円
    ※日時指定予約制
公式サイト https://www.ntv.co.jp/boston2022/

🚆 東京都美術館へのアクセス方法

JR上野駅「公園口」より徒歩7分。
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅「7番出口」より徒歩10分。
京成電鉄京成上野駅より徒歩10分。
駐車場なし。

〜都美館は上野公園に位置していて、東京国立博物館や東京藝大美術館、上野動物園などとは至近距離。訪れる際は、これらの情報もチェックすることをお勧めします〜

👉アクセス指南👉
 いちばん迷わずアクセスできるのはJR上野駅から徒歩のルートです。ただし、「公園口」から降りないと大幅なロスになるので注意してくださいね。
 それ以外を選択すると、いずれも表示所要時間よりもやや長く感じます。ゆるい上り坂もあるので、暑い日などは要注意です。
 このほか、JR鶯谷駅、東京メトロ千代田線根津駅などからもアクセス可能なので、チェックしてみてください!

🕵️‍♀️ こんな展覧会

 ボストン美術館は、アメリカ・ボストンにある美術館。ハーヴァード大学、MITなどと近いロケーションです。
 実はこの展覧会、2020年に開催予定されていたもののリベンジ展。コロナで中止となっていましたが、無事開催されました。現在、各所で大規模広告が打たれています。
 ボストン美術館といえば、かつて名古屋には「名古屋ボストン美術館」があり、ボストンから作品を借りてきて展示していましたが、2018年に閉館。また、そのほかにもたびたび「ボストン美術館展」なるものが、日本では開かれてきました。最近では、2012〜2013年に巡回した「ボストン美術館展 日本美術の至宝」、2017〜2018年に巡回した「ボストン美術館の至宝」などがありました。
 ということで、必ずしも珍しくはないボストン美術館展ですが、もちろん内容は毎回違います。一度見たからといって敬遠するのは得策ではありません。
 とくに、ボストンが誇る「平治物語絵巻」「吉備大臣入唐絵巻」の二大絵巻が今回の目玉です。このふたつの絵巻は、10年ぶりの来日。今回逃せば、また10年単位で待たなければならないでしょう。
 ちなみに、展覧会の英文タイトルは「Art & Power: From Pharaohs to Daimyōs. Masterworks from the Museum of Fine Arts, Boston」です。ファラオから大名まで?そして「力」とは?東洋と西洋のハイブリッドで展示構成されることを示していると思われますが、真意は気になるところです。

🔎 注目作品

増山雪斎「孔雀図」江戸時代・享和元年(1801) 

 作者の雪斎は、伊勢長島藩の藩主でした。大名でありながら、学問や作画に優れており、当時の高名な学者や書家、画家とも親しく交わっていました。 この「孔雀図」は、孔雀をメインモチーフに置き、他に牡丹の花や、沢山の鳥たちを描きこむ華やかな作品です。孔雀や牡丹は、富や繁栄の象徴。小鳥たちはつがいで描かれており、やはりおめでたさを表しています。こうした縁起物の絵画は、雪斎のような大名には特に好まれましたが、雪斎はそれを自分で描いてしまったんですね〜。 雪斎の絵の面白さは、「細かさ」にあります。この絵でも、きっとその「細かさ」を遺憾なく発揮しているでしょう。殿さまのお遊びと侮ることなかれ!ですよ。 

🏁 注目ポイント

 2ヶ月を超える展覧会ですが、なんと、驚くべきことに、今回は展示替えなし!!!二大絵巻の、巻き替えもありません。
 これは(保存の観点から)日本ではあまりないことです。アメリカでは少し考え方が違うのでしょう。
 ともかく、見る側としては、いつ行っても大丈夫ですので気が楽ですね。もう会期も大詰めになってきましたが、まだ間に合います。

【復習】 「吉備大臣」はゆったり見られて素晴らしい!「ボストン展」としては小粒な印象

 行って参りました。当日は土曜日でしたが、台風の接近により大雨。ひどく濡れました。。。ただ、それでも客足はそこそこあったので、注目度は高いのかもしれません。
 内容は、少し散漫&小粒な印象でした。ボストン美術館が誇る「近世絵画」「仏画」「中国絵画」といった花形ジャンルはかなり手薄で、これまでの展覧会と比べても物足りない印象でした。
 「ファラオから大名まで」というサブタイトルも、雑多な内容をまとめ上げるため、半ば無理矢理につけられたと拝察。この手の「名品選」では、コンセプトが漠然としてしまうのは仕方ないんですけどね。とにかく、最初の展示室から、時代も東西もバラバラな作品たちが同居しています。
 とはいえ、「芸術×力」という切り口はそれなりに面白く、権力者たちがどのように芸術を愛し、そして役立てたかということは考えさせられました。あと、インドのミニアチュールが思いのほか良かった。
 会場は一点一点がゆったりと配置されており、あまり無理なく見られます。とくに「吉備大臣」は、かなりじっくり見られましたよ。ただ「平治」はかなり狭かったな…出てる範囲も短かったです。
 私は西洋美術にあまり知識がないのですが、詳しい方ならもっと盛り上がるポイントもあるのかもしれません。サージェントは見応えがありました。

⏳ 所要時間は?混み具合は?

 おおよそ1時間あれば、普通に鑑賞することができるでしょう。ただ、絵巻などをじっくり見たければ+30分ほどみておきましょう。休日ならさらに+30分みておけば余裕を持って鑑賞できると思います。
 土砂降りの土曜日でも「平治」の列はそれなりに混んでいましたし、壁に展示されている絵画も、他人の頭越しに見ざるを得ないケースが度々ありました。
 予約制なので混みすぎて鑑賞に耐えない、ということはないと思いますが…会期末にかけてかなり混雑の予感。行くつもりのある方はいますぐ予約しちゃいましょう。

🦴 鑑賞のコツ!

 今回の展示は、あまり流れを重視する必要がありません。なので、順通りに見ることにこだわらないでください。気になったところから、あるいは空いているところから見ていくようにしましょう。
 展示室は階が分かれていて、一方通行のエスカレーターでの移動なので心配になるのですが、最後の売店を抜けた後にもう一度最初の展示室に戻ることができます。覚えておいてください。


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