文房具が好き
私は、子供の頃から文房具が大好きだ。
近所の文房具店(昔はどこの町内にも文房具屋が必ずあった)で新しい文具を買うのが楽しみだった。
昔は、今のようにネットで検索することはできなかったから、町の小さな文具屋さんが、私の世界そのものになる。
小さくて限られた世界だけど、私は真新しいノートやペンを選ぶとき、とってもワクワクして心が高揚した。
大学生になると、百貨店やデパートの大きな文具売り場に行くようになった。東急ハンズにもよく行き、いろんな文具に触れた。ただただ商品を見ているだけでも、すごく楽しかった。
ちなみに、今でも、旅先では本屋と文房具屋には必ず行く。
そこで、今の文具のトレンドは何だろう?どんな文具が並んでいるのかな?・・・と、あれこれ観察して、新しいグッズや便利そうな文具をチェックするのが今も大好きだ。
そんな感じで、私の文具好きは「私だけのもの」だと思っていたのだが、あるとき、仲間がいることが分かった。
数年前、うちの息子の大学受験の時、受験先に付き添って行ったのだけど、何かの用事でその街のデパートへ一緒に行き、何かのついでに息子と二人でそのデパート内の文具売り場に行ったことがあった。
さすが都会♡。田舎にはない豊富な品揃えで、新しくてキラキラした最先端の文具が並んでいた。それらを目にするだけで私の心は高揚しワクワクした。
このとき、あまりに嬉しくて、つい「私、文具売り場でいろいろ見るのが好きなんだよね」とポロリと息子に言ったら、息子も「僕も文具売り場、大好きやよ」とハッキリと言うではないか・・・。
「え?」
私は驚いた。
「ブルータス、お前もか」・・・じゃないけど、「○○(息子の名前)、お前もか!?」と思わず口から出かかった。
「本当に?」と聞くと、
「本当。僕も文具を見るのが好き。新しいものや見たことがないものを見つけると、すごくワクワクして楽しくなるよ。」と息子は言う。
あれれ。私と同じじゃん。
その後、二人で文具売り場の中をグルグルと回り、いろんな文具を見ながら、共に「文具愛」を熱く語った。
まさか、自分の息子が私と同じように「文具好き」だったとは、全然気づかなかったよ・・・。
灯台もと暗し・・・とはこのことだ。
本当に驚いた。
ちなみに、夫とは一緒に文具売り場へ行ってもそれほど楽しそうではなく、すごく退屈そうにされてかえって申し訳ない気持ちに陥るんだけど、息子は私と同様、嬉々として文具売り場の中を見て回り、いろんな新商品を見てほくほくと嬉しそうにしていた。
私は、なんだか「自分だけの小さな世界」に、新たに仲間が増えたような感じがして、とても不思議な気持ちになった。
もしかしたら、親のこうした嗜好も、子に遺伝するものなのかな?と思った。
私は息子に自分の文具好きを話したことは、この時まで一回もなかったのに、一緒に暮らしている間に自然と伝わり、息子にも感染したのかもしれない。
その後、社会人になった息子と一緒に文房具屋へ行くことは無くなったけど、今も、旅先の文具売り場に一人立ち寄ると、あのときの「えっ?○○(息子)も好きなの!?」の衝撃をふと思い出す。
どうってことのない、とりとめの無い家族の思い出話だけど、あのときの何ともいえない不思議な気持ちは、今もずっと私の心に消えること無く深く残っている。
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