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1度きりの、夏

”美味しい”に心躍る

今日、L2では屋台を出した。これは、月に1度の恒例行事らしい。

今回のメニューは、厳しい暑さが続く近頃にぴったりな、かき氷と冷たい飲み物。

みずみずしい枇杷と甘夏を使った、果実たっぷりのかき氷を、インターン生は担当することになった。

12時。

オープンと同時に、町役場の方が4人。枇杷と甘夏のかき氷を、早速頼んでくれたようだ。

使用するかき氷機は、古民家の持ち主から引き継いだものらしい。
だから当然、流行りのふわっふわな氷が自動で削れるものではない。

レバーを円を描くように回しながら、まるく厚い氷を削っていく、昔ながらのかき氷機だった。
立っているだけで暑い日に、額に汗をかき、手を必死に動かして氷を削っていく。

手動かき氷機。楽しいけれど、だんだん腕が辛くなる


まさに、”夏”という感じだ。

氷をこんもりと盛ったら、枇杷や甘夏を使ったシロップを上に飾る。
太陽の光に反射して、きらきらと輝くシロップは、見ただけで”美味しい”と確信しちゃうような見た目。採れたての果実を使っているんだもの、そりゃあ美味しいに違いない。

けれど。

自分が作った料理を、目の前で味わってもらう。手が込んでいるかどうかに関わらず、その瞬間は少し緊張してしまう。

味は好みに合うだろうか、美味しいと思ってくれるだろうか。

そんな期待と不安を抱えているから、いつも、食べてくれる人の反応を伺ってしまう。

”ん-美味しい!”

そんな声が聞こえ、やっと胸をなでおろす。料理を振舞う時は、いつもそんな感じだ。

今日も、町役場の方から、”美味しい”のお墨付きをいただいて、ようやく安堵した。たかが、かき氷と思うかもしれないが、それでも”美味しいかどうか”、やっぱり不安になる。

だからこそ、美味しさに顔がほころぶ瞬間を見るのが、とっても好きなのだ。

この先、料理の腕前をさらに上げたとしても、最初の一口は、いつも緊張してしまうだろう。でも、それは悪いことではない。

緊張は、”美味しいものを食べて欲しい”という想いがあふれ出た証だと思うから。

緊張は、”美味しい”という言葉を、さらに心躍るものにしてくれるから。


夏の終わり


静岡県南伊豆町に来て、3週間。

古民家を改装したゲストハウス ローカル×ローカル (以下、L2)の学生インターンも、もう、折り返し地点を過ぎた。

「何日までいるの?」と聞かれ、「8月9日までですね」と答える、南伊豆町の方々との定番の会話。

最近は、”もう終わっちゃうじゃん!”と返されることが増えた。来た当初は、”1か月!まだ、たくさん楽しめるね。”と言われていたのに。

ふとした瞬間に、この夏の終わりを感じるようになった。

”私はちゃんと、南伊豆を楽しめているのだろうか?”

疾風のごとく駆け抜ける日々の中でも、自分の状態を確認することを忘れずにいたい。

あたたかいお茶で、ほっとひと息。


2023/07/28










未来に対する考え

地域おこし協力隊  

同い年

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