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わたしは うみ

わたしはくまのこ、うみ。

たいらのもりにすんでいる。

わたしのいえは、おじさんかぞくのいえのにかい。

おかあさんとふたりですんでいる。

おかあさんとけんかをするこえがうるさいと

たまにおじさんにおこられる。

おかあさんはよる、まんげつがおかで

おしごとをしている。

だからわたしはひとりでねむる。

ひとりでなかなかねむれないとき、

くらやみのなかから、くろのこが

にょきにょきっとでてきて

わたしにはなしかける。

くろのこはともだちだけど、

くろのことはなすとわたしは

ちょっぴりこころがくらくなる。

おかあさんのことがしんぱいになったり、

おとうさんをさがしにいきたくなったり、

ひとりでねむるのは、さびしいなぁと

おもう。

くろのこはくらいところがすきだから、

わたしをくらいところにつれていきたがるんだ。

でもね、ごめんねそっちにはいけないの

といってわたしはいつもなんとか

くろのことおわかれして、

がんばってねむることにしている。

たまにおとうさんのゆめをみる。

おとうさんのことはぜんぜんおぼえていない。

おとうさんはいま、ほっきょくでさかなつりを

しているらしい。

ほっきょくにはまっしろなくまばかりが

いるらしいけど、わたしのおとうさんもまっしろなんだろうか。

きょうがっこうでおこられた。

さんすうのてすとのてんがわるいのをからかわれて、

となりのせきのことけんかしてしまったから。

かえったらおかあさんにもおこられた。

さんすうのてんがわるいから。

そんでもっておかあさんとけんかしてたら

うるさいぞ!っておじさんにもおこられちゃった。

きょうもひとりでベッドのなか。

よるはさみしい。ひとりぼっちで。

こうしているとくろのこがでてきそうだから

わたしはくろのこからにげるため、

たいらのもりをずんずんすすみ、

まんげつがおかへやってきた。

らんらんとおおきなまんげつがかがやいて、

まっくらなよぞらにあながあいてるみたい。

きらきらほしがせいざをつくるみたいに

らんたんがつりさがってみんなをてらす

よるのまち。

ぶどうしゅのんで、よっぱらいのおとなたち。

にこにこるんるん、さわいでおどって。

しゃけのむにえる、りんごパイ。

たくさんたべてしあわせそう。

にこにこがやがやなおとなたちのなかで

わたしのおかあさんはあくせくはたらいていた。

あ!

あら!うみ!ベッドからぬけだしたのね!

なんでこんなところまできたの!

おかあさんにみつかってしまった。

ちょこっとおこられたけど、おかあさんは

わたしのかおをみてなぜかすぐに

ぎゅーっとだきしめてくれたんだ。

もうすぐおしごとがおわるから

いっしょにかえろう。

おかあさんはそういってくれた。

るんるんらんらんまんげつがおかをぬけて、

たいらのもりへおかあさんとてをつないで

おうちへかえった。

おかあさんはへとへとにつかれて、

くまなのにねこぜになっていた。

くんくんかぐと、ままはすこしおさけくさかった。

おやすみのひのせんたくもののかおりの

ままもすきだけど、がんばってはたらいたひの

ままのかおりもすきだよといってあげれたらよかったけど、

はずかしくって、こころのなかにしまってしまった。

おかあさんとてをつないでおうちへかえったよる。

おへやにあがるまえ、まどからおじさんかぞくが

ねむっているのがみえた。

よくおこられるけど、たまにいっしょにゲームを

してくれるし、えをかいたらいつもよろこんでくれる。

おじさんのこともほんとうはちょこっとすきだよ

っておもったけど、おじさんはねむっているし

これもこころにしまっておこう。

こんやはおかあさんが、とんとんして

わたしをねかしつけてくれた。

ねむるまえにおしえてくれた。

おかあさんのおなかのなかにわたしがいるとき

みんなでうみべのまちにすんでいたんだって。

おとうさんがわたしに うみ ってなまえを

つけたんだって。

わたしはうみのちかくにいたなんてしらなかった。 

しずかなうみのゆめをみた。

ボトルにおてがみをいれて、

なみにはこんでもらったよ。

おやすみ。

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