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恋に言葉はいらない


「7日間で英語がペラペラになる 「カタカナ英会話」甲斐 ナオミ
今回のふみサロでの課題本です。

 カタカナ英会話と聞いたとき、幼馴染のケイちゃんを思い出した。
ケイちゃんは中学を卒業すると間もなく,米兵と結婚してアメリカに行ってしまった。
  中学を卒業した後一度もあっていない。ケイちゃんは早くに両親を亡くし、きょうだいだけで暮らしていた。

 沖縄中部の歓楽街には、米兵相手のバーが乱立し、その中でAサイン(米軍公認)お墨付きのバーも並んでいた。
 友人の話によると、ケイちゃんはAサインバーに働いていたという。
そこで知り合った米兵と結婚したようだ。

 私はまだ高校生だったので、聞いたときはびっくりした。勉強もあまり好きでなく英語など話せるはずもないケイちゃんが、どうやって米兵と恋に落ちたのだろう?英語で語りあえたのかと素朴に思ったものだ。
浮かんだのは叔母の借屋に住んで居る愛人関係の男女だった。二人の会話を聞いたとき、女性はほとんど日本語で話していて、会話の間に英語のフレーズが時々入っていただけ。でも二人の関係は成り立っていた。
通じていることが不思議だったが。

 当時コザ(今は沖縄市)は嘉手納基地に取り囲まれ、金網で仕切られた基地の外側にしがみつくように住民が住んで居た。
  戦後の沖縄は、未亡人が多かったが働く場所はなく、米兵相手の飲食街は女性たちの生活を支えていくのに必要な場となっていた。
 中学を卒業したら、集団就職で本土の工場に行くか地元の飲食店で働くしかなかった。ケイちゃんのように家の事情で本土就職もできない若い女性はAサインバーでは重宝されていたと思う。
 
 多くの女性が、結婚して渡米した。アメリカでの生活は、言葉の壁だけでなく家族とうまくいかず帰ってくる女性が多いと聞いた。差別という大な壁があったという。
ケイちゃんのケースはまれ?だったと今でも思う。

 風の便りによると、ケイちゃんは子ども成長し、孫もいてアメリカで幸せに暮らしているという。
 子ども頃の、ケイちゃんの不憫な暮らしを思い出すと、本当にしあわせになって良かったと思う。今は、ネイティブ英会話をこなしていることだろう。

 恋に言葉はいらないというが“人の縁“は言葉を超えるのかもしれない。

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