見出し画像

7歳 周囲に左右されがちな私の話

7歳、私は勉強が好きな子どもだった。
なぜなら、勉強をすればするだけ褒めて貰えるからだ。


この頃、私は週に2回通い続けていた学習塾では
とても優秀な生徒で、
常に自分の学年よりも2学年3学年先の学習を進めていた。

と、言っても、最初は国語だけだった。

私の母親は月に数回、
図書館で本を数冊借りてきてくれていて、
私は母親の選んでくれた本を読むのが大好きだったし、
国語は得意なので長文の活字も苦ではなかった。


そのためか、読解力、理解力は人一倍あり、
小学校での授業内容もスラスラ頭に入ってきた。

出来ると褒めて貰えるのが嬉しくて、
掛け算なども誰よりも早く覚えていた。

掛け算をきっかけに算数が楽しくなった私は、
学習塾で算数の勉強も追加して行うようになり、
どんどん周囲の子との差を広げていった。


公立の小学校だったため、色々な子がいた記憶がある。
もちろん、勉強が出来ない子もたくさんいたし、
授業中に騒いでしまう子もいた。

1年生のときと大きく異なっていた点としては
担任の先生が少し厳しくなったことだった。

1年生のときの担任の先生は常にニコニコしていたが、
2年生のときの担任の先生は騒いでしまう子には
とても厳しく注意をしていた。

特に、何度注意をしても騒いでしまう子は
手で口を前に引っ張ってアヒルのように口を突き出した状態にさせ、
しばらくその状態で授業を受けるようにと指導していたのが印象的で、
懲りずに何度もアヒル状態にされている友達を見た私は

「このアヒルは面白いけど意味はあるのかなあ」

と常々考えていた。

今思えば、アヒル状態にすることで周囲の子から笑い者にされ、
羞恥心から今後騒ぐことが減るだろう、とか、
他の子もアヒル状態になりたくないから静かにするだろう、とか、
子供自身にアヒル状態になってもらうことで物理的に騒ぎ辛くし、
さらに先生自身は手を下していないことから虐待にはならないだろう、
などなど、様々な思惑があったうえでの対処だったのかもしれない。

実際、その友達はお調子者だったので
アヒル状態でもふざけるだけで全然静かにはならなかったのだけど。



勉強の話は置いておいて、勉強以外の話をすると、
私は小学2年生になったことで多少なりとも友達が増えた。

外遊びもどんどん活発になり、
小学校の近くにあった私の家に友達が遊びに来ることもあった。

ある日、私の家を見た友達に言われた言葉が今も心に残っている。

「emiちゃんの家、お化け屋敷みたい~!」

その友達の名前や顔は、覚えていない。

当時、私の家は、古い一軒家だった。
確かに、トトロに出てくるような古い家だったので
お化け屋敷と言われればそうかもしれない。

でも、昔から仲良くしてくれているSちゃんや
他の友達はそんなこと言わなかったし、普通に遊んでいたし、
良いところもたくさんあった。

例えば、庭にあるブドウの木の下にある
ハンモックでくつろげるところとか、
子供部屋からキッチンにいる母親が見えるところとか、
階段の上からリビングのソファに飛び降りて遊べるところとか
(危ないって怒られるけど)。


少し先の話をすると、
小学校3年生に上がった頃に家の建て替えが決まり、
私は建て替え期間だけ転校して、
小学校4年生になって戻ってきてからは
綺麗な家に住むことになるのだけど、
それまでは自分の家に友達を呼ぶことに苦手意識があった。


また、父親に対しても苦手意識を持ち始めたのはこの頃からだった。


私の父親は自営業で、
当時は家の庭にある小さな物置で仕事をしていた。と、思う。

念のため補足しておくと、
私の記憶のなかの父親が常に物置にいたのでそう思っているだけで、
もしかしたら日中は別の場所で仕事をしていたのかもしれない。


そんな父親は、自分ひとりで仕事をしていたので
見た目には人一倍無頓着な性格だった。
髪の毛はロン毛でボサボサ、髭も長くて、お風呂もあまり入らない。

一言でいうと汚いオジサンだった。


そんな父親が初めて授業参観に来た時には、

「あそこにホームレスみたいなオジサンがきてる」

と子供たちの中でヒソヒソ囁かれてしまう始末だった。


あのホームレスみたいなひとは誰の親だろう?
という話題になったとき、
私は自分の父親だと言い出すことを躊躇してしまった。

それ以降、なるべく、父親には授業参観には来てほしくなかった。



この頃の経験を踏まえて、現在、私は
「将来は綺麗な一軒家に住みたい」と思っているし、
好きな異性は「短髪で清潔感のある爽やかなひと」だ。
もちろん、髭の生えているひとは好きじゃない。

念のため補足しておくと、
決して私はいじめられていたわけではなかったし、
私が勝手に嫌な思いをしていただけであって
周囲の子に悪気はなかった(はず)。


良くも悪くも、周囲のひとに言われたことで
私自身の性格や考え方に様々な影響があったんだなあと思う、
そんな小学校2年生の備忘録。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?