見出し画像

【展覧会 予習と復習】♯5 福島県立美術館「没後200年 亜欧堂田善江戸の洋風画家・創造の軌跡」

R4.11.16 公開
R4.12.3 更新

【予習】アジアとヨーロッパを一つの画面に。田善の魅力が集結。

 さて、久しぶりの予習と復習。長い記事を書く時間がなかなか取れず、寸評も誤植だらけの乱文乱筆で失礼しています。

 今回の紹介は、福島市にある福島県立美術館で開催予定の、亜欧堂田善(あおうどう でんぜん)の回顧展です。
 田善は、本名を永田善吉といい、須賀川の住人でした。家業の傍ら趣味で画を描いており、それを白河藩主・松平定信が目に止め、本格的な洋風表現を学ばせたと言われています。谷文晁や司馬江漢も活躍した福島の地は、江戸時代後期においては実は文化の先進地でした。
 「亜細亜と欧州を一堂に」
 そんな意図で定信が名付けた亜欧堂田善の、没後200年を記念した大回顧展が、福島県立美術館と千葉市美術館の巡回という形で開かれます。

💻展覧会情報

会期 2022年10月29日(土)〜12月18日(日)
休館日 毎週月曜、11月24日(木)
観覧料 
一般・大学生 当日1,000円 団体800円
高校生 当日600円 団体500円
小・中学生 当日400円 団体300円
*未就学児は無料。
*身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方は無料。
*「ふくしま教育週間」として11月1日(火)〜6日(日)は高校生以下無料。

公式サイト

🚆 福島県立美術館へのアクセス方法

JR福島駅より→
●電車
 福島交通飯坂線→「美術館図書館前駅」下車(徒歩2分)
●バス
 9番バス乗り場より、福島交通ももりん2コース→「県立美術館入口」下車(徒歩3分)

自家用車→
●福島飯坂インターより
 約15分(福島市街地方向へ国道13号線を南下、信夫山トンネルを抜け中央郵便局前交差点を右折します。)

●福島西インターより
 約20分(国道115号→13号線を北上、中央郵便局前交差点を左折します。)

👉アクセス指南👉

福島県立美術館へは、今回が初の来訪!
アクセス指南、周辺情報、ありません!

🍔 周辺情報&ランチ情報

周辺情報、ランチ情報はどしどし募集中!

🕵️‍♀️ こんな展覧会

 田善は、江戸時代後期の洋風画を代表する画家のひとり。西洋の銅版画や肉筆画にならった絵画を描きました。その契機は、松平定信との出会い。田善の腕を見込んだ定信は、銅版画の制作を命じます。この時すでに50歳となっていた田善にとっては、大きな転換点だったでしょう。
 今回の展覧会では、前後期合わせて160点ほどが並ぶとのこと。地元の須賀川はもちろん、洋風画で知られる歸空庵コレクション、西洋との出会いによって生み出された美術工芸を重点的に集めている神戸市立博物館など、全国幅広い範囲から作品を集めている様子で、期待がもたれます。
 三重の画僧・月僊の作品がまとまって展示されることも興味深く、どんな田善像が浮き彫りになるのか、気になります。
 鎖国の時代として知られる江戸時代。それでも人々は、海外の情報を得ようと奔走し、そして積極的に我がものにしようとしていました。この展覧会を通して、「鎖国」のイメージを新たにすることができるでしょう。
 田善の洋風画は、わが国と西洋との関係性を考える上でも、多くの問いを投げかけます。

🔎 注目作品


亜欧堂田善筆「両国図」秋田市立千秋美術館

さて、今回の注目作品は「両国図」。
今回のキービジュアルにもなっている、田善の代表作です。
江戸の情景を多く描いた田善。この作品には、大相撲でおなじみの両国が描かれています。左の建物に顕著なように、奥へ向かうにつれてちいさく収束していくのは、西洋的な遠近法。人物にほどこされた陰影にも、西洋の影響が看取されます。
とはいえ、やはりどこかぎこちなさも感じますよね。そのアンバランスな感じは、過渡期ならではのもの。そこを味わってみましょう。

【復習】 田善を多面的に捉えた良展覧会

非常に面白かったですね〜。
田善という人の魅力が詰まっていました。田善のような、近代以前の洋風画は、ぱっと見「出来の悪い西洋のまねごと」と捉えられかねません。しかし実際の作品を見れば、修練を積んだ技が確かに宿っており、とても見応えがありました。

展覧会はかなりボリューミー。田善という人の全体を捉えようというものなので、どうしても会場の最初の方は、画風形成以前のものや、影響を受けた別人の作品などが多く展示されます。
「田善ってどんな人?」
そんなことをサクッと知るためには、まず会場をバーッと歩いて、後半の「らしさ全開」の全盛期の作品から見るのも手ですからね。

今回私が感じたポイントをいくつか。
・田善はめちゃくちゃ真面目で、本当に西洋画法を我がものにしようとしている。その点は、司馬江漢よりも真摯な態度に感じる。
・田善の弟子筋については、ほとんど意識したことがなかった。しかし傑出した才能をもった安田田騏をはじめ、田善の技はたしかに受け継がれ、この地に根付いたことがわかった。
・地元に愛された稀有な画家。出品作は、多くが須賀川を中心とした福島県内の作品で、「個人蔵」もほとんどが県内のものと推察する。この偉大な人がいたことを、どうかこれからも誇りとして忘れず、作品をお守りいただきたい。

この展覧会は、来年1/13より、千葉市美術館でも開催されます。関東の方は、ぜひそちらでもご覧ください。

https://www.ccma-net.jp/exhibitions/special/23-1-13-2-26/

この記事が参加している募集

日本史がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?