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友達のエリア,オールド韓国の場合

友達の領域(エリア)、、ってなんでしょう?
この言葉に昭和の歌
「ロマンティックが止まらない」(1985年)を
思い出すのは、アラフォー世代の特徴なのかもしれません。
「友達のエリアからはみ出した、君の青いハイヒール」(作詞松本隆氏)
後に時代を代表するアイドルとなる
中山美穂さんが初出演したドラマ主題歌でした。



上記の歌のエリアは男女の仲の話ですが、
そっちじゃない方の友情のエリア、
について思う所があります。
私の住む韓国のことに絡めて。


私の中の韓国は、リアル韓国よりも
20年前の韓国、そうオールド韓国の思い出が多いです。
この国は様々な面で急成長した国です。
人の心が付いていけない程に。



20年前と今じゃ、もう別の国なんじゃないか
と思うほどの変化が多方面に起りました。
その一つに「友達」の概念があるような気がしてます。


韓流が一気に日本に流れ込む道をつくった
あのぺ・ヨンジュンの若き日の主演作に
「初恋」というドラマがあります。(1996年)

ぺ・ヨンジュンが
韓国のジェームス・ディーンと称された作品。



このドラマの中で主人公の親友は、
何があっても友達である主人公を裏切らず
「友情」を守ります。
そのせいで自分はもちろん
自分の周囲の人間が不利益を被ろうともです。
(ドラマとしてより色濃く演出されたことでしょうが)
ともあれ、主人公と友達の関係からは
実の兄弟レベルの繋がりを感じました。



上記の内容はドラマの話ですが、以下は20年前私にあったことです。
親戚に10代後半の女の子がいました。(チョッカ:姪っ子です)
名前はジヨン(仮名)。



ジヨンは当時かなり肉付きが良く
自分でもそれを気にしていました。
ジヨンの家族はそれに関して実にスパイシーで
容赦ない言い方をしていたと記憶します。
ジヨンも痩せようとはしてたけど、痩せない。


韓国は貧しい時代が長かったので
80年代であれば肉付きの良い事は、豊かさの証。
美も大事ですが、まずは生きてなけりゃと。
しかし社会が豊かになった90年代
それも後半に入ると「太っている事」は
「ありえない事」「何とかしないといけない事」
になっていたと思います。
良くも悪くも「美人が良き」の強い国。



ある日ジヨンに彼氏が出来ました。
それに対してジヨンの親しい友達が言ったそうです。
「ないわ~、絶対ないわ~あんたに彼が出来るなんて。
絶対それはあんたの親の財産狙いだよ!」



韓国に来て間もない私は(韓国語は聞き取れた)
この話の友達の言葉にびっくり。
私は外淑母(母方の叔母)という立場の叔母さんなんですが、
「ちょっと聞いてよ、おばさん~!友達がひどいんだよ!」
という感じでジヨンが軽い感じで話してきたのです。



日本なら「親しい友達」の言葉としては、ありえないと思いました。
友達の「本音」なのだろうけど、これが言葉としてやり取りされるのは、
「家庭の中まで」ではないかと思ってたので。
まるで「実の姉妹関係」の濃さだなと思いました。
ジヨンの方も友達の言葉に「傷ついた!」という感じではなかった。
下の妹がめっちゃ口悪くてさ!位の気楽な感じ。



つまりその当時の韓国(それも田舎)での「友達」は、
これ位ズケズケした物言いは普通に許容する仲らしいと。
日本でいう「友達」の線に比べると、
かな~り人と人の垣根が低い事を感じました。



「思ったことを率直に言う」という
やり取りだけを見ると配慮がないように見えますが。
そういう言い方をする人が社会に多い場合
それに慣れている人達はそこにそれほど
引っ掛からないかもしれないと思いました。
「人が言いたい事を言うのは当たり前だよね」と。
ある時期までの韓国の人間関係には
確かにそういう所があったと思います。





実際、自分が韓国で子供産んで育ててみると、
当時の周囲の韓国人達はかなり「言いたい放題」言ってきました。
子供の美醜を好きに判定してハッキリ口にするし、
自分の思う「〇〇せねばならない」を必ず言う。
「この子は鼻を高くせねばならない!」とか(ホンマです笑)




これらにストレスを感じる日本人ママは大変多いです。
私も嫌だなあ~と思ったことがあります。
でもそれほどは苦にならず。
皆さん「よかれて思って」口にしてるのは分かるから。



元々自分も思ったことを率直に伝える方でして。
そのせいで日本では子供の時から何度も場を凍らせてきました。
ずけずけした遠慮のない韓国の人々にかなり近い気がしました。
韓国の方が性格的には合ってるんじゃないかと
自分でも思いましたし、周囲の多くの人がそう言いました。



では「言いたいこと言う人の多い」国、
韓国が私のパラダイスになったかというと、
状況がどんどん変わってきました。
進む近代化によって
人に求められる人間関係のスキルが急増しました。
社会がスマートさを要求し始めました。



「昔は〇〇だった」というおじさん達は
コンデと呼ばれて鬱陶しがられます。

目上の人を敬い従うという韓国の習慣は
悪く出るとパワハラを引き起こします。
韓国ではパワハラの事を(カッチル)といいます。
強者(甲)の行き過ぎた行為。


あれこれと自分の利益ばかりを主張する
めんどくさいお客さん(クレイマー)は
「チンサン」と言われるようになりました。

上の世代の面倒くささや配慮の無さは
現代の韓国の若者にとっての「害悪」になりました。



なので今や韓国でも年上だという理由だけで
「言いたい事」だけを下の世代に放っていては
「めんどくさいひと」「避けたい人」扱い決定です。
嫌だ!私は韓国人と仲良くしたい。
好いて好かれて「また会いたい!」と言われて生きたい。
家族にも愛し愛されて生きたい。



親がどっぷりオールド韓国な体質から抜けられず
子供に高圧的な言葉を浴びせて嫌われ避けられ、
口もきいてもらえない、顔もあわせてもらえない。
そういう事があります。それは辛いし寂しい。
お互いが一歩ずつ歩み寄れたら、、いいですね。




ので、今でも「言いたいこと」「伝えたい事」を
どういう風に伝えたら気分よく受け取ってもらえるかなと
一旦立ち止まって考え、言ってみて、経過を見て、
その結果を見てまた再構築です。
コミュニケーションを学んでいる最中です。
現在進行形です。すぐに口から出したくなるのですけど。




言いたい事だけ言う、自己主張しかない人といても
人は楽しくないのは当たり前の事。
その人の動機が「良かれと思って」であっても。



でも大元がそんないい心なら、、、、

綺麗にラッピングしてあげて、
簡単な取り扱い説明書をつけてあげて
外の世界と手を繋げるのがお互いに良いと思います。
人と繋がる事はとても楽しい事だから。
こちらの「言いたい事」も上手に伝えながら、
相手と繋がっていく。
相手も良い気分で過ごせたら
「また会おうね!」になるはず。



韓国ではお年寄りの事を「オルシン」と言います。
(お年寄りを尊敬するニュアンスを含んだ言葉です)
高齢化社会なのでどんどん世に増えるオルシン。

オルシンが若い子に「めんどくせ~、ああやだやだ」と
言われてるのを耳にすると、他人事じゃない!
まるで自分に言われているようでドキッ笑



子供叱るな来た道じゃ。
年寄り笑うないく道じゃ、、

という言葉が日本にありますよね。
(細部に違いはあれど)
心に沁み込む言葉です。
ありがとうございました。 

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