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【ネタバレ】宝塚宙組特別公演 ル・グラン・エスカリエ(24/6/30 宝塚大劇場・千秋楽)

配信で見た。

短納期だったんだろうか、プロジェクションマッピング(スタートもプロジェクションマッピングだった)や一枚絵が随分多かったなあと思った。なんとか作り上げた美術さんをまずねぎらってあげたい。

曲は本来予定されていた「宝塚110年の恋のうた」などのセットリストを流用したのかもしれないが、とにかくテーマ曲が頭に残らなかったなあ。

トップスターの芹香斗亜がジャングルのシーンで「夢人」を歌っているが、
その歌詞は「夢をつくってみませんか 花少々と星三つ 月が輝く粉雪小雪 それだけあれば十分です」というもので、制作当時の組を入れ込んだ歌詞で、「宝塚で夢を見てみませんか」とも取れる内容である。

また、パレードがエトワールが歌ったのは「シトラスの風」のテーマであったが、それに続いて94年花組のショー「ハイパーステージ」のテーマからサビの「変わりゆくもの そして 変わらないもの 本当に大切なものを 捜す旅に出ようよ」と一節が歌われたのも、メッセージ性があるように思える。

その他にもロケット前のシーンでプロジェクションマッピングで、「1974年 ベルサイユのばら」「1998年1月1日宙組誕生」と劇団の歴史を振り返るシーンで、「1944年 翼の決戦」(春日野八千代が主演した戦時中最後の舞台)とか「1995年 国境のない地図」(ベルリンの壁に翻弄された親子がテーマの作品。阪神大震災後最初に上演された作品」などがありこちらもメッセージ性が感じられた。

しかし、今の時代植田紳爾作品としては「ベルばら」より「国境のない地図」のほうが時代性に合っているような気がするが、冒頭のピアノの演奏がネックなのだろうか?

それを言い出したら秋の全国ツアーなんて「大海賊」よりも「エクスカリバー」(昨年のプレお披露目じゃない、旗揚げ公演の方)がいいだろうと芹香の「未来へ」を見ながら思ったが…。

さて、ロケットはフォーエバータカラヅカだったのだが、今年は奇しくも登場40周年(初演は大地真央がトップだった頃!)でロケットの題材になるのは初めてかもしれないが、非常に良かったし、周年記念のショーがあれば定番化してほしいと思った。

カーテンコールは「ありがとう」以外何も言うなと劇団から言われたのか、フォーエバータカラヅカのイントロで幕が下がって、拍手で再び幕があき芹香が「ありがとう」を繰り返して再びフォーエバータカラヅカで幕が降りるのは半分シリアスな笑いに片足突っ込んでいたような気がする。

そういえば、「すみれの花咲く頃に」がなかったような気がするけどどうしたのだろうか。

さて、劇場は値引きしてるのに、配信では3500円といういつもと変わらない値付にブーイングがあったが、一般の配信なんて1時間半でも5000円に6~700円近いシステム利用料というわけのわからない手数料が取られたりするのだから文句を言うべきではない。ただ、できれば3日間(一般的には7日間)でいいからアーカイブを付けてほしいなとは思う。

改革は本当に行われるのか?

さて、この演目が誕生した理由は、昨年9月の生徒(劇団員)の自死が発端である。自死に至る遥か前から、3月の遺族との合意(和解ではない)に至るまで劇団は常に悪手を踏み続けてきたと言って良い。

総じて本作は一言で言えば「原点回帰」ではあるが、原点回帰というテーマが打ち出されるときは、アニバーサリーでも無い限り、得てして創作の行き詰まりや不祥事であり方を模索するために原点に帰らなければならない事情があるときであり、まさに宙組の公演は再出発がテーマになっているのである。

96期のいじめ問題では仮処分を無視するという超然とした対応を取っていたように不祥事はたとえ死人が出てたとしても世間とはかけ離れた「タカラヅカルール」で乗り切れるという考えがあったのではないだろうか?

中卒からせいぜい高卒の女の子を半ば隔離して洗nもとい芸のみち一筋というのはもはや世間の常識からかけ離れている。

櫻坂46の現キャプテンの松田里奈なんて、宮崎の商業高校を卒業して宮崎の地銀で勤務しているときに櫻坂のオーディションがあることを知って応募した経歴があるように、銀行員から宝塚に入ってトップスターという人が居てもいいはずであるし、元トップスターの剣幸は工業高校を卒業して宝塚に入ってトップに上り詰めた経歴がある。

幼い頃からスクールに通い詰めのお嬢様ばかりでは煮詰まっていくばかりだろうし、現に今年の宝塚音楽学校の志望者は急減している。

よその少女歌劇なんぞ、OSKは23歳未満、ハウステンボス歌劇団は23歳まで入団可能で、トップスター経験者(現・特別専科)の桐生麻耶は日本女子体育大学を中退してOSKに入った経歴がある。

ここ最近、女性タレントの寿命は伸びている

さて、別件で加護亜依をテレビで久々に見てハロプロのことを改めて調べたが、後藤真希が3年しか居なくて、安倍なつみにしろ矢口真里にしろみんな22~3で辞めているのである。

当時辻加護からおばさん呼ばわりしてたし、しばらくハロプロのリーダーだったので30過ぎてもいたような気がしていたが、中澤裕子すら結成時24歳で27歳で卒業しているし、柏木由紀なんて32までAKBのメンバーだったり、27でアイドルなんて珍しくもなんとも無くなっている昨今を見たら、娘。黄金期のメンバーの若さと任期の短さに驚かされた。

ここ10年ほど、特にコロナ禍後の傾向なのだろうが、よく言えば女性タレントの寿命が伸びている。悪く言えば、晩婚化などの要因から高齢化しているのだろうが、いずれにしても戦前かせいぜい昭和20年代の価値観のままの募集年齢であり続けるのは無理があるのではないだろうか。

それとも「夢見る奴隷」に余計な入れ知恵なんてしたくないのだろうか?

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