4歳 宝物を探す私の話
年中クラスに上がった私は、
Sちゃんとクラスがわかれてしまい
落ち込みながらも毎日能天気に過ごしていた。
相変わらず何でもやりたがる私は
お遊戯会でも主役を演じることになった。
演目は「みにくいアヒルの子」。
他の子と違うという理由でいじめられていたアヒルの子が
実は白鳥の子で、最後は綺麗な白鳥に成長して幸せになる物語。
主役は2人で、前半のいじめられている場面までと、
後半の白鳥に成長した場面からとで分担した。
私はもちろん、後半の白鳥に成長した場面の役で、
緊張もせずにノリノリで全力で白鳥になりきった。
その時歌った歌も踊りも覚えている。
「わたしはとべーるー♪ わたしはとべーるー♪」
と言いながらステージの端から端までを走り回っていた私。
今思うと、すごい度胸ある。
この頃には、私の物怖じしない性格は順調に育っていた。
協調性など無く、何でも私が1番で私がやりたい私が…
といった感じで、何でも自分の思い通りに生きていた。
4歳、私は幼稚園の砂場には宝物が埋まっていると信じていた。
「幼稚園の砂場には宝物が埋まっている」
そんな根も葉もない話をどこから聞いたのかわからないけれど、
私はSちゃんと一緒に毎日飽きずにひたすら砂場に穴を掘っていた。
時には先生にも手伝って貰い、
当時の私の感覚ではとてもとても深い穴を掘っていた。
「たからもの、なかなか出てこないなあ」
なんて話をしながら掘り進めていき、
自由時間が終わるときには
「この穴、たからもの掘ってるから、うめないでね!」
と念押しして自分のクラスに戻っていった。
けれど絶対に次の日には穴が綺麗に埋められていて、
Sちゃんと一緒にガッカリしながらも、
「今日は別の場所掘ってみよっか!」
と、また一から掘り始める、という遊びを繰り返していた。
当時の私は真剣に宝物を掘り出すつもりでいたけど、
その結果、宝物が見つかったかどうかは、覚えていない。
私の初恋は園長先生だった。
私の通っていた幼稚園の園長先生は男性で、
いつもニコニコ優しくて、
園児ひとりひとりと丁寧に向き合ってくれる人だった。
私はそんな園長先生のことが大好きで、
この頃の私は、園長先生に会いたくて幼稚園に通っていた
と言っても差し支えないくらい。
バレンタインデーにはチョコを渡した。
園長先生は笑顔で受け取ってくれて、
私は翌月のホワイトデーにお返しに、と
キキララのキーホルダーを貰った。
本当に本当に嬉しくて、ハッキリと覚えている。
その日からキキララのキーホルダーは私の宝物になった。
砂場に宝物が埋まっているかどうかなんて
その頃にはすっかり頭から抜け落ちていたけれど、
こうして私は、幼稚園で宝物を手に入れることが出来た。
優しい友達と優しい先生に恵まれて
幸せな幼稚園生活を送ることが出来ていた私。
5歳になる頃には、自分のことをもう一人前だと思っていた気がする。
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