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映画「トニー滝谷」について〜雨の日に〜

GWの帰省から帰る電車の中でその映画を見た。
事前にiPadもダウンロードしていたのだ。移動時間を利用して見るために。

音楽「坂本龍一」。つい最近亡くなった偉大な音楽家がこの映画の音楽を担当している。そのこともあって検索で引っかかったので、雨の降る悪天候の中、移動の電車の中でイヤホンで耳を塞いで
鑑賞した。

2004年の映画。監督は市川準。CM制作から監督になった方だけあって、映像がとにかく詩的で美しい。出演はイッセー尾形と宮沢りえ、そして原作は村上春樹である。

ストーリーは主人公(イッセー尾形)がある日、1人の女性(宮沢りえ)に恋をし結婚するのだが、その女性には服を買うことが止められない癖が。やがて、彼女は交通事故で亡くなり、主人公のトニー滝谷は1人となる。家のクローゼットには膨大な妻の洋服を残されて。

やがて、その服を着てもらうために人を雇うのだが、そこへ元妻にそっくりな女性が現て・・・。

簡単に言うとこれだけの話である。全く強弱はなく、淡々と話は進んでいく。セリフの言い回しも村上春樹らしい表現で、村上春樹ファンにはおすすめである。(私は正直苦手である)

エンドロールが流れ始めた特に「え、もう終わり」って思ったほど、淡々と進んで行った。いわゆる雰囲気映画である。

しかし、雨の天気の薄暗さと、坂本龍一の音楽と、市川準の映像、そこに宮沢りえの美しさが折り重なって、非常に心地がいい。ずっとその雰囲気の中に浸っていたい気持ちになる映画であった。

高校の時に同じクラスに宮沢りえ似た女性がいた。昔昔の話である。もちろん当時の私には話しかける勇気もなく、ただ遠くから見ていただけ
である。今頃その女性はどうしているのかな?元気なのかな?卒業後はどんな人生を歩んだのかな?など他愛もない想いが蘇ってきた。人生は不可逆であることはわかっている。
『IF』を考えてもしょうがない。しかし・・・。
やらなかった後悔はいつまでも心の奥底で沈殿していて、ふとした瞬間に深い痛みで浮かび上がってくるものだ。これまでの人生は悪くない。今もどちらかと言うと幸せだ。家族にも多少文句はあれど、仲良くやっている。しかし・・・。  

きっと雨と音楽と映像のせいであろう。きっとそうに違いない。 

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