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【本の感想】『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

息子氏と本屋さんに行った時、何気なく目に入って購入したこの本。

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義姉がアイルランド人の夫を持ち、息子が3人。そしてロンドン在住という、私にとっては、身近な人達と家族構成がほぼ一緒で気になったということもありました。(仕事の関係で上海に行くことになっていたのだけど、コロナ騒動でロンドンにまだいるという大変な日々を送っていますが)

11歳の息子を持つ、日本人の「かあちゃん」とアイルランド人の「配偶者」。カトリック系の私立の小学校に通っていた息子くんが、地元の公立の「元・底辺中学校」に通うという選択をしたことから、人種、ジェンダー、アイデンティティなどなど様々な悩みにぶつかっていく、著者であるブレイディみかこ氏の日記のようなリアルな日常が綴られています。

私は、仕事柄、「地域」「まち」というものの中で取組を組み立てていくときに何気なく「多様性」という言葉を使ってきました。

私自身、地方のド田舎生まれで、家庭環境や自身のアイデンティティに悩んできた中で「多様性を認める」ことは仕事でも生きていく上でも最重要なポイントに据えています。

が、この本を読んで私の「多様性」の狭さ、ちっぽけさに頭をグ―でなぐられたような気がしました。「多様性」とは、もっと複雑で、まず大前提「わかりあうことはない」ということを、私は肌感覚で経験をしていない。

“多様性があるとものごとははややこしくなるし、喧嘩や衝突が絶えないからない方が楽。だけど、楽ばかりしていると無知になる”

息子くんの疑問に対する「かあちゃん」の説明。世界の縮図のような環境で生活する著者のリアルな言葉が刺さりました。

また、シンパシーとエンパシーの違いも。

シンパシーはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情のこと。

エンパシーは自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうだとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のこと。

シンパシーは感情的状態。エンパシーは知的作業といえるかもしれない

と、筆者は言います。

息子くんの、「エンパシーとは、誰かの靴をはいてみること」の答えも的を得ている。

日本人は、シンパシーを感じる場面は多々あるけれど、島国の単一民族だからなのか、エンパシーという知的作業を養う場面は少ないのかもしれません。

シンパシーもとても大切な感情ですが、エンパシーは学びとして得ることができる。今の日本の学校で、こういうことについて議論したり考える場はあるのかな。

島国ニッポン。改めて私達は守られ、恵まれている。恵まれすぎているが故に鈍感になってしまっていることはたくさんある。

これからを生きる子ども達に、何ができるかを仕事の中では考えたい。と思いました。

とにもかくにも、とても良い本に出会えました。超絶、おすすめです。

#読書感想文 #本




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