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<おとなの読書感想文>小さい”つ”が消えた日

突然ですが、外国語は得意ですか?
人には誰しも得手不得手があるもの。わたしは、どちらかというと苦手な方だと思います。

グッドモーニング ミズ カワサキ、アイム ファイン センキュー アンドユー?
のあいさつから始まる英語の授業が、学生時代どうしてもおもしろいとは思えなかった。

もちろん、語学を学ぶことそのもののおもしろさを否定するわけではありません。新しいことばを覚えることは、新しい表現の世界を獲得することです。
そして、今まで使ってきたことばを違った視点で見ることでもあるのです。



「小さい”つ”が消えた日」(ステファノ・フォン・ロー文 トルステン・クロケンブリンク絵 三修社、2008年)

個性豊かな文字たちが住む五十音村は、とてもにぎやかなところです。
でもただひとり、声を出すことができない子どもがおりました。。

幼い頃は、決して発音されない、けれど確実に存在する小さい「つ」対して、もっと注意深かったかもしれません。
しかし、毎日当たり前に話したり書いたりしている今、この不思議な文字へ特別熱心な感情を持っている人は、ほぼいないと言っていい。

ご本人があとがきで述べているとおり、これは日本語を母語としない著者だからこそ書くことのできた、言語への好奇心と愛情あふれる物語なのです。
ことばを知った、話せた、書けた、表現できた、あの頃のみずみずしい感動を、かわいらしいお話とともにふたたび味わうことができる一冊。
それぞれに性格を与えられた文字の中から、自分の名前の文字さんを探して遊ぶのも、きと楽しいと思います。

あれれ、おかしなことが、おこているみたい。
また、小さい「つ」が、いなくなちゃた。
早く見つけに行てこなくちゃ!!

画材費、展示運営費、また様々な企画に役立てられたらと思っています。ご協力いただける方、ぜひサポートをお願いいたします。