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燦々


旦那さんとは
当時流行っていたmixiというソーシャルネットワークで知り合った。
好きな音楽が似ていたことがきっかけで
気が付いたら8年近くもやり取りをしていた。
疎遠になることが多いSNSの世界でこんなに続くなんて珍しいよなと思う。

お互い恋人がいたこともあり、
友達以上になることはなかった。
そもそも、住んでる場所も離れていたし
会うことにも至らなかった。

ただ、他の人と違ったのは
人には言えないような
人生のあれこれを唯一話せる人だったということ。

顔も知らない、声も聴いたことがない。
だけど、特別な人だった。


付き合っていた恋人と
別れた時期が同じだっこともあり、
今まで以上に連絡を取り合うことが増えた。
それでも、住んでる場所が離れていたこともありなかなか会うまでには至らず
相変わらず文字だけの関係が続いていた。


そんな彼と初めて会ったのは
私が働いていたCDショップだった。


このお客さん、
好きなバンドが一緒だな…と
出されたCDを見ながらお会計をしていた時

「宛名はこちらで領主書お願いします。」

渡された名刺を見て驚いた。


「えみちゃん、わかる?」


そう言われてようやく一致した。
顔も声も知らなかった
特別な《あの人》だったからだ。


何の前触れもなく現れた彼に動揺してしまい、
その時は上手く話せなかったけど、想像してた通りの素敵な人だった。


自分を理解し、どんな時も応援し続けてくれた人と
まさかこんな形で対面するなんて思ってもみなかった。

それ以来、
彼が東京まで会いに来てくれることが多くなり
色んな場所へ行き、色んな話をした。

燦々とした言葉を紡いでくれた彼が
そばにいてくれることの
心地良さを結婚した今でも
ずっと感じている。

運命って本当にあるのかもって
初めて、そう感じた。



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