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今年で全通90周年の高山本線・車窓から眺めてほしい飛騨の風景

以前、旅先の書店で見つけた一冊の本。

『50歳からのごきげんひとり旅』山脇りこ(大和書房)

何気なく手に取ったこの本、気になってふと開いてみると、数ある旅エピソードの中から、なんと!一発目で『飛騨高山を旅したエピソード』が紹介されていました。これは買わなきゃ!と即決購入。私もひとり旅が好きなので、楽しく読ませていただきました。

さて、この本によると、筆者山脇りこさんは、富山市→飛騨高山→名古屋のルートを通るのに「高山本線」を使って移動することを試みました。そして、以前から気になっていた特急ひだ(この時は旧式のキハ85系)に乗車します。
その富山ー高山間の様子がこちら。

この険しい山の中を、いくつものトンネルをくぐり、分け入るように走る列車に乗っていると、自然と謙虚な気持ちになりました。この線路を並々ならぬご苦労で、もしかしたら命とひきかえに作り上げた、名もなき方々に頭が下がる思いがわき上がってきたのです。そして、森に山に、ああり私たちが通していただいているんだ、と。
山と山の間を、時には渓谷を縫うように、川に沿うように、森に頭から突っ込んでいくように、列車は走ります。静かな美しい川の流れの場所では、胸元まで水に入って渓流釣りをする人の姿も見えました。まるで映画の「リバー・ランズ・イット」じゃないか。(中略)
とにかく、こんなところを列車が走っていること自体が奇跡なんじゃないか、そのくらいすごいところを走り抜けるー・目を見張っているうちに、列車は2時間ほどで高山駅に到着しました。

「50歳からのごきげんひとり旅」より抜粋

高山本線は飛騨の山の中に敷かれた線路であることを知り、秘境のような光景に驚かれている様子が伝わってきます。
こうして無事に高山駅に到着したりこさんは、高山での観光を終えて、また特急ひだに乗り込み、名古屋を目指します。
そのときの様子がこちらです。

帰りは名古屋まで。再び特急ひだで。
いやはやこれがすごかった。列車は高山から飛騨川に沿うように走り続けるのですが、この川の景色が言葉を無くすすさまじさでした。人なんてひとたまりもない、一瞬もそこにはいられない、見たこともない川の姿がありました。
上流の、20畳くらいありそうな巨岩がひしめき合う姿、そこを水しぶきを上げて流れる川、そこからほんの数百メートルで、青空の下、釣りを楽しむ人を見守る静かな姿にがらりと変わる表情に、畏怖の気持ちが湧いてきました。
岐阜って、木曽川、長良川が、下流に向かって合流するように流れるところなのですね。目の前に広がる景色に、思い切って乗ってよかったと心から思いました。

「50歳からのごきげんひとり旅」より抜粋

ここでもりこさんは飛騨の鉄道の風景に感嘆されています。
地元に住んでいると、あまりに見慣れた光景のため「当たり前」のように感じていましたが、JR高山本線の車窓から見える飛騨の風景は、初めてこの地を訪れる人々には魅力的であり、畏怖の念を感じさせるほど感動的なのだな…と、この本を読んで気づかされました。

高山本線の鉄橋(岐阜県飛騨市にて)

高山本線は、飛騨川や宮川沿いを走る国道41号線の近くを通っています。国道から見える高山本線は、確かに渓谷沿いの険しい場所に橋が通っていたり、トンネルが続いたりとなかなかの難所です。

改めて振り返ると、確かに絶景ですよね。そこで、ふと「この路線、一体いつ、どのようにして作られたんだろう?」と疑問に思った私は、地元の図書館に行き鉄道に関する資料を読んで調べてみました。そこから着想を得て書いたのが、こちらの記事です。

現在の飛騨地内の線路は、今から90年以上昔の敷鉄工事によって作られたものでした。

明治時代、全国各地で鉄道が引かれていき、ここ高山でも「いつか飛騨にも鉄道が欲しい!」という声が挙がったものの、この山岳地帯に鉄道を引くことは地理的に困難さを極め、なかなか話が進みませんでした。ところが、地域の人々の粘り強い運動と熱意によってようやく国の許可が下り、岐阜県を縦断する鉄道が敷かれることになります。当時の最先端技術を駆使して工事が執り行われ、1934年(昭和9年)に高山本線が全通しました。
以来90年間、冬は厳寒と雪に見舞われる厳しい自然環境の中を列車は走り続け、現在に至っています。

山脇りこさんが感激された高山本線は、私たちの先人が命懸けで築き上げた貴重なものだったのです。

そして、今週末8/10(土)から8/18(日)の一週間、高山本線全通90周年の記念イベントが高山市内で開催されます!

高山線ファンクラブ実行委員会さんが開催する『高山本線全線開通90周年記念展覧会』場所飛騨・世界生活文化センターです。
入場料→展覧会受付で購入できます!
【当日券】大人:1,200円、学生:500円、小学生以下無料。

実は、この展覧会を主催している高山線ファンクラブ実行委員会の委員長は、私のいとこなのですよ。(下のサイトに、実行委員長の挨拶文が掲載されています)

私が、飛騨高山観光協会の市民ライターとして(上でご紹介した)「高山本線90周年記念」の記事を書かせていただいた後に、いとこがこのイベントの主催メンバーであることを知り、「えっーー!そうだったの!」とビックリ。

いとこの話によると、旧国鉄マンだったおじさん(いとこの父)の鉄道関係の遺品も展示されるようです。

その他、高山本線の貴重な歴史的写真や模型の展示、復刻駅弁の販売、いろいろ見どころ満載のすごい展覧会みたいですよ。

お盆で飛騨に帰省される皆さま&高山へ観光旅行でいらっしゃる皆さま&全国の鉄道ファンの皆さま、ぜひ全線開通90周年記念展覧会にお越しくださいませ✨


こちらは久々野駅(高山市久々野町)。高山本線の中で一番標高が高いところにある駅です。
久々野駅の前に立っている道標。標高676mなり。

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Emiko(シモハタエミコ)
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