新たな検索手法

検索の分権化ということを模索する必要があるのではないか。

キーワード・ハイライティング

検索の別のやり方として、キーワード・ハイライティングというものは考えられないだろうか。これは、文章の中から、キーワードを自動的に引っ張ってきてそれをリスティングし、それに基づいて検索する、というやり方だ。当然全文検索とアルゴリズムの方が色々できるのだろうが、前にも書いたが、コピーを検索エンジンに置いて、そこで全て舐め回されるというのはあまり気持ちの良いものではない。
そこでこのキーワード・ハイライティングとなる。文章を作成、あるいは投稿したら、その中から(1)頻出のキーワード、(2)他の文章と比べてその文章に特徴的に現れるキーワード、(3)筆者が特に指定するキーワードといったことをハイライトしてそれを軸に、サーバーに全文コピーすることなくキーワード検索するということ。

サーチ・アルゴリズムの自己決定

どのようなアルゴリズムで検索したいかの設定を検索側で行い、それに従ってハイライトされたキーワードの中から検索対象を選び出すということ。
その際に、既存のネットワークを優先するのか、それともこれまで見たことのないページを優先するのか、などの設定もできるようにすることで、検索対象も様々に変えることができるようにする。既存のネットワークならば検索範囲が限定的なので、その速度は速いが、新たな知見に当たる可能性は低くなる。新規検索は検索に時間はかかるかもしれないが、アルゴリズムをさらに詳細に定めることで、狙った情報に近いものが得られる可能性が高まる。
また、ノイズキャンセラーの仕組みを設定することで、検索者サイドでノイズだと考えた情報をリスティングしてゆき、それを検索対象から外してゆくことで、個別に検索精度を上げてゆく、ということもできるかもしれない。

カウンター・サーチ・アルゴリズム

検索される側がどのようなアルゴリズムで文章を検索してほしいかの、カウンター・アルゴリズムを文章ごとに設定し、それによって検索がかかった時にその検索に自分の文章がどれだけ当てはまるかの判断が自動的になされるようにすること。これには、例えば、要約のテンプレートをいくつか準備し、それに従って要約を作成してそれに基づいて検索されるようにすることなどが考えられる。
検索側と被検索側のアルゴリズムの相性によって、その検索順位が変わって来るということになり、その検索アルゴリズムが相互に参照可能ならば、お互いどのようにアルゴリズムを設定して検索したりされたりしたいかがわかって来るようになり、アルゴリズム自体が徐々に進化してゆくことになるのではないか。

リファレンス・サーチ

投稿された文章に参考文献が付属していれば、それを辿っての検索ということもできるかもしれない。引用ならばその引用理由をポジティブ、ネガティブ、そして引用の関連度合、あるいはもう少し細かく設定できるだろうし、参考ならば例えば要約が複数あれば、どの要約に近い立場で参考にしたのか、というようなことが設定できるかもしれない。
参考文献、引用のやり方が定型化・一般化されれば、それを軸に検索の仕組みを整えてゆくというのは、その精度を上げるのに有効ではないだろうか。既存の情報との近似性から新たな知見を広げてゆくというのは、どのようにその考えに至ったのか、ということを見るためにも有効な手法であると言え、それを可視化することによって、その思考経路を再現しながら情報を検索してゆくというのは、学びのあり方としては現実のあり方に近づくようにも感じる。
文献に限らず、ウェブサイトの情報が固定されれば、その参考サイトとしての安定性も十分に高まってゆくだろう。そのために、サイトのバージョン管理の仕組みも整える必要が出て来るかもしれない。

Wikipedia経由の検索

一般情報のオープンな仕組みとして確立しているWikipediaへの参照を軸に、それを参照しているページに対して利用者側から関連度評価を行い、その評価が高いものは検索に当たりやすくなる、という仕組みは考えられないだろうか。
Wikipediaが相互参照的になることで、Wikipediaの側でも情報集積を図りやすくなるかもしれない。つまり、現状では独自研究とされるようなことが、参照側として評価が高まることで、他の人がWikipedia本文に反映させるというフィードバックプロセスが働くようになるかもしれない。
さらに、文献情報とサイト情報の特徴の違いなどについての議論のベースとなってゆくかもしれない。安定した情報である文献情報と、バージョン管理が整えば、動学的に更新可能な情報であるウェブサイト、という形で棲み分けができるようになるかもしれない。

検索手法分権化の意義

このように、検索手法の分権化について考えることは、それぞれの人がそれぞれの情報の探し方、学びのあり方、考え方の発展の仕方をカスタマイズしてゆくことになる。一般化できることは一般化されて広まるだろうが、それは検索エンジンがかなり主導して既におこなっていることなのかもしれない。今後は、それを個別化し、いかに多様な情報利用の文化を形成してゆくのか、ということが、情報化時代の大きなトレンドとして浮上して来るのではないだろうか。
DX2.0として提示した情報の定性評価の流れとも一致して、情報を数字の羅列から個々人が利用しやすいもの、そして個々人が主体的に管理利用できるものへと変わってゆくだろうし、またそうしてゆかなければならないのでは、と感じる。


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