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夢の中の記憶

昨夜、怖い夢を見た。

夢の中の世界は、具体的に何処かは分からない。

時代も、現代のようで、そうではなかったかもしれない。

夢の中の私は、「今の私の意識」が、そのままその世界に存在しているような感じだった。最初、性別は分からなかったけど、そのうちに、夢の中で「自分は男だ」と気がついた。年齢は今の私よりもっと若くて30代後半から40歳くらいだろうか。

私は、石造りの建物が並ぶ伝統的な町の住人だ。

そして、ある場所にいる。

その場所とは、建物の中にある広間のような所で、そこには何人かの人が居たが、その中の一人に「融通が利かない支配者」がいて、何か気に触ることがあると、誰かターゲットになる人間を見つけ、合法的に容赦なく粛正していた。

私は、この人物のことを前から知っているようだ。でも、今のこの男は、何かに取り憑かれたようで、明らかに気が狂っていた・・・。

私は恐怖を感じて、この人物に気づかれないよう、この場所から逃れようと思った。

そっと人の流れに沿って、この部屋から出ようとした時、その人物に気づかれ、声を掛けられた。

私はとっさに逃げた。

後ろを振り返らず、一目散に走って逃げた。

必死になって逃げるのだけど、建物の中は非常に入り組んでいて、所々、通路が狭まっている箇所があり、そこで引っかかって、なかなか思うように逃げられない。

気がつくと、私は建物の外に出ていた。

石畳の町のなかを私は走って逃げる。

部下の男たちが追いかけてくる。

逃走している道の先々に、手下の男がいた。

気がつくと、私は捕まっていた。

男に促されて少し歩き、広場のような所に着く。

そこは、周囲を石塀でぐるりと囲まれた空き地だった。

それほど広くは無い。

男は、塀の近くの地面を指さし、「そこへ行き、塀の方を向いて立っていろ」と言った。

私は、塀の辺りを見つめた。

そこは、地面が剥き出しになっていて、所々に雑草が生えている。どこにでもある何でも無い空き地だ。

でも、男が指さしたその地点は、小さなくぼみがあり、地面の土が赤茶けていた。

それを見た瞬間、「ああ・・・、私はここで銃殺されるのだ」と悟った。

一体、ここで何人の人が命を落としていったのだろう。

私は何故、死ななくてはいけないのか?

頭の中が混乱してきた。

意味が分からない。

私は、失敗すること無く、上手いこと生きてきたはずなのに、どこで踏み外してしまったのだろう・・・。

私の何がいけなかったのか?

大声で叫んでも、それは無駄だと感じた。

そう、理由なんて最初から無いのだ。理由なく、ただ相手の気まぐれと都合で粛正されるのだ。

背後から、ザワザワと人が近づいて来る気配がする。

ガチャガチャと銃を操作する音が聞こえる。

私の命は、あと数分、いや数秒で終わる・・・。

目を閉じるのも怖くて、私は大きく瞳を見開いた。目の前の塀を見た。

塀の白っぽい石の表面を見つめながら、自分の呼吸の音が耳に触る。

こういうとき、私はどう振る舞うといいのだろう。

理性的に模範的に振る舞うといいのだろうか?

それとも狂人を装って暴れるといいのだろうか?

死の直前まで、こんなことを考えている自分が馬鹿らしくてたまらない。

どこまでお人好しなんだろう。

妙に頭が冴えてくる。いろいろな思いが脳裏を駆け巡る。

私はずっと今まで、常に注意を払い、人から嫌悪や憎悪を向けられないよう「道化」になって生きてきた。

だから、私は「自分は大丈夫だ」とずっと思っていた。何が起きても「自分は特別な存在だ、自分は逃げられる」と、そう信じていた。

今、こうして死の直前においても、私は「自分は特別な存在だ、絶対に大丈夫だ」とまだ思っている。いや、そう思いたいのだ。信じたとおりに奇跡が起きて、「ほら、やっぱり大丈夫だった」と後で笑いたいのだ。

しかし、その期待は、今、崩れようとしている。この「自分は大丈夫だ」という期待が、今、裏切られようとしている・・・。

信じていたことが崩れ去り、私は死ぬ。

自分が自分に掛けていた「期待」が裏切られる・・・ということは、私にとって恐怖でしか無い。これはとてつもない恐怖だ。

私は目に見えないモノに守られている・・・という、不確かな自信に支えられて生きてきたのが、それは浅はかな私の思い込みだとバッサリ切り捨てられるのだ。

そう、私は決して特別な存在では無かった。

ごく普通の、無力のありきたりな存在であった。

・・・と。

私の心の中の「恐怖」が最高に膨らんだ瞬間、私の背後でパンパンパンと乾いた銃声の音が大きく響いた。


◇◇◇

以上が、昨夜の夢だ。

実は、この夢を見たのには理由がある。

今、自分の身体に表れている不調は「過去の恐れ・トラウマ・怯え」から来ているのではないか・・・と感じたため、昨夜、寝る前に「不調の原因を教えて欲しい」とスピリットにお願いしたのだ。

とてもリアルな夢だった。今も生々しく覚えている。

これは、トラウマになってもおかしくない・・・。

夢から覚めた後、内容を忘れないように・・・と、すぐに記録した。


今日は一日、散歩をしながら、家事をしながら、怖い体験をした「あのときの自分」に、今の私が話しかける。

今、私が生きている場所は「日本」という穏やか国で、今は銃で撃たれる心配のない、とても平和な時代を生きている。だから大丈夫。

でも、この時は、相当怖かったのね・・・。どんなに自分を押し殺して「道化」になり、一生懸命に相手に尽くして喜ばせても、相手の気分次第で簡単に殺されるんだもの。割に合わなかったよね。

もう卑屈になる必要も無いし、自分を貶める必要もない。

もう、そういう生き方は止めようと肝に銘じよう。

今のこの人生は、素直な自分のまま自由に生きていこうね・・・。

そのために、今、こうして生きているのだから。

そう、今世はリベンジ。

新しい時代になったのだもの。

今まで長い間、魂に蓄積させてきた「感情の澱み」を全て浄化して、新しく生き直していこうね・・・。

・・・と。

私は、自分の中にあるネガティブな記憶を、また一つ浄化する。


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