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「共感が大きな武器になる」自分らしさを見つけ、表現するプロセスエコノミーという考え方

去年から目にするようになった「プロセスエコノミー」という言葉。
最初はnoteの記事がきっかけだったのですが、書店でこちらの本を見つけたので読んでみると目から鱗。

ビジネスはもちろん、この時代に生きるたくさんの人に良い視点をもたらしてくれるものだと思い、3つのポイントでまとめてみました。

目次
1、そもそもプロセスエコノミーって何?
2、プロセスエコノミーってどうやるの?
3、プロセスエコノミーをする上で最も大切なこと

1、そもそもプロセスエコノミーって何?

プロセスエコノミーとは何か、そしてプロセスエコノミーの何が良いのかということについてお話しいたします。

まず、プロセスエコノミーを一言で表すと
プロセスを公開するところに人や情報、お金が集まってくる
ということです。

プロセスは「何かをする上での過程」のことを言います。
エコノミーは「経済」ですが、経済といってもただ単純にお金のことを言うだけでなく、資本主義経済といった、社会の仕組みそのもの、そこに関わる人やモノ、カネ、情報など、人の生活に深く結びついているものまでを含みます。

過去の歴史においては、人々の生活に必要なものを生産し、それを販売してきました。
三種の神器のようにテレビ、冷蔵庫、洗濯機があれば便利な生活ができたところから、人々のニーズに合わせた商品が開発されていきます。

テレビも大画面で映画を観たい人は、それに合わせて高解像度でスクリーンの大きいものが登場してきましたし、洗濯機も洗って乾かすのが面倒だから乾燥機が付いているものもどんどん出てきました。

ある程度、経済が発展すると似たような製品にあふれて誰もが一定の水準で便利な生活を営めるようになりました。ニトリやイケア、ダイソーなど低価格で質や見た目のいい商品が手に取ることができます。

そして現代に至ってはSNSの発達によって誰もが情報を発信できるようになり、情報があふれかえり、何かを作り出しても莫大な情報のせいで人の目に留まるのが難しくなりました。

そのように低コストで誰でも似たような製品が作れるようになった結果、誰かに知ってもらうためには2つの方法に絞らざるを得ません。

一つは、誰もが真似できないようなハイクオリティのものを作るか。
もう一つは、オリジナリティを出して、それが好きなファンを作るか。

ハイクオリティのものを作るには莫大なお金がかかりますし、それができるのは一部の人や企業に限られます。

しかし、オリジナリティを出すというのは誰にでもチャンスがあり、その人にしかできないという価値がある。

そして、そのオリジナリティをどうやって人々にわかってもらうかというと、それを作るプロセスを見せる、公開するということです。

今まで製品を作るにおいては、完成品を見せるのが常識でした。
どれだけ良いものを作って人々を驚かせるか、そこに価値がありました。
しかし、似たような製品が作れる現代において、そこはあまり価値がなくなりました。

むしろ、それを作るまでの過程がどのようになっているのかということに人々は関心を抱くようになったわけです。

本書で紹介されているものの一つにNIZIプロジェクトが例に出されていました。
これがNIZIUのメンバーです、とオーディションに受かったメンバーだけ発表されても何のおもしろさもなく、「あ、そうなんですね」と終わってしまいますが、
あえて、メンバーたちが選抜されていくプロセスを見せることで、メンバーひとりひとりの頑張りやストーリーにひきつけられ、デビューする頃には多くのファンができているわけです。

身近な例でいえば、最近テレビでもコメダ珈琲やガストなど、有名チェーン店が商品開発の裏側を公開している番組も多く放送されています。

この商品ってこうやって作られているんだ、こういうところにこだわってるんだ、というのがわかると、ついつい食べに行ってみたいなという気にさせられます。

プロセスを公開し、知ってもらうことで相手に興味関心を持ってもらったり、喜怒哀楽に訴えることができるというのが、プロセスエコノミーの強みであると思います。

プロセスエコノミーの何が良いのか?ということに対して、著者はこう話します。
「プロセスを公開し、たとえ少数であっても、そこにファンができれば大きな武器になる」

これがプロセスエコノミーとは何かということに対するお話でした。

2、プロセスエコノミーってどうやるの?

プロセスエコノミーがいいのはわかった。それじゃあ、これをやろうと思ったらまず何からやったらいいのか?というのが次に起こる疑問ではないでしょうか。

それについて本書では2つの重要なポイントを提示しています。

○正解主義から修正主義へ
言葉だけ見ると難しいですが、簡単にいうと「とりあえず作ってみて、他の人からフィードバックをもらって作ろうよ」です。

正解主義については学校教育が一つの例として挙げられています。
学校では決められた正解をいかに覚えて、テストの答案に書くかということが命題で、自分なりの答えを考えるということは多くない。

現代では何かわからないことがあればスマホで調べればすぐに答えが出てきます。
調べればわかるものをわざわざ学ぶ必要はない、価値はあまりないと言うこともできるかもしれません。

それより大切なのは調べても到底わからない、何が正しいのかという判断をするのが難しい問いに答えることです。これに絶対という正解を見つけるのは困難です。
だからこそ、自分だけで考えるのではなく、まずこれだという仮定を見つけて、それをいろんな人に共有してみて、そこからフィードバックをもらう。

ああでもない、こうでもないと話していくうちに、より多くの人が納得できる正解に近づいていく。これが修正主義の良さの一つです。

これは何か製品やコンテンツを作る上でも有益な方法です。
「今こういうものを作っている(作ろうとしている)んだけど、みんなどう思う?」

普通であれば製品を作る工程を公開したら他の人や企業にバレてマネされるというリスクもあります。しかし、誰もが似たようなものを作れる今において、そこにこだわる必要はあまりないかもしれません。

完成品を出してから、「もっとこうした方がいいのに」と言われてやり直すよりも、少数の人でもいいから途中経過を公開して意見をもらったほうが修正がききますし、より良いものを作ることができるのではないでしょうか。

○セカンドクリエイターを作る
このようにプロセスを公開することで得られる二つ目のポイントは、一緒に応援してくれる仲間ができるということです。

本書の例として挙げられているのは、西野亮廣さんの「えんとつ町のプペル」
この映画を作るまでに、多くの人の意見をもらうということはもちろん、西野さん1人ではなく、より多くの人と一緒に作ることで西野さんの作品は一つの絵本から映画となり、たくさんの人に観られるものになりました。

ここで大事なのは意見をもらうだけでなく、その意見を一緒に実現してくれる仲間になってもらうことです。そのために必要なのは役割を与えることです。

西野さんの絵本に対して「雲はもっとこういう描き方がいい」という人がいれば、雲が上手に描ける人を一緒に探してもらう。そうすることで、その人が絵本作りに関わることができるし、雲が上手に描ける人がいれば製作仲間がもう1人増えるわけです。

絵を描くことは手伝えないけど、歌は歌えます!
ポスターのデザインができます!
SNSで広報するのは得意です!

など、その人の強みを活かして一緒に作ってくれる存在がまさにここでいう「セカンドクリエイター」です。セカンドクリエイターがいることで、西野さんの絵本が「私の絵本」となり、情熱を燃やすファンとなり、それが広がって「私たちの絵本」という気持ちに変化することで、より多くの人にこれを知ってもらいたい!といううねりが起こる。

まさにこのセカンドクリエイターの存在がコンテンツを作り、広げる上で重要な存在だと言います。

3、プロセスエコノミーをする上で最も大切なこと

さて、ここまでプロセスエコノミーについてお話ししてきましたが、もちろんすべてがいいというわけではありません。良いものには反対にリスクがつきものです。

さっきも供述したようにプロセスを公開する上で誰かに真似されてしまい、自分がやっているよりも早いスピードでそれを完成させてしまう人や企業も出てくる可能性もあります。

また、より多くの人の意見をもらうことで想像していたものとは全く別の方向にずれてしまうこともあるかもしれません。意見をしてくれた人のアイデアが叶わず、その人が逆にファンではなく反対する立場に立つことも。

プロセスを公開することでより多くの人に関わってもらうということは、必ずしも良いことではありません。非効率になったり、意見がまとまらなくなったり、全体をマネジメントすることで手一杯になることもあるかもしれません。

だからこそ、プロセスエコノミーでここは譲れないというポイントがあります。
それは「Why(それをなぜやるのか)」を言語化し、表現するということ。

もっと平たく言えば「自分のスキやこだわり」を伝え、さらけ出すことです。

正直、何かの内容について話をまとめたり、やり方を教えるということにおいては、堀江貴文さんやひろゆきさんなどプロフェッショナルがごまんといます。
その人たちと同じようなレベルで何かをやるというのはかなりの挑戦です。

闇雲に何か知り得た情報を伝達するということでは人は見向きもしません。
しかし、自分のスキやこだわりを表現するというのは、わたしにしかできませんし、そこから「自分らしさ」や「オリジナリティ」がうまれます。

「この人はこういう人なんだ」という正体が明らかな人ほど、誰かからみつかりやすく、特定されやすくなります。

プロフェッショナルや情熱大陸といった番組の良さはゲストの生き方や哲学、こだわりというものが前面に表れます。「こういうことだったのか!」という驚きが見ている人の心を掴みます。

Whyというものは、その人の大切にしている価値観、生き方が現れるため、共感を得やすくなります。それが人々の応援を得るきっかけになるのだと思います。

また、Whyを明確にすることで、たとえ周りからたくさんの意見をもらったとしても、「自分はこれをやりたいんだ!」ということがはっきりしていれば、その意見を自分の基準に従って取捨選択することができます。

プロセスエコノミーをこれからやってみたいという人はもちろん、それとは関係ない人であっても、情報やモノがあふれる社会においてはプロセスエコノミーの視点は生きる上でも必要な観点かもしれません。

多様な生き方にあふれている社会においては、Whyを言語化し、それを人に伝えるということで自分について理解し、自分らしさを見つけることができるのではないでしょうか。

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